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嘘2
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しおりを挟む青く突き抜けるような初夏の空に目眩を覚えて立ち竦むと、葉人を掴む司郎の腕に、促すように力が籠る。
ぎゅっと目を閉じ、引っ張られるままに司郎へとついていく。
「…あの…条件って……」
フェネクスからデータを取ってくることができる…と言った司郎は、「ただし」と一言付け加えた。
「言わなきゃわからねぇ?」
「…………」
こちらを振り返った司郎が、パサつく茶色い髪の間から葉人を見つめて笑う。
自然と、眉間に皺が寄る。
「………フェネクスが…あんたに代わるだけだろ、なんのメリットも…ない…」
結局脅されることには変わりないのだと、ゆるゆると首を振った。
一人、ご機嫌な様子でいる司朗は、鼻歌を歌いながらフェンス際に腰を下ろす。
「メリットならあるさ」
尻のポケットから煙草を出し、口にくわえてからライターを探す。
「座れば?」
「……」
立ち尽くす葉人にそう声をかける。
「まぁいいや。少なくとも俺は、アブノーマルな趣味はねぇぞ?」
「…」
「信じてねぇツラだな」
きゅっ…と煙草を吸い、笑い声と共に煙を吐き出す。
ゆっくりと上がっていく紫煙を目で追いかけながら、司郎は肩を竦めた。
「金曜のは、まぁ…特別だ。あいつよりはウマイし、羽鳥よりはノーマルだ」
「……先生は、関係ない…」
「ふぅん」
面白そうに眉を上げ、ぷかりと煙を吐き出す。
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