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後輩
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しおりを挟む「小田切葉人です」
悠哉はにこっと笑うと、甲斐甲斐しく割り箸を手渡してくる。
「お水入れてきますね」
さっと立ち上がって水を汲みに行く悠哉を見て、千明がぽつんと言う。
「あの子、葉人に似てね?」
その言葉で、悠哉が光彦が言っていたよく似た一年生だと分かる。
「後ろ姿とかさ、特に」
「……そうだな」
「オレ、自分じゃあんまりわかんないから」
二人の間の微妙な空気を読まないまま、千明は一人で盛り上がっていく。
「やっぱ髪は葉人のが茶色いけどさ~細い感じがそーっくり!」
「千明、早く食べないと時間なくなるぞ」
威に言われ、カレーを食べ始めたが千明の口は止まらなかった。
「泣きボクロとか、ちょっとセクシーだよね」
「男にセクシーとかって、誉め言葉じゃないよ」
苦笑いしながら麺をすすると、いやいやと千明が首を振る。
「葉人も最近すげぇ色気出てきたよな」
「…えっ!?」
「なんか…こう……フェロモン?いてっ!!」
威に叩かれ、千明は抗議の目を向ける。
「威だって思うだろー?」
「…俺は……別に…」
そこへ悠哉が冷たい水の入ったコップを持って帰ってくる。
「なんのお話ですか?」
「ん?泣きボクロあるねって話だよ」
「僕のチャームポイントです」
そう言ってにかっと笑うと、席に座って威と話始める。
食べやすいはずのうどんが、喉に引っ掛かるような気がして箸が進まない。
楽しげに話をする二人をちらちらと横目で見ながら、葉人は飲み下せないままにうどんを何度も噛み締める。
威の笑顔が、自分の隣に向けられていることに、無性に腹が立って仕方がない。
明るくハキハキと喋る悠哉と威を見ていると、何もなかった頃の自分達を思い出して胸がズキリと痛む。
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