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後輩
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しおりを挟むきょろきょろ…と威が辺りを見回した。
盗み見していたのがばれたのかと、葉人が慌てて顔を伏せると、悠哉が携帯を出して時間を告げる。
「もうそんな時間か」
「威、携帯は?」
「忘れたんだ。さて…」
威が立ち上がった。
「俺達、部室に用があるから先帰るな」
「お先に失礼します」
丁寧に頭を下げると、悠哉も威の後を追うように食堂を出ていく。
「……部活かぁ…あんなかわいい後輩できるなら、それもいいなぁ」
「千明はオレと一緒に帰宅部結成しただろ」
「えー…悠哉ちゃん可愛かったし」
「だから、、可愛いとかって誉め言葉じゃないって」
「お前や悠哉ちゃんならいけるだろ」
そう言うと、千明は食べ終えたカレーの皿を端に避けて前屈みになる。
「なぁ…ところで、やっぱり威の様子、おかしかったよな?」
「…うん」
理由は知ってても言えない。
「葉人たちさぁ…ケンカした?なんかすげぇギクシャクしてるけど…」
こちらをじっと見てくる千明に、なんと答えていいのか分からずに、箸で弄んでいたうどんへと視線を落とした。
「ケンカって言うか…」
喧嘩は喧嘩でも痴話喧嘩だとも言えず、何も言えずに黙り込む。
「喧嘩したならさぁ、いい機会だから仲直りしない?亜矢子ちゃんと別れた威を一緒に慰めようぜ」
「相談って…それ?」
「そう!やっぱさー威が大人しいって変な感じがするし…」
「…うん…」
曖昧にうなずいていると、千明はチケットを取り出して葉人に手渡す。
チケットには今年の春に出来た時間制のアミューズメントパークの名前が書かれていた。
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