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露見
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しおりを挟む「…調子は?保健室に行くか?」
問われて首を振る。
再び手を引かれ始め、葉人は気まずさに話しかける。
「授業、どうしたの?」
「サボった」
「…どうして?」
「葉の姿が見えなかったから」
ぶつりと途切れてしまう会話を、それ以上続けることが出来ずに口を閉じた。
「…ぁ…っ!やだっ行きたくない!!」
威の行こうとしている場所がわかった瞬間、葉人は威の腕から逃れようと身を捩る。
「葉っ?」
急に暴れだした葉人に面食らいながら、威はその体をさっと肩へと担ぎ上げた。
「や…やだっ離せっ!」
「邪魔されない場所で話がしたい」
威はばたつかせる手足をものともせずに剣道場へと入り、その奥にある空手道部のロッカー室へと入る。
「────っ」
悠哉が手をついていたロッカーが目に入り、ぱっと目を逸らす。
この場で威がしていたことを思い出しそうになり、ぎゅっと目を閉じた。
体が、椅子に下ろされる。
「葉、…その……昨日のこと……」
「話したくないっ!!威には関係ないっ」
ばんっとロッカーを叩かれ、その大きな音に身をすくめた。
「っ…目の前であんなことされて……俺は………」
葉人の前の床に膝をつき、その両手を包み込む。
「……以前に、葉に変なことしてたのも、あいつだろ?」
「……」
宥めるように、ごつごつとした手が葉人の手を擦り続ける。
「…なんであんなこと…になったんだ?」
原因を思い出し、背筋を凍らせる。
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