187 / 349
薬
3
しおりを挟むパソコンの画面に、荒い画像が映る。
逆光の中、椅子に座る男の前に跪く影。
微かに漏れ聞こえてくる水音と喘ぎ声。
それを見た途端、胃袋がぎゅっと縮み上がり、先程飲まされた物が苦くせり上がってくる。
「ぁ…っ……な…なんで…」
「雰囲気あって、いいよね。これ」
どこか他人事のように言う光彦の横顔が、恐ろしくて目が離せない。
「…っく………」
じわり…と、喉の乾きを感じて唾を飲み下す。
「他も見てみるかい?」
そう言ってマウスに手を伸ばした。
「や…っやめっ……」
「君は俺のだよ」
ひんやりとした銀縁の眼鏡の奥で光彦の瞳が鈍い光を放つ。
「離さないから」
温かい手に触れられた筈なのに、氷が当たったかのような悪寒を感じて飛び上がる。
ふふ…と小さく笑い、光彦が手首をつかんで葉人を押し倒した。
「ほら…これはー……君が初めて来た時のかな?」
顎を捕まれてそちらに無理矢理向かされると、今自分が繋がれているベッドに眠る自身がみえた。
かちり…ぱたん…と音がして人影が画面の端に現れる。
やがてその人物は、寝入る葉人の体に手を伸ばして触り始めた。最初はおずおずと躊躇いがちだったけれど、次第に服の中へと手を入れるようになっていく。
けれど、そこまでされても、画面の中の葉人はぐっすりと眠り込んでいた。
「どうして…?」
疑問の言葉しか出てこない葉人の唇を光彦が塞ぐ。
「あの媚薬も、この睡眠薬も、どうしても苦味だ出てしまうのが難点なんだ…君が気にしないでくれて助かったよ」
まるで服の趣味を問うかのように言われ、葉人はぶるりと大きく体を震わせる。
「…オレ、先生の事……信じて…」
「うん?…うん、それはすごく有り難かったよ。あんなことがあったからかな?君は酷く不安定で、俺の事をすぐに受け入れてくれた。志方達が何をやらかすか、見守っていて正解だったよ」
0
あなたにおすすめの小説
寮生活のイジメ【社会人版】
ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説
【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】
全四話
毎週日曜日の正午に一話ずつ公開
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる