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効果
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しおりを挟む葉人の体から鎖を外し、威が軽々と肩に担ぎ上げる。
「行くぞ」
足元に散らばるガラスを踏みしめてベランダへと出ようとする威に、葉人は拒否の言葉を呟く。
「ダメ…ダメっ!!」
「葉!?」
「パソ……ン…」
ぶる…と体を震わす葉人を見て、威ははっとした顔をした。
口を開こうとした葉人を押し止め、ベッドの縁へと下ろす。一度、言い争いの様な言葉が聞こえてくる部屋の外を見やってから深呼吸する。
ふ…と息を吐ききった次の瞬間、踵が机の上のパソコンに降り下ろされていた。
「はぁっ!」
短いその掛け声と共にパソコンは壁へとぶつかり、派手な音を立てて床へと転がった。
威が砕けた部分から見える基盤に、傍にあった器に入った液体をぶちまけると、バチバチと小さな火花が散るのが見える。
「……っ!?…」
「…!!っ……、!」
「な……お前ら……」
玄関から聞こえていた言い争う声が、部屋の扉の向こうに近付いてくる。
「葉、これで大丈夫だろ…行くぞ」
残骸となったパソコンをぼんやりと見詰める葉人を担ぎ直し、威がベランダへ踏み出すのと司郎と光彦が揉み合いながら部屋に雪崩込んでくるのがほぼ同時だった。
バンッ…と扉を開け放ち、変わり果てた部屋の参上に目を瞬かせている光彦の背中に、司郎が蹴りを入れる。
「走れっ!」
自分の方を振り返っている威にそう叫び、司郎自身もその場から踵を翻す。
「ぅあっ!?…ま……待て……っ、くっ…」
ベランダから飛び出した威と玄関へと走り出した司郎を交互に見やってやら、光彦は悔しそうに顔を歪めて唇を噛んだ。
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