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しおりを挟むカチャリ…と音が聞こえ、葉人は音を立てる人物が威しかいないのをわかっているはずなのに、驚いて飛び上がった。
「ぅ…わっ!!」
「葉!?」
脱衣所に入ったらしい威がガラス戸に朧気に浮かび上がるのを見て葉人は反射的に体を隠すように掻き抱いた。
「どうした?」
「…ぅうん……なんでも、ない」
「………本当に?」
磨り硝子の向こうの陰が、戸惑うように揺れる。
「驚いただけ…」
「…………驚いた…か」
流れるシャワーの音にかき消されそうな呟きは、その小ささにもかかわらずしっかりと葉人の耳へと届いた。
そこに滲む自嘲とも冷笑とも取れない色を感じて、葉人は自分を抱いた腕に力を入れた。
やや沈黙の後、ふぅ…と溜め息が響く。
「…それは……オレに、襲われるかもって…警戒してるの?」
「ちが…なんでそうなるんだよ!」
「……」
返事はなく、ガラスの向こうの影も揺れなかった。
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