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しおりを挟む「オレ…もう出ようと思うんだけど…」
男同士に加え、今までさんざん裸体を見られていると言うのに、なぜかそこに立たれているだけで落ち着かなかった。
出ていってくれる事を願いながら息を詰めて待っていたが、威の影はやはり動かない。
「…威……あの…」
「出てきたら?」
「いや…でも」
「先輩には見せれて、俺には見せたくないの?」
平坦な声はなんの感情も覗かせてはおらず、真意を図りかねて葉人は眉尻を下げる。
「何言ってんだよ」
「別に男同士なんだから、気にする必要もないだろ?」
そう言われてしまえば確かにそうだったけれど、それは威が自分を性的対象と見ていなかった頃の話だった。
流れ続けるシャワーを止め、葉人は少し扉に近寄る。
「た…頼むから…」
出ててくれないか…の言葉は、弾くように開けられた扉の音に遮られて消えた。
湯気で暖まった浴室の中へ、夏とは言え外のひんやりとした空気が流れ込み、その空気に流されるように威がパシャリと風呂場の床に足を進める。
「あっ…た……ぁっ…」
威の纏う雰囲気に、何か言おうと開いた口は動かない。
全身を襲う鳥肌にぶるりと体を震わせ、葉人は冷たい水滴を足裏に感じながらよろけるように後ろへと下がった。
「……」
無言のままこちらに手を伸ばす威に竦み上がってしまい、歯が小さくカチカチと音を立てる。
「……俺が、怖い?」
ポツリ、と問いが投げ掛けられる。
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