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裏切り
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しおりを挟む上げそうになった言葉を飲み込み、そっと後ずさる。
きしりとも音を立てない廊下に感謝しながらしながらそっと部屋へと戻り、ずるりとその場に崩れ落ちた。
「…な…なに?今の………」
何の話をしていたのか、他の解釈がないかぐるぐると回る頭で何かを考えようとするが、自問自答のその答えは片っ端から一つの答えを導くものでしかなくなり…
「威、なんの為に……」
悠哉を呼ぶのか…?
がち…と震えたせいで歯が鳴った。
「オレが…いるのに何で?」
なぜ悠哉を呼ぶ必要があるのか?
落とした視線の先に、擦れて痣となった傷跡が見える。
傷跡だけじゃない、それ以外の、肌を吸われて付いた痕も点々と残っていて……
「…こんな…誰に抱かれたかもわからない…体…………触りたくないよね…」
司郎や光彦や……名前も知らない男の肌を思い出して体が震える。
蹂躙されたその記憶に体を抱き締めた。
「威が、オレを触りたくないの、……よくわかった」
膝を引き寄せ、そこに顔を埋める。
「……ごめん…威。巻き込んじゃって…ごめん」
嗚咽の代わりに小さな謝罪の言葉を繰り返した。
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