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裏切り
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しおりを挟む「…」
「傍に来ないのか?」
「や…あの……」
体にぎゅうっと力を入れて緊張している葉人に、司郎はけたけたと笑って頭を撫でた。
「俺も今日は疲れてる。…ほら、寝るぞ」
手を引かれ、司郎の腕に抱きこまれる形でベッドに転がる。
「あの…腕を…」
首と腰に回された手を気にして言うと、司郎はその鋭い目をにやりと意地悪そうに細めた。
「狭いベッドなんだ、しかたないだろ?…宿泊費払ってると思えよ」
「やっあのっ…オレ、さっきのとこで寝ますからっ」
ジタバタと首を振る葉人の鼻を摘まみ上げ、司郎は落ち着けと繰り返す。
「そんな体の奴、床に寝かせられねぇだろ」
「片付けるとか、自分が床で…とかはないんですか?」
「ねぇな」
きっぱりと言い切るその言葉に、ぷっと噴き出す。
「なんで?もぅ!じゃあ、オレが片付けますよ」
「いい、触んな」
「ええ?ゴミだけでも…」
体を起こそうとした葉人を力強い腕が抱き締め、再びベッドへと引きずり戻す。
「笑った今のうちに寝とけ」
指が葉人の頭を押し、司郎の胸へと押し付け、もう片方の手は背中をとんとんと叩き始めた。
「ぅ……先輩、お兄ちゃんですね…」
耳に当たる胸から聞こえる心臓の音が、規則的なリズムを刻む。
「まぁ…千秋とか、ちっせぇ奴らの面倒見てきたからなぁ…」
微かな眠気混じりの声。
千秋と知り合いだと言っていたな…と、おぼろげに思いながら、そのリズムと温かさに促されるように目を閉じた。
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