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裏切り
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しおりを挟む「……えと…そう言えばおうちの人は…」
「父親は単身赴任。母親は働きに行ってる」
家がしんと静まり返っているのはそう言う理由なのかと、葉人は乾いた唇を湿らせたくてコーラを開けようとした。
「…お前、この家二度目なの覚えてるか?」
ぷしゅ…と手の中でコーラが立てる音と一緒に飛び上がった。
「へ!?」
「あ。やっぱりか」
コーラを全て飲み干して、司郎は拗ねたように空のペットボトルをゴミ箱へと投げ入れる。
「オ、オレ、ここにですか!?」
「まぁいいや」
ふらりと立ち上がり、部屋に行くぞ…と葉人を促した。
引き戸を開けて、雑然としたその部屋を見渡す。司郎は馴れた足取りでその部屋の中を進んでいくが、葉人は足を置く場所を見つけられずに立ち止まる。
「おい、何してんだ?…あぁ」
葉人の足元を見やり、司郎は軽い溜息と一緒に葉人の傍まで戻った。
そして手を葉人の膝裏と背中に手をやる。
「腕が痛いからな。暴れるなよ」
そう言って葉人を抱え上げた。
足が浮く不安さに、葉人はとっさに司郎にしがみつく。
「なんだ。可愛いな」
「ちょ…っ…なんでお姫様抱っこなんですか!?」
「内緒だ」
その部屋で唯一座れそうなベッドの上へ葉人を下ろすと、司郎もその隣にどすんと腰を下ろした。
司郎との距離の近さに気まずさを感じて葉人は座り直すふりをして司郎からやや距離を取る。
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