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学校
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しおりを挟む「ふ…ゃ…やだ…っ」
「拒むなっ!」
乱暴に手がベルトに回り、葉人のささやかな抵抗もあってないようなものとして剥ぎ取って行く。
威が衣服を奪うごとに、葉人の目に涙がたまり、それが自身の震えによってぽろぽろと転がり落ちる。
「…拒まないでくれ……」
「っ…」
哀願。
けれど手つきは今までの優しさを微塵も感じさせない無常さで乱暴に動き回る。
「た…威…」
下肢を覆うものを奪われ、思わず膝を抱えるようにして身を縮めると、威はそんな葉人を抱え上げてベッドの方へと転がした。
「おか…おかしいよっ!!いつもの威じゃないっ!」
「お前のっ……葉の見てる俺なんて、ホントの俺じゃないっ…葉にいいところ見せたくて…かっこつけて無理して……」
「…無理?」
葉人の足を掴んだ威の顔が歪む。
苦しそうなその表情に、葉人は抵抗を止めて首を振った。
「オレ、威に無理させてた?」
「…」
「オレ、威の事なんにも見てなかった?」
「葉には…俺の、汚いとこ見て欲しくなかった。本当は頭ん中、発情期の猿並だとか、葉人の傍に俺以外の奴が寄ると殴りたくなるとか…」
いつの間にか、葉人を弄っていた手は止まっていた。
「いつか、こんなんじゃ…葉人を壊しちゃうんじゃないかって…いつか無理矢理…………だから、悠哉で誤魔化した。亜矢子とも付き合ってみた…でも……どれも誤魔化しにならなかった」
きつく寄せられた眉にその苦悩の深さを見て、葉人はいたたまれなくなって威の腕に手を掛けた。
「葉を諦めようとすればするほど…っ……逆にいっぱいいっぱいになって…………だから…」
「威?」
問うように名前を呼ぶと、涙を溜めた目がこちらを見た。
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