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放課後の教室で…
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しおりを挟むメタセコイヤの葉影が暗く彼女の顔を覆い、明るい日差しの筈なのにそこだけぽっかりと落とし穴があるかのように空気が沈み込む。
「楽しそう」
亜矢子はそう言うと、ゆらりと揺れるように首を傾げて微笑んだ。
「一時、仲悪かったのに…何があったのかなぁ?」
ふふと笑うその顔が人形のように目が笑っておらず、先程感じた冷たさがキシキシ音を立てて這い寄ってくるような悪寒に襲われる。
寒い季節ではない筈なのに、どうしてかぶるりと体が震えそうになった。
「どうだっていいだろ?もう本鈴鳴るぞ」
威に肩を押されて歩き出した瞬間、
「あっ」
ひやりとした感触だった。
その後どっと熱い感覚が沸き上がり、とっさに押さえた腕がどくんと大きく脈打つ。
「葉?」
「あ…あ?え、と……?」
思わずしゃがみ込んだ葉人を訝しげに覗き込んだ威は何が起こったのかわかっていないらしく、はっと見開いた目が状況を確認するためにせわしなく動いた。
「…っ」
「な…?なんだこれっ!!」
腕を押さえていた手を掴まれ小さく呻く。
「―――っ!亜矢子っ!!」
傷つけられた葉人の方が飛び上がる程鋭く威が名前を呼んだが、亜矢子はふふ…と小さく笑い返しただけで反応は見せなかった。
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