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第24章 ドイツ軍反攻作戦
24.1章 攻撃作戦開始
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ノーフォークの海軍施設で3カ国共同研究の管理をしているレイトン大佐のところに、日本の研究者から興味深い報告書が送付されてきた。すぐに、似た内容のレポートがアメリカのノイマン博士たちからも送られてきた。
2カ国の研究者から提出された「Urgent」とスタンプされたメモを読み進んでゆくうちに、大佐の顔色が変わってきた。
彼は電話の受話器を上げると、アメリカ戦略情報局のドノバン局長に連絡を入れた。ノーフォークの共同研究活動は、アメリカ戦略情報局(OSS)とイギリス秘密情報部(MI6)の管理下にある。レイトン大佐から見た最上位者であるドノバン局長に直接連絡したのは、それだけ重要な情報だと思ったからだ。
「大至急、陸軍航空軍の司令官に警告を入れていただきたい。……ええ、私の管理下の暗号解読の成果です。分析結果を信じるならば、イギリスの基地が攻撃を受けるまでにあまり時間の猶予はありません。……間違いないと思います。私はこの解読結果を全面的に信じていますよ。私からアーノルド大将に直接説明してもかまいません。とにかく、イギリスに駐留している航空軍の司令官に警告がすぐにも伝達されるように手配してください」
電話を終えてしばらく待っていると、レイトン大佐のところに電話がかかってきた。
「アメリカ陸軍統合参謀本部のハンセルだ。ドノバン局長から連絡を受けた。君の組織の分析結果をもう少し詳しく教えてくれ。それが信頼度の高い情報だとわかれば、航空軍司令官のアーノルド大将と第8航空軍のドーリットル中将には私から説明する。30分以内に結論を出したい」
……
第8航空軍司令部は、偵察機やイギリス軍から提供される種々の情報から、ヨーロッパ大陸におけるドイツ空軍の動きをある程度つかんでいた。多数のハインケルの4発機が、ドイツ北部の基地に集まってくればかなり目立つ。偵察機がそれを見逃すはずはない。
早朝にもかかわらず、ドーリットル中将は参謀たちを集めて状況分析をしていた。目の前には偵察型のモスキートやP-38が撮影してきた写真が並べられていた。
キャッスル少佐が、写真の説明を始めた。
「ブレーメンやハンブルク近郊の基地ですが、偵察写真が示すように、2週間で大型爆撃機の数が増えています。4発機はグリフォンと呼ばれているハインケルの爆撃機で、モスクワを遠距離爆撃した機体です。この地域の基地に爆撃機を集める目的は一つしかあり得ません。イギリス本土を攻撃する準備と考えられます」
少佐の説明に中将も納得していた。
「イギリスを攻撃するならば、定石として航空兵力を殲滅させるための攻撃が初手になるはずだ。そうなると、攻撃目標の中でも可能性が高いのは航空基地だろう。むろんロンドンなどの都市爆撃も考えられるが、今のドイツ軍がバトル・オブ・ブリテンの過ちを繰り返すとは、考えられないな。ここは、我が軍のB-29によるドイツ爆撃の報復攻撃と考えるのが妥当だろうな。まあ、目標がどこであってもドイツ軍の攻撃を我々が迎え撃つということに大きな違いはない。迎撃の準備はイングランドが攻撃されるという前提で進めるぞ」
議論が盛り上がったところで、ドーリットル中将に本国からの通信文が届けられた。電文を黙って一読すると、中将は、集まっている士官に向かって口を開いた。
「我々の推定は、正しかったようだ。本国の陸軍航空軍司令部からの緊急電だ。ドイツ軍は4発爆撃機を使用して1週間以内にイギリス攻撃を開始するだろうとのことだ。やはり、攻撃目標は我々が展開している航空基地の可能性が非常に高いだろうと書いてある」
「偵察結果からも、本国の推定は矛盾していません。それにしても、よくそんなにピンポイントで時間と目標がわかりましたね」
キャッスル少佐の顔をドーリットル中将は見ると静かに答えた。
「極秘の情報だが、連合国はエニグマ2の解読にかなり力を入れていたらしい。おそらく、その成果として得られた情報だと思う。これは絶対に外部には言うなよ。暗号解読は、ドイツ軍に絶対に悟られてはならない」
自分たちが置かれている状況を分析していたハル大佐が、口を開いた。
「ドイツ軍が攻撃してきた時の迎撃戦の準備を優先すべきですが、ドイツ側の空軍基地への攻撃も準備しましょう。迅速に基地攻撃の用意が完了すれば、我々が先にドイツ軍を攻撃することもあり得ます。基地に集まった重爆撃機を先んじて破壊できれば、ドイツ軍は作戦を実行できません。もちろん、我々の準備よりも先にドイツ軍が攻撃を仕掛けてくるならば、全力で迎撃することになります」
しばらくドーリットル中将は考えていたが、その場で顔を上げると決断した。長い時間、迷っている場合ではないとわかっていた。
「まずは、戦闘機を中心とした迎撃戦の準備だ。戦闘機隊の整備と補給を最優先に実施する。次に、B-29による北部ドイツ空軍基地攻撃の準備を進める。なお、レーダー搭載型のB-29を交替で北海上空で24時間飛行させる。ドイツ軍からの奇襲攻撃を避けるためだ。先制攻撃を探知した場合には、B-29など迎撃戦の戦力外の機体は速やかに空中退避させる」
もちろん、中将の方針に対して誰からも異論は出なかった。今は議論よりも行動が必要だと、その場の全員が認識していた。もっともドーリットル中将は、ハル大佐が言い出した攻撃される前にドイツ側を攻撃するという案が、それほど簡単に実行できるとは考えていなかった。
(我々がUボート基地を攻撃したのは数日前だ。ドイツ軍から受けた被害は決して小さくはなかった。無事に帰投した戦闘機や爆撃機も小破程度の被害を受けた機体は数多くあるだろう。それらの機体の修理がまず必要だ。加えて、さらに多くの機体には出撃後の整備が必要だ。次の爆撃作戦が短時間のうちに可能になるとは考えにくい)
しかし、第8航空軍の司令官は懸念をあえて口に出さなかった。出撃準備にどれほどの時間を要するのかわからない以上、あえてやってみるのも悪くないと思ったからだ。
……
新編された第六航空艦隊は、欧州で作戦するために新たに編制された日本海軍の部隊だ。海軍航空隊であっても空母搭載ではなく、全て陸上基地での活動を前提とした部隊だ。部隊が配備されたのは、イングランドのエッセクス州南方のテムズ川に近い地域だった。もちろんドイツ本土や西ヨーロッパのドイツ支配域への攻撃をにらんだ配置だ。配備された兵員たちは基地の広さや兵舎、ハンガーの設備の良さと舗装された滑走路の広さに驚いた。日本本土でも、これらの基地よりも整備された基地はほとんどないだろう。
最初に彼らが驚いたのは食事の良さだった。連合軍の標準的な食材が供給されて調理しただけだったが、日本人の想像をはるかに上回った。日本からやってきた兵員たちは、アメリカ人はこんないい食事をしているから、あんなに体が大きいのかと妙に納得した。
第六航空艦隊の機材が届くとさっそく訓練が始まった。食料や住環境だけでなく、連合軍の一員として、アメリカから提供される燃料とオイルは、その質が大きく向上していた。機体の稼働率が改善して、飛行性能も少しばかり向上した。
一方、陸軍もほぼ同時期に第4航空軍を編制して、イギリス本土に送り込んでいた。海軍が多数の大型爆撃機を配備したのに比べて、陸軍は戦闘機と双発機が主体になったがドイツ本土への出撃も可能なように訓練を繰り返していた。
ドイツ軍が攻撃準備を開始したとの情報は、第六航空艦隊司令部の高須中将にも報告されていた。すぐに、司令官は参謀たちを集めた。
「ノーフォークの遣欧艦隊司令部から、我々に対する警報が発出された。今週末までにドイツ軍爆撃機がロンドン北西から北東の航空基地を攻撃する可能性が高いとのことだ。爆撃に参加するドイツ軍機はグライフとブリッツという名称が明らかになっている」
六航艦参謀長の松永少将にとっては、いずれはあり得ると考えていた想定範囲内の情報だった。
「遠からず、ドイツ軍も反撃に出ると考えていました。米軍の攻撃によりUボート基地を壊滅させられた報復の意味もあるでしょうね。グライフというのはモスクワを攻撃した4発爆撃機です。高空からの爆撃により地下壕を破壊したそうですから、侮ってはならない相手だと考えます。ブリッツという名前は初めて聞きました。新型の爆撃機だと思われます。すぐに戦闘機隊による迎撃の準備に取り掛かります」
「陸軍第4航空団の寺本中将にも、警告を発出してくれ。おそらく、陸軍参謀本部経由で連絡を受けているとは思うが、我々と同じイギリス派遣軍として意思疎通は密にしておきたい。陸軍の戦闘機も防衛戦力として大いに頼りにしたいからな」
……
軍令部3部の小倉少佐が、このところ深夜までかかって作業していた解読作業の成果をねぎらいにやってきた。
「筧大尉、我々の分析により導き出した結論だが、小沢さんの艦隊司令部からイングランドの航空艦隊に警報が発出されたとのことだ。レイトン大佐のところに提出した緊急報告書もアメリカ軍とイギリスの上層部に伝達されたと聞いている。イギリスに駐留している3カ国の航空隊は、我々からの警告を受けて対応が始めているだろう」
およそ1週間前から、ドイツ国内でやりとりされている通信が増加し始めた。何らかの作戦を考えているというのは、おおむね想像できる。我々は傍受したエニグマ2の通信文を解読して、いつ、どこで、どのような作戦をドイツ空軍が計画しているのか明らかにしようとしていた。
努力の結果、解読は不完全だったが、ハインケルの大型爆撃機の名称が暗号文に繰り返し登場することをつかんだ。しかもエセックス州とサフォーク州に存在する地名を解読できた。これらの断片をつなぎ合わせることで、航空基地に対して、大型爆撃機を主力としてドイツ空軍が攻撃を仕掛けるという全体像がつかめてきた。しかも暗号文中の数字を解読すると、いずれも1週間以内の月日を示している。攻撃の実行開始日か、作戦準備の期日を示しているのだろう。我々は、その結果をすぐに暗号解読のアメリカ側責任者と遣欧艦隊司令部に通知したのだ。
「時間的にぎりぎりでしたが、何とか警告が間に合ってよかったです」
「ああ、これから後は現地の部隊が我々の情報も生かして、うまく戦ってくれることを祈るしかないな」
……
ヒトラーの命令で開始されたたイギリス本土攻撃の準備は、10月13日にはおおむね完了していた。第3航空艦隊司令部参謀長のコーラー少将は、多数の爆撃機を移動させたという変化は、間違いなく連合軍に把握されていると考えていた。
「大規模な攻撃隊が集まったならば、連合軍から攻撃される可能性が高まります。つまり、準備を始めたならばできる限り迅速に実行する必要があります。先延ばししていれば、我々が先制攻撃を受けるでしょう。今回の作戦では、航空基地を見つけて破壊するためには、爆撃精度が要求されます。つまり、好天時の昼間爆撃でなければ満足な戦果は得られません」
航空艦隊司令官のシュペルレ元帥もコーラー少将の意見を妥当だと考えた。
「さっそく作戦を開始したい。現状の、北部ドイツからイギリスにかけての天候も考慮して、攻撃開始日時を10月15日早朝とする。各部隊に連絡してくれ」
シュペルレ元帥の決断は、天候にも後押しされてすぐに実行に移された。
北部ドイツの基地に集まったKG30とKG40のHe177Cを合わせると、284機が配備されていた。しかし、今までの戦闘による消耗や故障、整備中などの理由で稼働機は減少していた。作戦が決まると、航空団の整備部隊は1機でも多くの機体を戦闘可能にさせるべく、寝ずに努力していた。そのおかげもあって2個の重爆撃航空団から実際に作戦に参加できるHe177Cは、配備数の7割程度に改善していた。
第3航空艦隊司令の命令は着実に実行された。1943年10月15日になって、199機のHe177Cがミュンスターからブレーメン、ハンブルクにかけての6カ所の基地から離陸した。ほぼ同時に、ロッテルダムからアムステルダム近郊の基地から151機のTa152Hと38機のTa152C、それに70機のMe309Bが発進した。これらの戦闘機は、フランスから北部ドイツにかけて展開していた第2戦闘航空団(JG2)と第11戦闘航空団(JG11)、第26戦闘航空団(JG26)からかき集められていた。
……
もともと戦闘機総監のアドルフ・ガーランドはこの作戦には乗り気でなかった。連合軍の戦闘機隊は最近になって質も量も向上している。それに加えて、日本の航空隊もイギリスへの配備が始まったはずだ。東洋の島国の実力も侮りがたい。そんな多くの戦闘機が待ち構えているところに攻撃を仕掛ければ、ドイツ空軍の被害は決して小さくないに違いない。
そんな連合国側の兵力を前提とすると、これだけの数のドイツ軍機を揃えてもまだ不十分だと考えていた。攻守比3倍の法則を持ち出すまでもなく、攻撃作戦は守備側よりも大兵力が必要だ。守備側が兵力で優勢な場合、たった一度の作戦でも攻撃側は大きな被害を受けるだろう。そうなれば、次はドイツ本土防衛に影響が出るはずだ。
イギリス本土攻撃をガーランドも否定していなかったが、今はまだその時ではないということだ。本土防衛に徹して、攻撃してくる連合軍の航空兵力に繰り返し被害を与えていれば、反撃のチャンスが訪れるはずだと考えていた。しかし、戦闘機総監の懸念とは裏腹に、現実は各地の部隊から集めたパイロットと航空機を、有力な兵力が待ち構えるイギリス本土に送り出さざるを得なくなっていた。
作戦の見直しをドイツ空軍最高司令部(OKL)に進言したが、200機の爆撃機と250機の戦闘機が参加する大作戦が失敗することなどありえないという返事が返ってきただけだった。
アメリカとイギリスの戦闘機の実力を知っているガーランドにとっては、OKLの想定は、楽観的な見方だと言わざるを得ない。モスクワ爆撃がうまくいったからと言って、今回は東部戦線のようにはいかないだろう。He177Cが高空から悠々と爆撃してから、戻ってこられるのは東部戦線だけだ。それはドイツ空軍自身が高空を飛行するボーイングの大型爆撃機を多数撃墜することで証明しているだろう。西ヨーロッパの空は、高度10,000mを飛行しても決して安全ではないのだ。
ガーランドは戦闘機総監の立場を利用して、少しでも被害を抑えるために、実戦配備が始まったばかりのジェット爆撃機を出撃させることにした。Ar234ならば、単独攻撃でも高速を生かして連合軍の防空網を突破できるだろう。Ar234が防空網を突破して、航空基地を攻撃すれば、連合国の地上部隊も混乱するに違いない。
アドルフ・ガーランドからの要求で、Ⅲ/KG76(第76戦闘航空団/第Ⅲ飛行隊)に配備が始まったばかりのAr234がSC500爆弾1発を搭載して、オランダ北方の基地から発進した。戦闘機乗りのアドルフが集めたジェット爆撃機は32機だった。それは、元伍長のアドルフが集めた4発爆撃機よりもかなり少なかった。
最後に、ガーランドはMe262を装備するノヴォトニーの実験飛行隊に連絡を入れた。
「……ああ、その通りだ。グライフの編隊が離陸したら、少し待ってから出撃してくれ。ちょうどイングランドン海岸線あたりで追いつくように時間調整すればいいだろう。……戦闘時間は、燃料と相談して決めてくれ。もちろん、長時間戦闘できるなどとは考えていない。連合軍の戦闘機を攻撃してもらえばそれでいい」
……
第8航空軍は、事前情報を得た時点でレーダー搭載のB-29を北海からオランダ沖合へと毎日飛行させていた。巡航速度ならば、半日以上滞空できるB-29の性能を生かして、6機が交替することにより、24時間途切れることなく2カ所で警戒を続けていた。
北海上空での探知情報をキャッスル少佐が持ってやって来た。
「ドーリットル中将、ドイツ軍の発進を北海上のB-29が探知しました。大編隊がヨーロッパ大陸の基地を離陸して、北海上に向かっています。同時にオランダから上昇中の多数の航空機を探知しています」
「我々の爆撃隊がドイツ軍基地を攻撃するよりも先手を打たれたな。今日は迎撃戦を優先する。作戦の検討はできているだろうな」
「ドイツ軍は爆撃機に護衛の戦闘機をつけているはずです。我々はP-47NとP-51Dでそれに対抗します。日本軍とイギリス軍からも多数が出撃するはずです。3カ国の部隊が協力すれば、ドイツ軍を痛い目にあわせられます」
中将は強くうなずいて前を見ながら命令した。
「戦闘機隊を発進させる。基地の爆撃隊は西方か北部イングランド基地に退避だ」
ドーリットル中将はキャッスル少佐ほど楽観的ではなかった。
「ドイツ軍の実力を考えれば、迎撃戦の兵力は、多ければ多いほど良い。日本軍とイギリス軍にもB-29の探知情報は通知されているだろうな?」
「問題ありません。事前の取り決めに従い、B-29警戒機からの情報は日本軍とイギリス空軍にも通知されています。彼らも迎撃作戦を開始するはずです。作戦空域については事前の分担に変更はありません」
そこまで話したところで、六航艦司令部から第8航空軍に通知が入ってきた。
「北海上空を飛行しているリズ(深山)が、ドイツ軍の大編隊を探知したとのことです。ドイツ軍は大きく3つのグループに分かれて、南から北に分かれて異なるルートで飛行しているようです。日本軍の戦闘機隊を発進させたとの報告も入っています」
どこの空軍でも多数機で攻撃するならば、いくつかの編隊に分かれて侵攻する。今回のドイツ軍の攻撃は暗号解読により、基地攻撃が主目的だとほぼ判明していた。イングランド南部に面的に分散している複数の基地を攻撃するならば、なおさら編隊を分割する可能性が高い。ドーリットルの司令部もそれを前提として作戦を考えていた。
「東アジアのわれらの友人は、行動が速いな。自分たちの手持ちの駒を前に進めたということか。諸君、我々もぐずぐずしていられない。離陸した戦闘機隊にドイツ軍機の飛行ルートを教えてやれ。できる限り北海上空で攻撃を阻止するのだ」
2カ国の研究者から提出された「Urgent」とスタンプされたメモを読み進んでゆくうちに、大佐の顔色が変わってきた。
彼は電話の受話器を上げると、アメリカ戦略情報局のドノバン局長に連絡を入れた。ノーフォークの共同研究活動は、アメリカ戦略情報局(OSS)とイギリス秘密情報部(MI6)の管理下にある。レイトン大佐から見た最上位者であるドノバン局長に直接連絡したのは、それだけ重要な情報だと思ったからだ。
「大至急、陸軍航空軍の司令官に警告を入れていただきたい。……ええ、私の管理下の暗号解読の成果です。分析結果を信じるならば、イギリスの基地が攻撃を受けるまでにあまり時間の猶予はありません。……間違いないと思います。私はこの解読結果を全面的に信じていますよ。私からアーノルド大将に直接説明してもかまいません。とにかく、イギリスに駐留している航空軍の司令官に警告がすぐにも伝達されるように手配してください」
電話を終えてしばらく待っていると、レイトン大佐のところに電話がかかってきた。
「アメリカ陸軍統合参謀本部のハンセルだ。ドノバン局長から連絡を受けた。君の組織の分析結果をもう少し詳しく教えてくれ。それが信頼度の高い情報だとわかれば、航空軍司令官のアーノルド大将と第8航空軍のドーリットル中将には私から説明する。30分以内に結論を出したい」
……
第8航空軍司令部は、偵察機やイギリス軍から提供される種々の情報から、ヨーロッパ大陸におけるドイツ空軍の動きをある程度つかんでいた。多数のハインケルの4発機が、ドイツ北部の基地に集まってくればかなり目立つ。偵察機がそれを見逃すはずはない。
早朝にもかかわらず、ドーリットル中将は参謀たちを集めて状況分析をしていた。目の前には偵察型のモスキートやP-38が撮影してきた写真が並べられていた。
キャッスル少佐が、写真の説明を始めた。
「ブレーメンやハンブルク近郊の基地ですが、偵察写真が示すように、2週間で大型爆撃機の数が増えています。4発機はグリフォンと呼ばれているハインケルの爆撃機で、モスクワを遠距離爆撃した機体です。この地域の基地に爆撃機を集める目的は一つしかあり得ません。イギリス本土を攻撃する準備と考えられます」
少佐の説明に中将も納得していた。
「イギリスを攻撃するならば、定石として航空兵力を殲滅させるための攻撃が初手になるはずだ。そうなると、攻撃目標の中でも可能性が高いのは航空基地だろう。むろんロンドンなどの都市爆撃も考えられるが、今のドイツ軍がバトル・オブ・ブリテンの過ちを繰り返すとは、考えられないな。ここは、我が軍のB-29によるドイツ爆撃の報復攻撃と考えるのが妥当だろうな。まあ、目標がどこであってもドイツ軍の攻撃を我々が迎え撃つということに大きな違いはない。迎撃の準備はイングランドが攻撃されるという前提で進めるぞ」
議論が盛り上がったところで、ドーリットル中将に本国からの通信文が届けられた。電文を黙って一読すると、中将は、集まっている士官に向かって口を開いた。
「我々の推定は、正しかったようだ。本国の陸軍航空軍司令部からの緊急電だ。ドイツ軍は4発爆撃機を使用して1週間以内にイギリス攻撃を開始するだろうとのことだ。やはり、攻撃目標は我々が展開している航空基地の可能性が非常に高いだろうと書いてある」
「偵察結果からも、本国の推定は矛盾していません。それにしても、よくそんなにピンポイントで時間と目標がわかりましたね」
キャッスル少佐の顔をドーリットル中将は見ると静かに答えた。
「極秘の情報だが、連合国はエニグマ2の解読にかなり力を入れていたらしい。おそらく、その成果として得られた情報だと思う。これは絶対に外部には言うなよ。暗号解読は、ドイツ軍に絶対に悟られてはならない」
自分たちが置かれている状況を分析していたハル大佐が、口を開いた。
「ドイツ軍が攻撃してきた時の迎撃戦の準備を優先すべきですが、ドイツ側の空軍基地への攻撃も準備しましょう。迅速に基地攻撃の用意が完了すれば、我々が先にドイツ軍を攻撃することもあり得ます。基地に集まった重爆撃機を先んじて破壊できれば、ドイツ軍は作戦を実行できません。もちろん、我々の準備よりも先にドイツ軍が攻撃を仕掛けてくるならば、全力で迎撃することになります」
しばらくドーリットル中将は考えていたが、その場で顔を上げると決断した。長い時間、迷っている場合ではないとわかっていた。
「まずは、戦闘機を中心とした迎撃戦の準備だ。戦闘機隊の整備と補給を最優先に実施する。次に、B-29による北部ドイツ空軍基地攻撃の準備を進める。なお、レーダー搭載型のB-29を交替で北海上空で24時間飛行させる。ドイツ軍からの奇襲攻撃を避けるためだ。先制攻撃を探知した場合には、B-29など迎撃戦の戦力外の機体は速やかに空中退避させる」
もちろん、中将の方針に対して誰からも異論は出なかった。今は議論よりも行動が必要だと、その場の全員が認識していた。もっともドーリットル中将は、ハル大佐が言い出した攻撃される前にドイツ側を攻撃するという案が、それほど簡単に実行できるとは考えていなかった。
(我々がUボート基地を攻撃したのは数日前だ。ドイツ軍から受けた被害は決して小さくはなかった。無事に帰投した戦闘機や爆撃機も小破程度の被害を受けた機体は数多くあるだろう。それらの機体の修理がまず必要だ。加えて、さらに多くの機体には出撃後の整備が必要だ。次の爆撃作戦が短時間のうちに可能になるとは考えにくい)
しかし、第8航空軍の司令官は懸念をあえて口に出さなかった。出撃準備にどれほどの時間を要するのかわからない以上、あえてやってみるのも悪くないと思ったからだ。
……
新編された第六航空艦隊は、欧州で作戦するために新たに編制された日本海軍の部隊だ。海軍航空隊であっても空母搭載ではなく、全て陸上基地での活動を前提とした部隊だ。部隊が配備されたのは、イングランドのエッセクス州南方のテムズ川に近い地域だった。もちろんドイツ本土や西ヨーロッパのドイツ支配域への攻撃をにらんだ配置だ。配備された兵員たちは基地の広さや兵舎、ハンガーの設備の良さと舗装された滑走路の広さに驚いた。日本本土でも、これらの基地よりも整備された基地はほとんどないだろう。
最初に彼らが驚いたのは食事の良さだった。連合軍の標準的な食材が供給されて調理しただけだったが、日本人の想像をはるかに上回った。日本からやってきた兵員たちは、アメリカ人はこんないい食事をしているから、あんなに体が大きいのかと妙に納得した。
第六航空艦隊の機材が届くとさっそく訓練が始まった。食料や住環境だけでなく、連合軍の一員として、アメリカから提供される燃料とオイルは、その質が大きく向上していた。機体の稼働率が改善して、飛行性能も少しばかり向上した。
一方、陸軍もほぼ同時期に第4航空軍を編制して、イギリス本土に送り込んでいた。海軍が多数の大型爆撃機を配備したのに比べて、陸軍は戦闘機と双発機が主体になったがドイツ本土への出撃も可能なように訓練を繰り返していた。
ドイツ軍が攻撃準備を開始したとの情報は、第六航空艦隊司令部の高須中将にも報告されていた。すぐに、司令官は参謀たちを集めた。
「ノーフォークの遣欧艦隊司令部から、我々に対する警報が発出された。今週末までにドイツ軍爆撃機がロンドン北西から北東の航空基地を攻撃する可能性が高いとのことだ。爆撃に参加するドイツ軍機はグライフとブリッツという名称が明らかになっている」
六航艦参謀長の松永少将にとっては、いずれはあり得ると考えていた想定範囲内の情報だった。
「遠からず、ドイツ軍も反撃に出ると考えていました。米軍の攻撃によりUボート基地を壊滅させられた報復の意味もあるでしょうね。グライフというのはモスクワを攻撃した4発爆撃機です。高空からの爆撃により地下壕を破壊したそうですから、侮ってはならない相手だと考えます。ブリッツという名前は初めて聞きました。新型の爆撃機だと思われます。すぐに戦闘機隊による迎撃の準備に取り掛かります」
「陸軍第4航空団の寺本中将にも、警告を発出してくれ。おそらく、陸軍参謀本部経由で連絡を受けているとは思うが、我々と同じイギリス派遣軍として意思疎通は密にしておきたい。陸軍の戦闘機も防衛戦力として大いに頼りにしたいからな」
……
軍令部3部の小倉少佐が、このところ深夜までかかって作業していた解読作業の成果をねぎらいにやってきた。
「筧大尉、我々の分析により導き出した結論だが、小沢さんの艦隊司令部からイングランドの航空艦隊に警報が発出されたとのことだ。レイトン大佐のところに提出した緊急報告書もアメリカ軍とイギリスの上層部に伝達されたと聞いている。イギリスに駐留している3カ国の航空隊は、我々からの警告を受けて対応が始めているだろう」
およそ1週間前から、ドイツ国内でやりとりされている通信が増加し始めた。何らかの作戦を考えているというのは、おおむね想像できる。我々は傍受したエニグマ2の通信文を解読して、いつ、どこで、どのような作戦をドイツ空軍が計画しているのか明らかにしようとしていた。
努力の結果、解読は不完全だったが、ハインケルの大型爆撃機の名称が暗号文に繰り返し登場することをつかんだ。しかもエセックス州とサフォーク州に存在する地名を解読できた。これらの断片をつなぎ合わせることで、航空基地に対して、大型爆撃機を主力としてドイツ空軍が攻撃を仕掛けるという全体像がつかめてきた。しかも暗号文中の数字を解読すると、いずれも1週間以内の月日を示している。攻撃の実行開始日か、作戦準備の期日を示しているのだろう。我々は、その結果をすぐに暗号解読のアメリカ側責任者と遣欧艦隊司令部に通知したのだ。
「時間的にぎりぎりでしたが、何とか警告が間に合ってよかったです」
「ああ、これから後は現地の部隊が我々の情報も生かして、うまく戦ってくれることを祈るしかないな」
……
ヒトラーの命令で開始されたたイギリス本土攻撃の準備は、10月13日にはおおむね完了していた。第3航空艦隊司令部参謀長のコーラー少将は、多数の爆撃機を移動させたという変化は、間違いなく連合軍に把握されていると考えていた。
「大規模な攻撃隊が集まったならば、連合軍から攻撃される可能性が高まります。つまり、準備を始めたならばできる限り迅速に実行する必要があります。先延ばししていれば、我々が先制攻撃を受けるでしょう。今回の作戦では、航空基地を見つけて破壊するためには、爆撃精度が要求されます。つまり、好天時の昼間爆撃でなければ満足な戦果は得られません」
航空艦隊司令官のシュペルレ元帥もコーラー少将の意見を妥当だと考えた。
「さっそく作戦を開始したい。現状の、北部ドイツからイギリスにかけての天候も考慮して、攻撃開始日時を10月15日早朝とする。各部隊に連絡してくれ」
シュペルレ元帥の決断は、天候にも後押しされてすぐに実行に移された。
北部ドイツの基地に集まったKG30とKG40のHe177Cを合わせると、284機が配備されていた。しかし、今までの戦闘による消耗や故障、整備中などの理由で稼働機は減少していた。作戦が決まると、航空団の整備部隊は1機でも多くの機体を戦闘可能にさせるべく、寝ずに努力していた。そのおかげもあって2個の重爆撃航空団から実際に作戦に参加できるHe177Cは、配備数の7割程度に改善していた。
第3航空艦隊司令の命令は着実に実行された。1943年10月15日になって、199機のHe177Cがミュンスターからブレーメン、ハンブルクにかけての6カ所の基地から離陸した。ほぼ同時に、ロッテルダムからアムステルダム近郊の基地から151機のTa152Hと38機のTa152C、それに70機のMe309Bが発進した。これらの戦闘機は、フランスから北部ドイツにかけて展開していた第2戦闘航空団(JG2)と第11戦闘航空団(JG11)、第26戦闘航空団(JG26)からかき集められていた。
……
もともと戦闘機総監のアドルフ・ガーランドはこの作戦には乗り気でなかった。連合軍の戦闘機隊は最近になって質も量も向上している。それに加えて、日本の航空隊もイギリスへの配備が始まったはずだ。東洋の島国の実力も侮りがたい。そんな多くの戦闘機が待ち構えているところに攻撃を仕掛ければ、ドイツ空軍の被害は決して小さくないに違いない。
そんな連合国側の兵力を前提とすると、これだけの数のドイツ軍機を揃えてもまだ不十分だと考えていた。攻守比3倍の法則を持ち出すまでもなく、攻撃作戦は守備側よりも大兵力が必要だ。守備側が兵力で優勢な場合、たった一度の作戦でも攻撃側は大きな被害を受けるだろう。そうなれば、次はドイツ本土防衛に影響が出るはずだ。
イギリス本土攻撃をガーランドも否定していなかったが、今はまだその時ではないということだ。本土防衛に徹して、攻撃してくる連合軍の航空兵力に繰り返し被害を与えていれば、反撃のチャンスが訪れるはずだと考えていた。しかし、戦闘機総監の懸念とは裏腹に、現実は各地の部隊から集めたパイロットと航空機を、有力な兵力が待ち構えるイギリス本土に送り出さざるを得なくなっていた。
作戦の見直しをドイツ空軍最高司令部(OKL)に進言したが、200機の爆撃機と250機の戦闘機が参加する大作戦が失敗することなどありえないという返事が返ってきただけだった。
アメリカとイギリスの戦闘機の実力を知っているガーランドにとっては、OKLの想定は、楽観的な見方だと言わざるを得ない。モスクワ爆撃がうまくいったからと言って、今回は東部戦線のようにはいかないだろう。He177Cが高空から悠々と爆撃してから、戻ってこられるのは東部戦線だけだ。それはドイツ空軍自身が高空を飛行するボーイングの大型爆撃機を多数撃墜することで証明しているだろう。西ヨーロッパの空は、高度10,000mを飛行しても決して安全ではないのだ。
ガーランドは戦闘機総監の立場を利用して、少しでも被害を抑えるために、実戦配備が始まったばかりのジェット爆撃機を出撃させることにした。Ar234ならば、単独攻撃でも高速を生かして連合軍の防空網を突破できるだろう。Ar234が防空網を突破して、航空基地を攻撃すれば、連合国の地上部隊も混乱するに違いない。
アドルフ・ガーランドからの要求で、Ⅲ/KG76(第76戦闘航空団/第Ⅲ飛行隊)に配備が始まったばかりのAr234がSC500爆弾1発を搭載して、オランダ北方の基地から発進した。戦闘機乗りのアドルフが集めたジェット爆撃機は32機だった。それは、元伍長のアドルフが集めた4発爆撃機よりもかなり少なかった。
最後に、ガーランドはMe262を装備するノヴォトニーの実験飛行隊に連絡を入れた。
「……ああ、その通りだ。グライフの編隊が離陸したら、少し待ってから出撃してくれ。ちょうどイングランドン海岸線あたりで追いつくように時間調整すればいいだろう。……戦闘時間は、燃料と相談して決めてくれ。もちろん、長時間戦闘できるなどとは考えていない。連合軍の戦闘機を攻撃してもらえばそれでいい」
……
第8航空軍は、事前情報を得た時点でレーダー搭載のB-29を北海からオランダ沖合へと毎日飛行させていた。巡航速度ならば、半日以上滞空できるB-29の性能を生かして、6機が交替することにより、24時間途切れることなく2カ所で警戒を続けていた。
北海上空での探知情報をキャッスル少佐が持ってやって来た。
「ドーリットル中将、ドイツ軍の発進を北海上のB-29が探知しました。大編隊がヨーロッパ大陸の基地を離陸して、北海上に向かっています。同時にオランダから上昇中の多数の航空機を探知しています」
「我々の爆撃隊がドイツ軍基地を攻撃するよりも先手を打たれたな。今日は迎撃戦を優先する。作戦の検討はできているだろうな」
「ドイツ軍は爆撃機に護衛の戦闘機をつけているはずです。我々はP-47NとP-51Dでそれに対抗します。日本軍とイギリス軍からも多数が出撃するはずです。3カ国の部隊が協力すれば、ドイツ軍を痛い目にあわせられます」
中将は強くうなずいて前を見ながら命令した。
「戦闘機隊を発進させる。基地の爆撃隊は西方か北部イングランド基地に退避だ」
ドーリットル中将はキャッスル少佐ほど楽観的ではなかった。
「ドイツ軍の実力を考えれば、迎撃戦の兵力は、多ければ多いほど良い。日本軍とイギリス軍にもB-29の探知情報は通知されているだろうな?」
「問題ありません。事前の取り決めに従い、B-29警戒機からの情報は日本軍とイギリス空軍にも通知されています。彼らも迎撃作戦を開始するはずです。作戦空域については事前の分担に変更はありません」
そこまで話したところで、六航艦司令部から第8航空軍に通知が入ってきた。
「北海上空を飛行しているリズ(深山)が、ドイツ軍の大編隊を探知したとのことです。ドイツ軍は大きく3つのグループに分かれて、南から北に分かれて異なるルートで飛行しているようです。日本軍の戦闘機隊を発進させたとの報告も入っています」
どこの空軍でも多数機で攻撃するならば、いくつかの編隊に分かれて侵攻する。今回のドイツ軍の攻撃は暗号解読により、基地攻撃が主目的だとほぼ判明していた。イングランド南部に面的に分散している複数の基地を攻撃するならば、なおさら編隊を分割する可能性が高い。ドーリットルの司令部もそれを前提として作戦を考えていた。
「東アジアのわれらの友人は、行動が速いな。自分たちの手持ちの駒を前に進めたということか。諸君、我々もぐずぐずしていられない。離陸した戦闘機隊にドイツ軍機の飛行ルートを教えてやれ。できる限り北海上空で攻撃を阻止するのだ」
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