電子の帝国

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第7章 日本本土攻撃

7.2章 四航戦の戦い

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 第四戦隊の巡洋艦と駆逐艦は、豊後水道を抜けて東方へと変針していた。既に、四国の東方で迎撃戦が始まったことは、第四戦隊にも通知されていた。

 参謀長の白石少将が状況を整理して第二艦隊司令長官の近藤中将に報告していた。
「米軍の大編隊が、四国の東南方向から侵入したようです。既に呉や岩国の戦闘機隊は四国上空で交戦を開始しました。連合艦隊司令部からは、我々は東南方向を航行中の四航戦と合流せよとの指示が出ています」

「米艦隊の所在は不明なのか? 米軍に対する情報は他にないのか?」

「残念ながら、米軍の空母については正確な所在は不明です。西日本の南方洋上のどこかにいるのは間違いありません。それでも、いまだに発見できていません。米軍の攻撃隊は、本土に接近した時点で電探の妨害策を実行したとの情報が入っています。四国の電探が不調になっているとのことです。戦闘機隊の誘導も順調ではないでしょう」

「電波妨害を実際に作戦で実行したのは初めてだろう。米軍の電探妨害に対して、我が艦隊の電探は大丈夫なのか? 妨害方法の詳細はわかっているのか?」

「電波妨害の具体的な方法は、今のところ不明です。米軍は四国沿岸に接近した時点で、妨害を実行しました。結果的に、四国の沿岸から南方に離れていた我々は、米軍の電波妨害の南方に位置することになりました。そのため、我が艦隊の電探は北側の四国方面の様子はわかりませんが、逆に太平洋上の目標については、探知可能となっています」

「四国から距離をおいていた我々は、むしろ幸運だったということか?」

「ええ、もうすこし北側を航行していれば、我が艦隊も電探妨害の影響を受けた可能性があります」

「南方海上の状況を電波で監視できる我々の存在は、貴重だということだな。電探監視を厳とせよ。特に重点は、太平洋上を飛行する航空機だ」

 近藤長官が指示を出してから、20分ほどが経過した。参謀の石渡少佐が通信室からかけてきた。
「南東方向の編隊を電探が探知しました。かなりの大編隊が南東から西に向かって飛行しています。こんな方向から飛行してくるのは、友軍ではありません」

 すぐに白石参謀長が反応した。
「位置と方向から考えて、米軍の第二の編隊だと判断します。米空母は第一陣とは別の攻撃隊を発進させたのです。四国の南側を宮崎方面に向けて飛行していますが、九州を攻撃する可能性はありません。おそらく四国の南西側を迂回して、足摺岬の沖あたりから豊後水道を北上するように方向転換して、呉を目指すはずです」

「うむ、四国の東側から西北に進む編隊とは、別行動の南方の編隊が存在していたということか。今まで知られていない米攻撃隊を発見したのだ。これは極めて重要だぞ。直ちに軍令部と連合艦隊司令部に第二の編隊の位置と飛行方向を報告する。私の意見として、迎撃の要ありと付け加えてくれ」

 近藤中将は、しばらく海図を見ていた。何か他にもすべきことがあるのではないかと考えていたのだ。参謀長の顔を見たが、彼も黙っていた。

 ……

 軍令部情報研究所の計算機施設にも、四国に設置されている電探が妨害されたことが、陸軍参謀本部を経由して通知された。一方、四国沖の第四戦隊が第二の編隊を探知したとの報告もすぐに伝達された。

 私たちは新たな情報として、二番目の赤軍攻撃隊の侵攻を入力した。

 第二の編隊の存在を入力すると、計算機はすぐに新しい状況分析を出力した。私が計算機の出力を確認していると、後ろから小倉少佐が様子を覗きこんできた。少佐は計算機の表示を読んでこの作戦の意図を考え始めた。

「計算機は、四国の西南を迂回する第二の編隊による攻撃は、低い評価をしているようだな」

「ええ、第一の編隊により、迎撃機を誘引してから、別方向から攻撃するのであれば理解できます。但し、誘引するならば二つの編隊の距離をもっと離さなければ意味がありません。例えば、第一の編隊を徳島から香川に飛行させるような作戦です。それに比べて現状のような中途半端な距離だけ離して、攻撃隊を分散するならば迎撃側は双方に対応できるので利点がありません」

 少し考えて、小倉少佐は、不足している条件があることに気が付いた。
「電波妨害のことを無視しているぞ。四国の電探だけが一時的に探知できないという条件を加えてくれ。そうだな、時刻は第一の編隊が四国に達してから、探知不可としてくれ」

 無理やり青軍の電探が一時的に使えなくなったという状況を追加して計算してみた。すると、第二の編隊を分離することは、悪手ではなくなっていた。
「電探が使えなければ、四国の南側を飛行している編隊は、目視で発見されるまでは隠密行動が可能です。しばらく発見されないならば、第二の編隊は比較的少ない被害で呉を攻撃できるとの答えが出ています。つまり、編隊の分割と電波妨害は一体になった作戦です」

「なるほど、先行する編隊が、四国沿岸で電波妨害をしておいて、本土に侵攻する。我が軍の戦闘機隊がそれに引っ張られている間に、第二の攻撃隊は、電探妨害により所在を隠す。発見される前に南西から豊後水道のあたりを北上するということか。探知されるまでの時間稼ぎができれば、それだけ被害を減らせるはずだな」

 後ろで、聞いたことのない声が聞こえてきた。思わず振り返る。
「軍令部第一部の富岡だ。続けてくれ。赤軍の意図は理解した。次に青軍がとるべき作戦はどうなるのかね?  計算機が出したのはどんな答なのか教えてくれないか?」

 小倉少佐が小声で教えてくれる。
「彼は、軍令部第一部作戦課長の富岡大佐だ」

 私は、黙ってうなずいてから、青軍の作戦行動の分析命令を打ち込んだ。すぐに計算機が青軍の行動を出力した。私と小倉少佐はしばらく、画面に出ていた文字を読んでいた。
「四国南方の青軍の空母から艦載機を発艦させて、赤軍の第二の編隊を要撃させる案が出力されています。距離がかなり近いので、今からでも、呉基地や泊地が攻撃される以前に要撃することが可能だと、計算機は判定しています。加えて、陸上基地の戦闘機隊も第二の攻撃部隊に向かわせられます」

「四国の南側を航行している空母というと、角田司令の四航戦ということだな。そこから戦闘機を上げて、第二の編隊に向かわせるということか。次に、基地の戦闘機を迎撃のために西に向かわせる。候補としては、陸軍の航空隊と九州の大分基地に所在している戦闘機隊か」

 富岡大佐は、しばらく考えていた。
「確かに有効な策だと思える。軍令部の意見として、すぐにも連合艦隊と鎮守府、参謀本部に連絡をする。もはや時間がないので、四航戦には、直接伝えるぞ。角田少将ならば即決するだろう。近藤さんの部隊が探知した米編隊の位置情報は、直接四航戦に報告するように指示する必要があるな。戦闘機隊を出すならば、四航戦も第二編隊の詳細情報が必要だ」

 前田少将が話題を変えた。
「米艦隊の位置はまだ不明なのか? 計算機で想定位置は割り出せないのか? こんなことをしていると、先に四航戦と五航戦が発見されるぞ」

 これには、望月少佐が答える。
「我が軍の索敵機が米空母を発見したとの情報は入ってきていません。計算機による米艦隊位置の想定については、四国から紀伊半島の南方海域のかなり広い範囲となっています。我々が想定している範囲とそれほど変わらない海域なので、現状ではあまり意味はありません。計算機に入力すべき情報が不足しているのです」

 ……

 四航戦は高知の沿岸を東北東に向けて航行していた。米軍の第一編隊発見の報告を受けて、その南東に進んだので、チャフの雲に接近することになってしまった。

 四航戦の空母は、旗艦の「隼鷹」を先頭にして、「祥鳳」「瑞鳳」が続き、最後尾は「龍驤」が航行していた。
「本艦の電探は相変わらず妨害により不調です。外部からの情報を待つしかありません」

 角田少将は憮然とした表情でうなずいた。そこに、軍令部第一部から情報が伝えられた。
「新たな米軍の攻撃隊が発見されたぞ。第二の米編隊が四国の南方から豊後水道を北上する見込みだということだ。四航戦の戦闘機による迎撃が要請されている。どうやら、近くで迎撃できるのは、我々の戦闘機隊のみらしい。艦隊の戦闘機を上げるぞ。豊後水道までならば、短時間で迎撃できるはずだ」

 参謀の石森少佐が答えた。
「万が一、これから米空母を発見した場合、戦闘機がなければ攻撃隊を出せません。しかも米空母が我々の艦隊を先に発見して、攻撃を仕掛けてくる可能性もあります」

「そんなことを考えていたら、手遅れになる。米編隊を見逃せば、それだけ友軍艦艇が攻撃されるだろう。今は発見した敵を攻撃することを優先したい。まずは目の前の敵をたたく」

 石森少佐も長官の覚悟を聞いて納得した。
「それでは、戦闘機隊を向かわせます。現状で出撃の準備ができている機体を直ちに出撃させますか? 今から30分もあれば、整備中の機体も追加して出撃させられます」

「米軍の攻撃隊は今も呉に近づいているのだろう。時間を優先させたい。まずは、現状で出撃が可能な機体だけで、迎撃隊を編制する。10分以内に発艦を開始する。彗星も出撃させよ。爆撃機が相手ならば戦力になるだろう。180度戻ることになるが、艦隊を西方に方向転換させてくれ。発艦前に少しでも米編隊に近づきたいからな。主な戦闘空域は、おそらくこのあたりだ」

 角田司令は、地図上の宿毛湾から宇和島湾のあたりに円を描いた。

 ……

 彗星爆撃隊の阿部大尉は、四航戦の戦闘機隊とともに北西に向けて飛行していた。大尉が率いている編隊は、四航戦の各空母から即座に発艦できた機体を合わせた混成部隊だ。四航戦には、50機以上の戦闘機が配備されていたが、短時間で発艦できたのは、零戦が26機と「隼鷹」に配備が始まったばかりの彗星が14機だ。彗星は、速度では零戦に劣ることはない。しかも、13mm機銃を両翼に2挺備えているので、単発の艦上攻撃機が相手ならば十分対抗できるだろう。

 阿部大尉が、後席の石井飛曹長に飛行経路の確認をした。
「そろそろ、足摺岬を過ぎるな。敵編隊が見えてくるころだ」

「もう少し西側を飛行しているのかもしれません。母艦からの情報では、豊後水道に向けて北西に飛行しているはずです。海上に出てから、北上するだろうとのことです」

「なるほど、水道を北上してから宇和島の西の海域を経て、呉に向かう経路か。海上を飛行することにより、地上からの目撃を避けたいということだな」

 地上の電探基地からの情報はないものの、第四戦隊の「高雄」が電探で探知している情報が四航戦に通知されて、それが彗星隊に伝達されてきた。おかげで、発艦した後も米編隊の動向はある程度わかっていた。指示された通りに、足摺岬の南方を西方に飛行してから海上で北に向きを変えると、北方に飛行している大編隊が見えてきた。

 阿部大尉は無線で、編隊の発見を知らせた。
「前方、2時方向、同高度、大編隊だ」

 戦闘機隊の宮野大尉もほぼ同時に、米軍機の編隊を発見していた。バンクで通知に応えると、編隊の先頭へと進み出てきた。宮野大尉は米軍機の編隊をしばらく観察してから、最初に攻撃すべき相手を決めた。隊内無線で零戦隊に指示する。

「敵編隊の上空に護衛の戦闘機。後方から攻撃する」
(上空の戦闘機は俺たちが相手をしてやる。その間に彗星隊が爆撃機を攻撃できればいい)

 26機の零戦は一斉に米編隊の上空のF4Fを目指して飛行していった。

 ヨークタウン戦闘機隊のサッチ少佐は、南方から接近してくる日本の編隊を既に発見していた。20機余りの日本軍機が少佐の戦闘機隊に向けて上昇してくる。どうして日本軍は自分たちの編隊を発見できたのか、とっさに理解できなかった。
(見つかるのが早すぎるぞ。ウィンドウの作戦が失敗したのか?)

 日本軍機が接近してくると細部が判別できるようになった。
(前方の機体はジーク(零戦)だが、後方の機体は初めて見る機体だぞ。なんと、日本軍は液冷機を投入したのか。日本軍の方が護衛のF4Fよりも圧倒的に機数が多いじゃないか)

 それでも気持ちを落ち着かせて、編隊に命令した。
「相手はジークと新型機だ。爆撃機への攻撃を妨害しろ。但し、逃げる機体は深追いするな。我々は護衛だ。爆撃隊から遠くに離れるんじゃない」

 離れるなと命令されても、後方から攻撃されれば回避するしかない。しかし、爆撃隊を残したまま、急降下で一目散に低空まで退避するような機動はできない。結果的にF4Fは水平面で旋回して回避することになった。望んでいないにもかかわらず、零戦にとって有利な旋回戦闘に誘いこまれてしまった。

 宮野大尉は、日ごろから単機ではなく、編隊戦の訓練を優先していた。操縦員個人の技量によらない戦い方を目指していた。サッチ少佐も編隊での空戦を訓練していたために、零戦とF4Fワイルドキャットの間では、3機から4機程度の編隊による戦闘が多発した。

 しかし、水平面での巴戦ならば、小隊単位の戦闘であっても、零戦はF4Fの内側に回り込むことができる。零戦の長機が先頭のF4Fに狙いをつけて追いつめてゆく。列機は後方から攻撃されないか旋回しながらも警戒を行う。追い込まれているF4Fと小隊を組んでいる他のF4Fが反撃をしようとしても、後方の零戦がするすると進んできて邪魔をする。

 零戦は、F4Fの後方にとりつければ、新型のジャイロ照準器により、旋回している敵機に対しても正確な見越し射撃で機銃弾を命中させることができた。上空には18機のF4Fが飛行していたが、短時間で零戦に圧倒されていった。

 ……

 彗星隊は零戦隊の後ろを飛行していたが、攻撃目標を爆撃機と定めて、降下していった。阿部大尉は、編隊の後方を飛行している胴体の膨らんだ機体が、新型の艦攻だと気が付いた。
「前方に飛行中の機体は艦攻だ。胴体内に魚雷を搭載しているに違いない。胴体後部に銃銃座がある。注意せよ」

 後方に向けて猛烈に射撃してくる火箭を避けようと高度を下げると、胴体下面からも銃撃を受けた。慌てて機体を滑らせて回避する。
「こいつは、胴体の下にも銃座がある。うかつに接近すると反撃を食らうぞ」

 それでも、火力の小さい胴体下の機銃を避けながら13mm機銃を連射した。胴体中央部で13mm弾が、数発爆発するのが見えた。まだ、艦攻は飛行しているが、後方に向けて射撃していた銃座は沈黙した。近づいて、13mmを再び撃ち込むと、エンジンから煙を噴き出しながら、艦攻はがくりと機首を下げて墜ちていった。

 阿部大尉の他にも、艦攻を撃墜した彗星がいるようだ。煙を引きながら、墜ちてゆく胴体の太い機体が見える。大尉が、後方を振り返ると、零戦隊を振り切って降下してくるグラマン戦闘機が見えた。すぐに機体を急降下させた。彗星は旋回が苦手だが、急降下ならば本職だ。グラマンは阿部機を深追いしてこなかった。敵戦闘機を引き離したところで水平に戻す。後方でグラマン戦闘機に撃墜された彗星が見えた。先端が尖った液冷エンジンは見間違いようがない。

 彗星隊は果敢に攻撃したが、米軍機の編隊は数が多い。防弾装置がしっかりしている米軍機に対しては、13mmを何度か連射しなければ撃墜することは不可能だ。そろそろ機銃弾が尽きかけたところで、東方から見慣れない機体が飛行してきた。

 高知市街の東側で米編隊を攻撃した後に、西へと飛行していた雷電の部隊だ。呉鎮守府から、新たな米編隊発見の報告を受けて、足摺岬の上空を飛行していた神崎大尉の部隊が米攻撃隊に追い付いてきた。

 10機以上の米軍の爆撃機を既に撃墜していたが、ざっと見渡しても、いまだに数十機が編隊を組んで飛行していた。さすがに雷電の20mm機銃は、艦爆や艦攻に対しても威力があった。雷電隊の突入により米軍機の編隊は崩れてしまったが、バラバラに散開しながらも北上をやめることはなかった。

 すぐに彗星隊は戦場を後にしたので、阿部大尉はその後の戦闘推移を知らなかった。北上を続ける米編隊に対して雷電の攻撃は長続きしなかった。東側の戦闘に続いて2度目の空戦となり、弾薬も燃料も十分ではなかったのだ。

 ……

 四国上空での戦闘機隊と米攻撃隊の戦闘状況を示す情報が、基地航空隊や呉鎮守府から連合艦隊司令部にも入ってきた。宇垣参謀長が四国上空の状況について、判明していることの説明を始めた。

「長官、四国の上空で太平洋側から侵攻してきた米編隊と我が軍との戦闘が行われました。最初に迎撃戦をしたのは呉を離陸した雷電隊とのことです。その後に基地航空隊の零戦も戦闘に参加しています」

 別の通信文を見ながら三和参謀が説明した。
「第四戦隊から、四国の南側を迂回している編隊を探知したとの報告が上がっています。第二の攻撃隊と考えて間違いありません。おそらく、第一の攻撃隊に我が軍の戦闘機隊を引き寄せておいて、迂回した第二の攻撃隊を突入させる作戦だと考えられます」

「新たな攻撃隊に対して我が軍は黙って見ているのか? この編隊を攻撃できなければ被害が拡大するぞ」

「軍令部から報告が来ています。四国南方の四航戦が戦闘機隊を向かわせました。加えて陸軍戦闘機隊も西に移動して迎撃戦闘に参加しているとのことです」

 四航戦の対応を聞いて、山本長官は安堵のため息をついた。宇垣参謀長は、この連合艦隊司令長官の様子を見て顔をしかめた。

(長官、我々がしなければならない命令を、軍令部がいち早く実行したのですよ。洋上の『大和』に情報が集まるのは、各種の情報伝達手段が整備されている軍令部よりも遅くなります。ところが、航空機の戦いはそれよりも早く推移しています。広い領域の戦闘指揮を行うためには、海上の戦艦はもはや時代遅れです。何も対策をしなければ、我々は命令をする側から聞く側になってしまいますよ)

 参謀長は連合艦隊司令部のあり方に疑問を持ったが、もちろん戦闘中のこの場では言わない。

 思い出したように、山本長官が疑問を口にした。
「そういえば米艦隊発見の報告は何もないのか? 太平洋上の偵察機の状況について教えてくれ」

 航空参謀の佐々木中佐が答える。
「いまだ、米軍の艦隊を発見したとの報告はどこからも上がってきていません。索敵機が発進してからかなりの時間が経過していますので、そろそろ報告が来てもおかしくはありません」

「そうか」
 山本長官は周りを見回したが、誰も米艦隊の行方については説明できなかった。
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