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第7章 日本本土攻撃
7.4章 武蔵の戦い
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ハミルトン少佐は、旋回しながら目の前の戦艦を観察していた。やがて自分の眼の前の巨大戦艦の正体に思い当たった。後席のロビンソン一等兵曹に命令した。
「母艦に報告してくれ。2番艦は日本が建造していた新型戦艦に間違いない。巨大な新型戦艦が太平洋に脱出しようとしている」
少佐は話しながら、同時に右翼側から単発機が飛行してくるのを発見した。友軍機の可能性もあるが、方向から考えて日本軍機の可能性の方がはるかに高い。わずかでも戦闘機から遠い左翼側からモンスターへの攻撃を行うことを決断して、隊内無線で指示すると同時に左側に向けて旋回を開始した。
「向かって左翼側を航行中の2番艦を攻撃する。巨大な戦艦だ。東から接近してくる編隊に注意しろ。おそらく日本の戦闘機だ」
ハミルトン少佐の後方には、「サラトガ」と「レキシントン」を飛び立った合計19機のSBDドーントレスが飛行していた。本来、27機の攻撃隊だったはずだが、日本軍機の攻撃で大幅に減っていた。ハミルトン隊は巨大な戦艦を攻撃目標に定めて接近して行った。幸運なことに、SBDよりも、やや高度をとってまだ生き残っていた7機のF4Fが随伴していた。
加藤中佐は、前方に見える米爆撃機の攻撃意図がわかった。海上のもっとも大きな獲物を狙っているのだ。
「前方、10時の方向に米爆撃機の編隊。上空に戦闘機が飛行している。わが中隊の隼は戦闘機の相手をする。残りの鍾馗は爆撃機を攻撃せよ」
たちまち8機の隼が、F4Fを目指して高度をあげていった。一方、黒江大尉が率いていた9機の鍾馗は、SBDに向かって全速で飛行していった。
爆装のSBDは、どんなに頑張っても200mph(322km/h)程度の速度がやっとだ。それに対して、陸軍の鍾馗は、4,000mの高度でも600km/h近くで飛行することができた。圧倒的な速度差で後方から追いついた鍾馗が、一航過で6機のSBDを撃墜した。鍾馗は急旋回して戻ってくると、更に4機を葬った。
そのころになると遅れて到着した4機の隼が、編隊が崩れてばらばらになったSBDへの攻撃を開始した。あっという間に隼は2機を撃墜した。
これまでうまく日本軍機の攻撃をかいくぐってきたSBD編隊も、日本軍の戦艦が見えるところまできて多数が撃墜された。陸軍機の攻撃を生き抜いた8機のSBDドーントレスが、「金剛」と「榛名」に援護された「武蔵」に向けて爆撃態勢に入った。
長崎で進水してから佐世保工廠で艤装を行っていた「武蔵」は、艦としての工事をおおむね完了してから、2カ月前に自力で呉まで回航していた。それ以降は呉工廠で司令部施設や武装を含む軍艦としての艤装を行っていた。竣工予定は2カ月後なので、船としては完成しているが、一部の艤装や機器の調整が未了だった。
先頭を「金剛」が航走して、その後ろを「武蔵」が続く。その直後に「榛名」が援護するように付き従っていた。既に、「伊勢」などの後方の戦艦群に対して15海里(28km)ほど先行して、佐田岬北方の海域に達している。そのおかげで、3隻の戦艦は瀬戸内海から広い海面に出て「武蔵」の最大戦速で航走することができた。
「金剛」型の高速戦艦は、対空砲と射撃指揮装置の近代化が終わっていた。そのため対空火器は、ドイツで開発された8基の8.8cm連装高角砲と、これもドイツが祖先の10基の37mm連装機関銃に強化していた。しかも最新型の三号三型電波探信儀により対空目標を測距して、高射装置に入力することが可能となっていた。
8.8cm高角砲は、1門あたり最大毎分20発の射撃が可能だった。この時は、艦橋上にアンテナを設置した電探が距離と速度、飛行方向を測定していた。更に、電探の測距情報を基にして計算機を内蔵した零式高射装置が、目標の未来位置と高射砲弾の飛翔時間から高角砲の旋回角と仰角、時限信管への設定時間を算出して、高角砲に伝えていた。
8機SBDが南の方向から急降下を始めると、「金剛」と「榛名」の8.8cm連装高角砲が猛然と射撃を開始した。艦橋構造物が邪魔になって射撃ができない一部の砲を除いて、計22門の高角砲が急降下爆撃機に向けて撃ち続ける。続いて、射程に米爆撃機をとらえた5基の連装37mm機関銃も射撃に加わった。右舷の対空砲も反対舷上空に射撃が可能な火砲が撃ち始める。あっという間に命中弾を受けて、3機が投弾前に撃墜された。
それに比べて「武蔵」の対空砲は、米軍機に向けて打ち上げているものの火力が弱い。対空火器は据え付け工事が終わっていた。しかし、高射装置の設置が遅れていて管制ができないのだ。試射のために弾薬を搭載していたが、その数は多くない。それでも、目視照準で射撃をしていた「武蔵」の連装37mm砲が1機を撃墜した。
艤装員長の有馬大佐は、防空指揮所に上がって上空の米軍機の動きをよく見ていた。隣に立っていた航海長の宮雄中佐が、爆撃機を指さしながら大声で叫んだ。
「艦長、本艦を狙っている爆撃機が降下を始めました」
「この艦は舵をきっても回頭までの遅れが大きいぞ」
有馬大佐は、即座に口を開いた。
「おーもーかじー、いっぱーい」
「武蔵」はしばらく西に直進していた。急降下してきた4機の爆撃機が投弾した。ほぼ同時に北西方向に向けて回頭を始めると、巨艦にしては想定以上に小さな半径で旋回を始めた。大佐の狙い通りに、3機のSBDの投下した爆弾は大きく左舷側に外れた。次に投下された1発も至近弾になったが命中しない。
有馬艦長が、左舷の至近弾を見ていると、砲術長の永橋中佐から連絡が入った。
「艦長、主砲のアレを使わせてください。艦首砲塔の6門ならいけます」
すぐに有馬大佐にも砲術長の言っていることがわかった。公試の時に試射する予定で、1カ月ほど前に新型の主砲弾が積み込まれていたのだ。1番と2番の弾薬庫に格納されているはずだ。
「いいだろう、次にこの艦が狙われたら撃っていいぞ」
そのころ、後方から飛来したアレン大尉のSBD編隊は手前の「榛名」を爆撃目標にした。「武蔵」に向けて迂回する間に撃墜されることを恐れたのだ。3機編隊の周りで、砲弾の爆発煙が浮かび始めた。ドイツ上空を飛んだことのある大尉はそれが何かよくわかった。ヨーロッパの空で恐れられているドイツの88mm砲を日本が生産した高射砲だ。すぐに爆発煙が編隊の近くに移動してきた。もっとも後方を飛行していた1機のSBDが機首から煙を噴き出しながら墜落していった。続いて1機が、命中弾を受けて外翼を吹き飛ばされてきりもみで墜落していった。
それでも、大尉は、ためらわずにSBDを急降下に入れた。急に高度が下がったおかげで、高射砲弾の爆発を避けることはできたが、今度は下方から大口径機銃が射撃を開始した。これも日本軍がドイツから技術導入した37mm機関銃だ。
戦艦から石つぶてのように飛んでくる37mm弾が、胴体後部に命中したようだ。水平尾翼が根元から吹き飛ぶと、そのままきりもみになった。
「榛名」は爆撃を回避してから「武蔵」に接近するように、面舵で北側に回頭しつつあった。直進していた先頭の「金剛」とは距離が開いてしまった。
第二群の雷撃隊は、低空へと退避したために日本軍戦闘機の攻撃を受けることなく、北に向けて飛行していた。やがて水平線に日本海軍の戦艦の特徴的なマストを発見した。ほぼ同時に、上空で空戦が行われていて煙を吐きながら墜落してゆく機体が見えた。しかし、上空の日本軍戦闘機は低空のTBFアベンジャーのところまでは降りてこなかった。
SBDを撃墜するために、上空では、激しい高射砲弾の爆発煙が浮き始めた。ブレット少佐は、今がチャンスだと思った。理想的な雷爆同時攻撃とはいかないが、戦艦の対空砲は上空のSBDに向いている。
狙うのは巨大な3連装主砲を備えた戦艦だ。うわさで聞いた新型の戦艦だろう。
「よく聞け。右翼方向に見える大型戦艦を攻撃する」
8機のTBFが「武蔵」に向かって高度を下げ始めた。上空の急降下爆撃機を見ていた有馬大佐の耳に、見張員の悲鳴のような声が聞こえてきた。
「左舷側、雷撃機多数。突っ込んでくる」
反射的に、双眼鏡で左舷側を見る。10機近くの雷撃機が、佐田岬の先端から北北西へと旋回しながら低空へと降下してくる。対空砲は上空の爆撃機から雷撃機に照準を変えようとしている。やや遅れて、斜め後方の「榛名」もこの雷撃隊に向けて、射撃を開始した。
有馬艦長は対空砲の音に負けない大声で命令した。
「砲術長、主砲てーっ!」
艦首部の1番と2番砲塔は、米軍機がやってくることを想定して、既に佐田岬の方向を向いていた。それでも、有馬艦長は対空砲火に負けないような大声で回頭を命令した。
「おーもーかじー」
右舷側に回頭することにより、雷撃機には艦尾を見せて、魚雷の目標をできるだけ小さくしなければならない。しかし、この巨大な戦艦はしばらく直進するはずだ。雷撃機も舷側を狙うために機体を左へ滑らせながら高度を下げつつあった。
既に「榛名」の左舷側2基の連装高角砲は全力射撃となっていた。「武蔵」の左舷の高角砲も撃ち始めた。主砲射撃指揮所にいた砲術長は、照準ができたと判断して、射手に射撃を命じた。左舷やや後方を向いていた6門の46cm主砲が一斉に射撃した。3連装2基の主砲からオレンジ色の爆炎が広がった。防空指揮所にも轟音とともに衝撃波が襲ってきた。しばらく耳鳴りが収まらない。
6発の46cm砲弾は、時限信管が作動すると数千メートル先で次々に爆発した。砲弾の中央部に仕込まれた炸薬が約千個の焼夷弾子を数百メートルの大きさの漏斗状に飛ばした。直後に、弾体底部の炸薬が爆発して砲弾の破片を周囲に撒き散らした。散弾のようになった焼夷弾子の軌道上を飛行していた3機のTBFが、炎に包まれて次々と海面に突っ込んだ。
危ういところで、空中爆発をかわした5機のTBFは、あわてて魚雷を投下した。魚雷が投下された後に「武蔵」は回頭を開始した。軽率にも、雷撃後に急旋回することなく戦艦の上空を通り過ぎようとした1機のTBFが37mm機銃により撃墜された。
投下された5本のMk.13魚雷のうちの3本は、明らかに斜め後方から北方へと外れてゆく。しかし、2本が「武蔵」の南西側を航行していた「榛名」に向かった。
「武蔵」の艦橋からは、回頭しつつある「榛名」が見えた。それでも、1本は回避できそうにない。
やがて雷撃機に船尾を向けようとしていた「榛名」の左舷後方に魚雷が命中した。600ポンド(227kg)の弾頭が船尾近くの舷側に食い込んで爆発した。「榛名」の水雷防御は船体幅が狭い位置だったために、十分な効果を発揮できなかった。爆発により外部区画の縦隔壁が破られて、もっとも内側の内部隔壁にも亀裂が生じた。大きな破口が開いて、左舷側の缶室への浸水が始まった。浸水により3基のボイラーが停止した。残った1本の魚雷は、舷側の西側を北へと航走していったようだ。
「榛名」は左舷に傾き始めたが、減速と注水により回復を試みていた。高間艦長のところに副長の吉田中佐から連絡が入る。
「左舷側の浸水により3基の缶がだめになりました。なんとか隔壁により浸水は止まっていますが、今は10ノット程度が限界です」
通常であれば、「武蔵」を護衛するために、接近して航行していた「榛名」が運悪く被雷したと考えられるはずだ。しかし、有馬艦長の受けた印象は違っていた。
(間違いなく、『榛名』は身を挺して『武蔵』の被雷を防いだのだ。『榛名』がいなければ、我が艦に被害が生じただろう)
同時刻に、後方の「伊勢」と「扶桑」「日向」も攻撃されていた。せめてもの救いだったのは「武蔵」が急降下爆撃隊を引き付けたおかげで、雷撃機には狙われたが、爆撃機の数が少なかったことだ。
最初に「伊勢」が6機のTBFアベンジャーに狙われた。回頭したが、全てをかわせず左舷側中央部と艦尾に合計2本の魚雷が命中した。「伊勢」の船体中央部には3層の水雷防御が備えられていて、弾頭の爆発を吸収した。防御区画内の隔壁が破られて浸水が始まったが、内壁への浸水は防いだ。船尾には十分な防御区画は存在していない。そのため、弾頭の爆発により船尾の防御は一気に破られることになった。左舷側機関室への浸水が始まった。
浸水が増加すると、「伊勢」は徐々に左舷に傾いていった。傾斜を復元するために右舷に注水したが、浸水により艦尾がかなり沈んで、速力も10ノット以下になってしまった。その上、左へと回頭する癖が出てきて、舵で常時修正しない限り直進できなくなっていた。
「伊勢」が攻撃されているころ、「扶桑」には5機のTBFが雷撃を仕掛けた。1機が撃墜され、4本の魚雷が投下された。そのうちの1本が左舷に命中した。缶室への浸水で速度が20ノットに低下した。
ほぼ同時期に、「日向」には5機が雷撃を敢行した。5本が投下されて、左舷後部に1本が命中した。更に左舷中央部に1本が命中した。左舷への最初の命中により、水雷防御区画内の隔壁が爆破されて浸水が発生した。次の魚雷の爆発により、防御区画の内側の内壁が破壊されて、船体中央部の缶室に大規模な浸水を引き起こした。2本の命中により、左舷機関室と2つの缶室に浸水して、4軸のうちの2軸が停止した。
……
ハルゼー中将のところには、発進させた部隊が日本の戦闘機から攻撃を受けているとの報告が上がっていた。どれほどの被害を受けているかは、攻撃隊が戻ってこなければわからないが、決して小さくないことは想像できた。
ブローニング大佐から、報告を受けてハルゼー中将はため息をついていた。
「四国の東南から侵攻した部隊は、日本の基地航空隊から何度も攻撃を受けたのか。四国上空で迎撃されることは想定範囲内だったが、多数の日本軍機が攻撃してきたようだ。被害は小さくはないだろう」
「新型の戦闘機が攻撃に加わっています。主翼の大きさがジーク(零戦)よりも小さいことから、陸上戦闘機だと思われます。わが軍のF4Fでは追い付けないような戦闘機だったようです。高速戦闘機に振り回されて、十分な護衛ができなかったのだと思われます」
「四国の南側を西へと迂回した部隊も迎撃されたと聞いたが、確かなのか?」
「はい、想定よりもかなり早い段階でこちらの編隊も攻撃を受けました。ジーク(零戦)に加えて、新型機のジュディー(彗星)に攻撃されたことがわかっています。日本軍機は南方からやってきて、攻撃したようです。それでも2隻の戦艦を撃沈して、少なくとも4隻に被害を与えています。なお。巨大な新型戦艦が目撃されています。間違いなく『ヤマト』クラスと言われていた新造の戦艦です」
「小型空母を除いて、大型空母はハシラジマには停泊していなかったんだろう。いったい、どこにいるんだろうな?」
「なるほどそういうことか………」
横で聞いていた艦隊参謀のバローズ少佐が思わずつぶやいた。
ハルゼー中将が振り返る。
「何かわかったということか? 説明してもらおうか」
「四国の南側、もしくはもっと西寄りの九州と四国の間あたりに、日本の空母の部隊が航行していると考えて間違いありません。四国の南西を迂回した部隊が早期に発見されたのは、太平洋上の日本海軍艦艇が搭載したレーダーに探知されたからです。ウィンドウの散布により四国本土のレーダーには目つぶしができても、それより南側の艦船のレーダーには効果がないですからね。我々の編隊を探知して、空母に搭載していたジークとジュディを迎撃に向かわせたのです。これは、日本軍機が南からやってきたという報告とも符合します」
ブローニング大佐は、中将の方を振り返った。
「中将、我が艦隊からの偵察機は、北西、真北、北東方向に向けて飛行させています。今の推定が正しいすると、もっと西寄りの海域を偵察する必要があります」
「いいだろう。索敵機に連絡して、探索する範囲をもっと西寄りに変えさせろ。それと追加の偵察機を8機ほど発艦させてくれ。準備中の第二次攻撃隊は対艦攻撃の装備でしばらく待機だ。敵の機動部隊を発見したならば、そちらの攻撃を優先する」
ハルゼー中将の命令はすぐに実行された。米艦隊から北西方向に向けて飛行していた偵察機は、西北西に飛行方向を変えた。
……
大分県の宇佐基地を離陸した戦闘機隊が瀬戸内海上空に達した時には、既に米軍の攻撃は終わっていた。米軍の空襲警報が出てから予想以上に手間取ったのは、宇佐基地がもともと搭乗員の訓練基地だったためだ。
そのため、零戦も訓練のために配備していたが、実戦部隊ではないので機銃弾や燃料の搭載に手間取ったのだ。
訓練生を実戦に投入することはできないので、教官として勤務していた搭乗員が乗り組んだ9機の零戦と2機の九七式艦攻が飛来していた。九七式艦攻の中央の爆撃手席には、誘導のために飛行長の小松少佐が搭乗していた。
眼下の海面には攻撃を受けた戦艦群がのろのろと南下をしていた。
「このまま、戦艦の上空を警戒する。下の戦艦は殺気立っている。米軍機と間違われないよう注意せよ」
九七式艦攻は、友軍機を示す上下動をしながら艦隊へと接近した。
縦列になった戦艦は、「榛名」が先頭になって、「伊勢」「扶桑」「日向」と続いていた。戦艦の後方には重油の帯が続いている。バルジの内側の重油タンクが魚雷で破られて流出していた。「日向」と「伊勢」は空から見ても艦尾が沈んでいるのがわかった。今は応急処置により沈下は回避しているようだが、再び攻撃されたら沈みかねない。
被害を受けた戦艦は、四国南西の宿毛湾の泊地に退避するように命令されていた。さすがに呉に戻るのは危険があるとの判断で、空襲の可能性の少ない宿毛湾の海軍泊地が指定されたのだ。
一方、無傷の「金剛」と「武蔵」は既に豊後水道を全速で南下していた。四国南方の機動部隊に合流するのだ。2隻の戦艦の前方には、第六駆逐隊の4隻の吹雪型駆逐艦が先行していた。更に、第七駆逐隊の4隻の駆逐艦は戦艦の側面を守るように並行して航行していた。一旦、太平洋にでた駆逐艦隊が「武蔵」を護衛するために戻ってきたのだ。
「母艦に報告してくれ。2番艦は日本が建造していた新型戦艦に間違いない。巨大な新型戦艦が太平洋に脱出しようとしている」
少佐は話しながら、同時に右翼側から単発機が飛行してくるのを発見した。友軍機の可能性もあるが、方向から考えて日本軍機の可能性の方がはるかに高い。わずかでも戦闘機から遠い左翼側からモンスターへの攻撃を行うことを決断して、隊内無線で指示すると同時に左側に向けて旋回を開始した。
「向かって左翼側を航行中の2番艦を攻撃する。巨大な戦艦だ。東から接近してくる編隊に注意しろ。おそらく日本の戦闘機だ」
ハミルトン少佐の後方には、「サラトガ」と「レキシントン」を飛び立った合計19機のSBDドーントレスが飛行していた。本来、27機の攻撃隊だったはずだが、日本軍機の攻撃で大幅に減っていた。ハミルトン隊は巨大な戦艦を攻撃目標に定めて接近して行った。幸運なことに、SBDよりも、やや高度をとってまだ生き残っていた7機のF4Fが随伴していた。
加藤中佐は、前方に見える米爆撃機の攻撃意図がわかった。海上のもっとも大きな獲物を狙っているのだ。
「前方、10時の方向に米爆撃機の編隊。上空に戦闘機が飛行している。わが中隊の隼は戦闘機の相手をする。残りの鍾馗は爆撃機を攻撃せよ」
たちまち8機の隼が、F4Fを目指して高度をあげていった。一方、黒江大尉が率いていた9機の鍾馗は、SBDに向かって全速で飛行していった。
爆装のSBDは、どんなに頑張っても200mph(322km/h)程度の速度がやっとだ。それに対して、陸軍の鍾馗は、4,000mの高度でも600km/h近くで飛行することができた。圧倒的な速度差で後方から追いついた鍾馗が、一航過で6機のSBDを撃墜した。鍾馗は急旋回して戻ってくると、更に4機を葬った。
そのころになると遅れて到着した4機の隼が、編隊が崩れてばらばらになったSBDへの攻撃を開始した。あっという間に隼は2機を撃墜した。
これまでうまく日本軍機の攻撃をかいくぐってきたSBD編隊も、日本軍の戦艦が見えるところまできて多数が撃墜された。陸軍機の攻撃を生き抜いた8機のSBDドーントレスが、「金剛」と「榛名」に援護された「武蔵」に向けて爆撃態勢に入った。
長崎で進水してから佐世保工廠で艤装を行っていた「武蔵」は、艦としての工事をおおむね完了してから、2カ月前に自力で呉まで回航していた。それ以降は呉工廠で司令部施設や武装を含む軍艦としての艤装を行っていた。竣工予定は2カ月後なので、船としては完成しているが、一部の艤装や機器の調整が未了だった。
先頭を「金剛」が航走して、その後ろを「武蔵」が続く。その直後に「榛名」が援護するように付き従っていた。既に、「伊勢」などの後方の戦艦群に対して15海里(28km)ほど先行して、佐田岬北方の海域に達している。そのおかげで、3隻の戦艦は瀬戸内海から広い海面に出て「武蔵」の最大戦速で航走することができた。
「金剛」型の高速戦艦は、対空砲と射撃指揮装置の近代化が終わっていた。そのため対空火器は、ドイツで開発された8基の8.8cm連装高角砲と、これもドイツが祖先の10基の37mm連装機関銃に強化していた。しかも最新型の三号三型電波探信儀により対空目標を測距して、高射装置に入力することが可能となっていた。
8.8cm高角砲は、1門あたり最大毎分20発の射撃が可能だった。この時は、艦橋上にアンテナを設置した電探が距離と速度、飛行方向を測定していた。更に、電探の測距情報を基にして計算機を内蔵した零式高射装置が、目標の未来位置と高射砲弾の飛翔時間から高角砲の旋回角と仰角、時限信管への設定時間を算出して、高角砲に伝えていた。
8機SBDが南の方向から急降下を始めると、「金剛」と「榛名」の8.8cm連装高角砲が猛然と射撃を開始した。艦橋構造物が邪魔になって射撃ができない一部の砲を除いて、計22門の高角砲が急降下爆撃機に向けて撃ち続ける。続いて、射程に米爆撃機をとらえた5基の連装37mm機関銃も射撃に加わった。右舷の対空砲も反対舷上空に射撃が可能な火砲が撃ち始める。あっという間に命中弾を受けて、3機が投弾前に撃墜された。
それに比べて「武蔵」の対空砲は、米軍機に向けて打ち上げているものの火力が弱い。対空火器は据え付け工事が終わっていた。しかし、高射装置の設置が遅れていて管制ができないのだ。試射のために弾薬を搭載していたが、その数は多くない。それでも、目視照準で射撃をしていた「武蔵」の連装37mm砲が1機を撃墜した。
艤装員長の有馬大佐は、防空指揮所に上がって上空の米軍機の動きをよく見ていた。隣に立っていた航海長の宮雄中佐が、爆撃機を指さしながら大声で叫んだ。
「艦長、本艦を狙っている爆撃機が降下を始めました」
「この艦は舵をきっても回頭までの遅れが大きいぞ」
有馬大佐は、即座に口を開いた。
「おーもーかじー、いっぱーい」
「武蔵」はしばらく西に直進していた。急降下してきた4機の爆撃機が投弾した。ほぼ同時に北西方向に向けて回頭を始めると、巨艦にしては想定以上に小さな半径で旋回を始めた。大佐の狙い通りに、3機のSBDの投下した爆弾は大きく左舷側に外れた。次に投下された1発も至近弾になったが命中しない。
有馬艦長が、左舷の至近弾を見ていると、砲術長の永橋中佐から連絡が入った。
「艦長、主砲のアレを使わせてください。艦首砲塔の6門ならいけます」
すぐに有馬大佐にも砲術長の言っていることがわかった。公試の時に試射する予定で、1カ月ほど前に新型の主砲弾が積み込まれていたのだ。1番と2番の弾薬庫に格納されているはずだ。
「いいだろう、次にこの艦が狙われたら撃っていいぞ」
そのころ、後方から飛来したアレン大尉のSBD編隊は手前の「榛名」を爆撃目標にした。「武蔵」に向けて迂回する間に撃墜されることを恐れたのだ。3機編隊の周りで、砲弾の爆発煙が浮かび始めた。ドイツ上空を飛んだことのある大尉はそれが何かよくわかった。ヨーロッパの空で恐れられているドイツの88mm砲を日本が生産した高射砲だ。すぐに爆発煙が編隊の近くに移動してきた。もっとも後方を飛行していた1機のSBDが機首から煙を噴き出しながら墜落していった。続いて1機が、命中弾を受けて外翼を吹き飛ばされてきりもみで墜落していった。
それでも、大尉は、ためらわずにSBDを急降下に入れた。急に高度が下がったおかげで、高射砲弾の爆発を避けることはできたが、今度は下方から大口径機銃が射撃を開始した。これも日本軍がドイツから技術導入した37mm機関銃だ。
戦艦から石つぶてのように飛んでくる37mm弾が、胴体後部に命中したようだ。水平尾翼が根元から吹き飛ぶと、そのままきりもみになった。
「榛名」は爆撃を回避してから「武蔵」に接近するように、面舵で北側に回頭しつつあった。直進していた先頭の「金剛」とは距離が開いてしまった。
第二群の雷撃隊は、低空へと退避したために日本軍戦闘機の攻撃を受けることなく、北に向けて飛行していた。やがて水平線に日本海軍の戦艦の特徴的なマストを発見した。ほぼ同時に、上空で空戦が行われていて煙を吐きながら墜落してゆく機体が見えた。しかし、上空の日本軍戦闘機は低空のTBFアベンジャーのところまでは降りてこなかった。
SBDを撃墜するために、上空では、激しい高射砲弾の爆発煙が浮き始めた。ブレット少佐は、今がチャンスだと思った。理想的な雷爆同時攻撃とはいかないが、戦艦の対空砲は上空のSBDに向いている。
狙うのは巨大な3連装主砲を備えた戦艦だ。うわさで聞いた新型の戦艦だろう。
「よく聞け。右翼方向に見える大型戦艦を攻撃する」
8機のTBFが「武蔵」に向かって高度を下げ始めた。上空の急降下爆撃機を見ていた有馬大佐の耳に、見張員の悲鳴のような声が聞こえてきた。
「左舷側、雷撃機多数。突っ込んでくる」
反射的に、双眼鏡で左舷側を見る。10機近くの雷撃機が、佐田岬の先端から北北西へと旋回しながら低空へと降下してくる。対空砲は上空の爆撃機から雷撃機に照準を変えようとしている。やや遅れて、斜め後方の「榛名」もこの雷撃隊に向けて、射撃を開始した。
有馬艦長は対空砲の音に負けない大声で命令した。
「砲術長、主砲てーっ!」
艦首部の1番と2番砲塔は、米軍機がやってくることを想定して、既に佐田岬の方向を向いていた。それでも、有馬艦長は対空砲火に負けないような大声で回頭を命令した。
「おーもーかじー」
右舷側に回頭することにより、雷撃機には艦尾を見せて、魚雷の目標をできるだけ小さくしなければならない。しかし、この巨大な戦艦はしばらく直進するはずだ。雷撃機も舷側を狙うために機体を左へ滑らせながら高度を下げつつあった。
既に「榛名」の左舷側2基の連装高角砲は全力射撃となっていた。「武蔵」の左舷の高角砲も撃ち始めた。主砲射撃指揮所にいた砲術長は、照準ができたと判断して、射手に射撃を命じた。左舷やや後方を向いていた6門の46cm主砲が一斉に射撃した。3連装2基の主砲からオレンジ色の爆炎が広がった。防空指揮所にも轟音とともに衝撃波が襲ってきた。しばらく耳鳴りが収まらない。
6発の46cm砲弾は、時限信管が作動すると数千メートル先で次々に爆発した。砲弾の中央部に仕込まれた炸薬が約千個の焼夷弾子を数百メートルの大きさの漏斗状に飛ばした。直後に、弾体底部の炸薬が爆発して砲弾の破片を周囲に撒き散らした。散弾のようになった焼夷弾子の軌道上を飛行していた3機のTBFが、炎に包まれて次々と海面に突っ込んだ。
危ういところで、空中爆発をかわした5機のTBFは、あわてて魚雷を投下した。魚雷が投下された後に「武蔵」は回頭を開始した。軽率にも、雷撃後に急旋回することなく戦艦の上空を通り過ぎようとした1機のTBFが37mm機銃により撃墜された。
投下された5本のMk.13魚雷のうちの3本は、明らかに斜め後方から北方へと外れてゆく。しかし、2本が「武蔵」の南西側を航行していた「榛名」に向かった。
「武蔵」の艦橋からは、回頭しつつある「榛名」が見えた。それでも、1本は回避できそうにない。
やがて雷撃機に船尾を向けようとしていた「榛名」の左舷後方に魚雷が命中した。600ポンド(227kg)の弾頭が船尾近くの舷側に食い込んで爆発した。「榛名」の水雷防御は船体幅が狭い位置だったために、十分な効果を発揮できなかった。爆発により外部区画の縦隔壁が破られて、もっとも内側の内部隔壁にも亀裂が生じた。大きな破口が開いて、左舷側の缶室への浸水が始まった。浸水により3基のボイラーが停止した。残った1本の魚雷は、舷側の西側を北へと航走していったようだ。
「榛名」は左舷に傾き始めたが、減速と注水により回復を試みていた。高間艦長のところに副長の吉田中佐から連絡が入る。
「左舷側の浸水により3基の缶がだめになりました。なんとか隔壁により浸水は止まっていますが、今は10ノット程度が限界です」
通常であれば、「武蔵」を護衛するために、接近して航行していた「榛名」が運悪く被雷したと考えられるはずだ。しかし、有馬艦長の受けた印象は違っていた。
(間違いなく、『榛名』は身を挺して『武蔵』の被雷を防いだのだ。『榛名』がいなければ、我が艦に被害が生じただろう)
同時刻に、後方の「伊勢」と「扶桑」「日向」も攻撃されていた。せめてもの救いだったのは「武蔵」が急降下爆撃隊を引き付けたおかげで、雷撃機には狙われたが、爆撃機の数が少なかったことだ。
最初に「伊勢」が6機のTBFアベンジャーに狙われた。回頭したが、全てをかわせず左舷側中央部と艦尾に合計2本の魚雷が命中した。「伊勢」の船体中央部には3層の水雷防御が備えられていて、弾頭の爆発を吸収した。防御区画内の隔壁が破られて浸水が始まったが、内壁への浸水は防いだ。船尾には十分な防御区画は存在していない。そのため、弾頭の爆発により船尾の防御は一気に破られることになった。左舷側機関室への浸水が始まった。
浸水が増加すると、「伊勢」は徐々に左舷に傾いていった。傾斜を復元するために右舷に注水したが、浸水により艦尾がかなり沈んで、速力も10ノット以下になってしまった。その上、左へと回頭する癖が出てきて、舵で常時修正しない限り直進できなくなっていた。
「伊勢」が攻撃されているころ、「扶桑」には5機のTBFが雷撃を仕掛けた。1機が撃墜され、4本の魚雷が投下された。そのうちの1本が左舷に命中した。缶室への浸水で速度が20ノットに低下した。
ほぼ同時期に、「日向」には5機が雷撃を敢行した。5本が投下されて、左舷後部に1本が命中した。更に左舷中央部に1本が命中した。左舷への最初の命中により、水雷防御区画内の隔壁が爆破されて浸水が発生した。次の魚雷の爆発により、防御区画の内側の内壁が破壊されて、船体中央部の缶室に大規模な浸水を引き起こした。2本の命中により、左舷機関室と2つの缶室に浸水して、4軸のうちの2軸が停止した。
……
ハルゼー中将のところには、発進させた部隊が日本の戦闘機から攻撃を受けているとの報告が上がっていた。どれほどの被害を受けているかは、攻撃隊が戻ってこなければわからないが、決して小さくないことは想像できた。
ブローニング大佐から、報告を受けてハルゼー中将はため息をついていた。
「四国の東南から侵攻した部隊は、日本の基地航空隊から何度も攻撃を受けたのか。四国上空で迎撃されることは想定範囲内だったが、多数の日本軍機が攻撃してきたようだ。被害は小さくはないだろう」
「新型の戦闘機が攻撃に加わっています。主翼の大きさがジーク(零戦)よりも小さいことから、陸上戦闘機だと思われます。わが軍のF4Fでは追い付けないような戦闘機だったようです。高速戦闘機に振り回されて、十分な護衛ができなかったのだと思われます」
「四国の南側を西へと迂回した部隊も迎撃されたと聞いたが、確かなのか?」
「はい、想定よりもかなり早い段階でこちらの編隊も攻撃を受けました。ジーク(零戦)に加えて、新型機のジュディー(彗星)に攻撃されたことがわかっています。日本軍機は南方からやってきて、攻撃したようです。それでも2隻の戦艦を撃沈して、少なくとも4隻に被害を与えています。なお。巨大な新型戦艦が目撃されています。間違いなく『ヤマト』クラスと言われていた新造の戦艦です」
「小型空母を除いて、大型空母はハシラジマには停泊していなかったんだろう。いったい、どこにいるんだろうな?」
「なるほどそういうことか………」
横で聞いていた艦隊参謀のバローズ少佐が思わずつぶやいた。
ハルゼー中将が振り返る。
「何かわかったということか? 説明してもらおうか」
「四国の南側、もしくはもっと西寄りの九州と四国の間あたりに、日本の空母の部隊が航行していると考えて間違いありません。四国の南西を迂回した部隊が早期に発見されたのは、太平洋上の日本海軍艦艇が搭載したレーダーに探知されたからです。ウィンドウの散布により四国本土のレーダーには目つぶしができても、それより南側の艦船のレーダーには効果がないですからね。我々の編隊を探知して、空母に搭載していたジークとジュディを迎撃に向かわせたのです。これは、日本軍機が南からやってきたという報告とも符合します」
ブローニング大佐は、中将の方を振り返った。
「中将、我が艦隊からの偵察機は、北西、真北、北東方向に向けて飛行させています。今の推定が正しいすると、もっと西寄りの海域を偵察する必要があります」
「いいだろう。索敵機に連絡して、探索する範囲をもっと西寄りに変えさせろ。それと追加の偵察機を8機ほど発艦させてくれ。準備中の第二次攻撃隊は対艦攻撃の装備でしばらく待機だ。敵の機動部隊を発見したならば、そちらの攻撃を優先する」
ハルゼー中将の命令はすぐに実行された。米艦隊から北西方向に向けて飛行していた偵察機は、西北西に飛行方向を変えた。
……
大分県の宇佐基地を離陸した戦闘機隊が瀬戸内海上空に達した時には、既に米軍の攻撃は終わっていた。米軍の空襲警報が出てから予想以上に手間取ったのは、宇佐基地がもともと搭乗員の訓練基地だったためだ。
そのため、零戦も訓練のために配備していたが、実戦部隊ではないので機銃弾や燃料の搭載に手間取ったのだ。
訓練生を実戦に投入することはできないので、教官として勤務していた搭乗員が乗り組んだ9機の零戦と2機の九七式艦攻が飛来していた。九七式艦攻の中央の爆撃手席には、誘導のために飛行長の小松少佐が搭乗していた。
眼下の海面には攻撃を受けた戦艦群がのろのろと南下をしていた。
「このまま、戦艦の上空を警戒する。下の戦艦は殺気立っている。米軍機と間違われないよう注意せよ」
九七式艦攻は、友軍機を示す上下動をしながら艦隊へと接近した。
縦列になった戦艦は、「榛名」が先頭になって、「伊勢」「扶桑」「日向」と続いていた。戦艦の後方には重油の帯が続いている。バルジの内側の重油タンクが魚雷で破られて流出していた。「日向」と「伊勢」は空から見ても艦尾が沈んでいるのがわかった。今は応急処置により沈下は回避しているようだが、再び攻撃されたら沈みかねない。
被害を受けた戦艦は、四国南西の宿毛湾の泊地に退避するように命令されていた。さすがに呉に戻るのは危険があるとの判断で、空襲の可能性の少ない宿毛湾の海軍泊地が指定されたのだ。
一方、無傷の「金剛」と「武蔵」は既に豊後水道を全速で南下していた。四国南方の機動部隊に合流するのだ。2隻の戦艦の前方には、第六駆逐隊の4隻の吹雪型駆逐艦が先行していた。更に、第七駆逐隊の4隻の駆逐艦は戦艦の側面を守るように並行して航行していた。一旦、太平洋にでた駆逐艦隊が「武蔵」を護衛するために戻ってきたのだ。
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