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第15章 運河攻撃作戦
15.12章 運河攻撃の影響
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副大統領のウォレス氏は、取り急ぎまとめた資料を抱えてホワイトハウスにやってきた。日本軍がパナマを攻撃してから、既に3日が過ぎている。今日は限られた時間で検討した内容で報告するしかない。大統領は一部の閣僚と既に執務室に入っていた。どうやらヨーロッパの状況を確認していたようだ。
大統領執務室に入って、挨拶をするとウォレス副大統領は、ルーズベルトの顔色が心持ち青ざめていることに気づいた。やはり噂の通り、今年になって体調が悪化しているようだ。それでも、自分はなすべきことをやらなければならない。
「大統領、パナマ運河の修理計画をまとめてきました。とにかく合衆国の総力を挙げて、短期間で運河の機能を回復させます」
運河が使えないことは、戦争遂行能力だけでなく米国そのものの国力の低下に直結する。このまま合衆国の経済力が減少することを座視するわけにはいかない。経済的な不況を避けるためにも、運河の復旧が急務だ。戦時経済局の委員長をしていたウォレスは関係部門や国内の知識人の間を走り回って、短期間でなんとか運河を修復させる手段を吸い上げてきていた。
「全てを元通りに復旧せよとは言わない。部分的でもよいから、半年以内に運河の機能を回復させたい。何かうまい方法はないか? 運河の回復が来年にずれ込めば、間違いなく次の大統領選に影響が出る」
今まで日本との戦いに負け続けたおかげで、大統領の支持率は急降下している。パナマ運河が破壊されたことは、間違いなく支持率を更に押し下げるだろう。しかも共和党のトマス・デューイは、ルーズベルトが始めた太平洋の戦争は大きな間違いだったと、現大統領への攻勢を強めている。大統領の大きな失策の象徴が、破壊されたパナマ運河だと選挙に利用されるのを避けるためにも、運河の早期回復が必要なのだ。
ウォレス副大統領は、この期に及んでも大統領選のことを口にしたルーズベルトに正直驚いたが、顔色も変えずに説明を始めた。大統領の考え方が不純でも、運河を早く復旧させることが間違っているわけではない。
ウォレスが、専門家と相談して作成してきたパナマ運河の修復案は以下のようなものだった。
・破壊された3カ所の閘門は、流水の停止を優先する。全ての扉の修理は後回しにしても、ガトゥン湖からの水の流出を止める。最低でも双方向の水路それぞれの1カ所以上に、水密扉を取り付ければ、湖水の流出は止められる。
・ガトゥンダムについても、ボックス構造の衝立板と盛土を利用して、大西洋への水の流出を止める。幸いにもダムの両側の人工堤防は破壊されていないので、衝立板と盛土により爆破された開口部を閉鎖すれば、湖水の流出は止められる。
・並行して、ガトゥン湖内の通行路を浚渫する。湖の水位が低くても船の交通が可能となるように、通路になっている部分を掘り下げる。
・パナマの雨季は5月から始まる。それまでに、閘門の扉による水路の閉鎖とガトゥンダムの封鎖が完了すれば、ガトゥン湖の水量は増加し始めるはずだ。
・チャグレス川上流のマッデンダムは攻撃されずに残ったので、アラフエラ湖は十分に貯水されている。流出を止めたならば、アラフエラ湖から放水して、ガトゥン湖の水位回復を加速する。
・ガトゥンダムと下流の発電所が破壊されたために、運河周辺での電力が止まっているが、マッデンダムの水力発電所から運河までの送電線を増設する。これでパナマ近辺の電力が回復できる。
ルーズベルトは、かなり具体的に方策が記載されているウォレスの報告に満足したようだ。
「なかなかよく考えた復旧案だと思える。大規模な工事になるのだろうが、工事のための資材は十分なのかね? 運河の機能を回復するためには、鋼材やコンクリートなどかなりの量が必要だろう」
「パナマ運河地区には自然災害や機器故障の可能性も考慮して、資材や修理用の部材をある程度は備蓄をしていました。まずは、それを活用しますが、備蓄程度ではかなり不足するので本土から資材を運搬します。荷揚げには、大西洋岸はコロン海軍基地を利用します。太平洋側はバルボア海軍工廠に荷揚げします。双方とも港は被害を受けていません。更に海軍工廠の設備は閘門の扉や牽引車などの修理のために優先して使用します」
「私が最も心配していたのは、ガトゥンダムの修理だ。再建設と言った方がいいかも知れないな。大きく破損したと聞いたので、復旧には時間がかかると覚悟していたのだが、君の回復案では長い時間をかけないのかね?」
「対策案にも簡単に記述しましたが、再建に手間がかかるのでコンクリート製の放水口を備えた従来のダムの形には戻しません。水位がかなり下がったガトゥン湖の水量の回復が先決なので、放水を制御する機能は当面不要です。単純に水をせき止めて貯水することを優先させます。両岸の堤防を延長すると共に、流水をさえぎる巨大な鋼板を溶接したボックス構造の複数の衝立をまず設置します。その周囲を盛土で補強して流水を防ぎます。鋼製の衝立と盛土により、水をせき止めるという単純な機能だけを優先して回復させます。ガトゥン湖の水位を調整するためには閘門の扉を開放すれば、大西洋と太平洋に水が流れるので、ダムに当面は放水機能がなくとも水位調整が可能です」
「ダムについては理解した。ところで日本軍がパナマ湾の沖合に機雷をばらまいたようだが、短期で処置はできるのかね? 昨日、輸送船が触雷したとのことだ」
大統領の質問に部屋の隅で黙って聞いていた海軍長官のノックスが反応した。
「我が方に制海権と制空権がある前提ならば、計画的に実行すれば機雷の処理は長い時間がかかりません。まず、機動部隊が短時間で敷設できた機雷の数は膨大ではありません。今回も200個は超えていないでしょう。加えて、我々は全ての機雷を除去する必要はありません。艦船が問題なく通行可能な航路を優先して掃海すれば、軍艦も輸送船も航行可能になります。機雷が残っている範囲は、当面の間ならば危険海域として航行禁止にすれば被害は回避できます。落ち着いてから、全ての機雷を掃海するという作業は残りますがね」
「機雷への対応については納得したよ。最後に回復に要する時間についてだが、半年間で運河の復旧は可能なのかね?」
再び、資料を見ながらウォレス副大統領が説明した。
「もちろん、以前の運河には短期間では戻りませんが、運河の通過が可能になったと主張できる程度には復旧できるでしょう。パナマの上流に1935年に完成したマッデンダムが攻撃されずに残っていたことが幸いでした。ダムや閘門からの湖水の流出を阻止できれば、マッデンダムが貯水しているアラフエラ湖の水をガトゥン湖に流し込んで、すぐにでも、運河の水位を上昇させられます。しかもダムに隣接した発電施設も無傷なので、運河と周囲の施設に電力を送れます。建設時期の新しい発電所は、ガトゥンダムより新型で発電能力も大きいのでまだ余力があります。但し、ガトゥン湖の水位回復には雨季の水も利用する必要があるので、4月までに湖水の流出が完全に止まるところまで修復することが、絶対に必須です」
「そこまで考えているならよかろう。復旧計画を最優先で進めてくれ」
大統領はうなずくと、合衆国内の建設資材と作業員をパナマ運河修復のために、最優先で融通させる大統領令に署名した。
……
運河の復旧についての議論が一通り終わったところで、ハル長官が執務室に入ってきた。ウォレス副大統領も引き続き議論を聞くことになった。
さすがにルーズベルトも、これ以上日本と戦争を続ける意味がないと考え始めていたのだ。
「国務長官、うまい落としどころについて、検討してくれたかね?」
「日本のことをよく知っている国内の学者に極秘で意見照会したところ、いずれも講和に向けての交渉は可能だろうとの回答でした。本格的な停戦の前に一時的に休戦するような段階的な方法も有効だろうとの意見です。つまり、日本は我々との交渉のテーブルに着くに違いないとの意見が大部分です」
「太平洋の戦いを止めることに対して、他の国に与える影響はどの程度になるだろうか?」
「既に日本に対しては、中立的に振るまうという条約を結んでいるオーストラリアとニュージーランドは即座に賛同するでしょう。加えて、ヨーロッパでドイツと戦っている連合国も我が国の決断を支持するでしょう。二方面での戦争が一つになってヨーロッパの戦争に集中できるのですから、賛成しないわけがありません。それでも、イギリスとカナダには早いうちに、我々の方針を打診する必要があります。事前に意見を聞かなかったということになれば、チャーチルはへそを曲げかねません。早いうちに相談すれば積極的に支援してくれるでしょう」
「ヨーロッパでは、想定以上にドイツは頑張っている。今のヒトラーとの戦いは決して安泰ではない。チャーチルにとっては、ヨーロッパでの勝利が最重要なはずだ。そのためには日本との講和も受け入れるだろう。ところで、日本自身が講和を受け入れるために彼らが要求する条件は何があると考えるかね? それと仲介する国についてはどうか?」
「各国の領土の線引きについては、1941年と変わりはないので問題になりません。日本が主張する植民地の独立勢力との取り引きも含めて、自由貿易を認める必要があります。日本に対する我が国からの賠償は避けて通れません。賠償といっても、石油や鉱物資源、我が国が生産する電気製品や自動車など、日本が欲しがるものを提供すればよいのです。レンドリースにより、イギリスやソ連に多量の物資を提供していることを考えれば、その数分の一を無償提供することで、数年もしないうちに賠償を完済することは可能だと思いますよ。交渉に対する仲介国は、中立国のスイスがよいでしょう。この国は、今のところ日本に対して特別な利害を有していません。しかも現在でも日本との外交関係を保っています」
ルーズベルトは、自分が想定していたよりも比較的簡単に講和が可能と知って安堵していた。
「私は、国務長官の提示した案でよいと思う」
もちろんウォレス副大統領も賛成した。そもそもハル長官に日本との休戦について入れ知恵したのは自分なのだ。
「案が決まったならば、さっそく実行すべきだと思います。躊躇すればそれだけ戦いの犠牲者が増えます」
……
日本軍の攻撃により、パナマ運河が破壊されたことを知ると、チャーチルは外務大臣のイーデンを呼んだ。
「パナマが通行不可能となれば、我が国への影響は計り知れないぞ。ヨーロッパとオーストラリア、ニュージーランド間の交通が著しく不便になる。それにアメリカ自身の経済力の低下は我が国の戦争遂行能力にも大きな影響を及ぼす。なんとしても、ルーズベルトの始めた太平洋の戦いをやめさせる必要がある。アメリカの国力を削っているあの戦いは、もはやイギリスにとっても有害だ。可能であれば日本を連合国の一員として引き入れたい」
「太平洋の戦いは、最終的にはルーズベルトが決断しない限り終わりません。しかし、アメリカの内閣には我々と近い考えを持つ者もいます。さっそく、アメリカに駐在しているハリファックス卿からもその人物に関しての情報が入ってきています」
「ルーズベルト内閣で我々に同調してくれるような人物というと、あの男ということかね?」
葉巻をくわえたチャーチルがにやりとした。
「首相の想像通りですよ。副大統領のウォレスです。彼は、日本との戦争については、今まで表向きは中立的な立場を表明していました。ところが最近では、ごく親しい友人には早期に講和すべきとの意見を表明しています。論理的な考えの持ち主の彼は、以前から日本との戦いに合理的な意味がないことに気づいていたようです」
「よかろう。かの国の副大統領に接触してくれ。但し、あまり強く我々の意思を伝えるな。まずは、選択肢の一つとして日本との休戦もあり得るが、どう思うかという程度の問い合わせをするのだ。くれぐれも最初から我々の弱みを相手に握られるな」
……
小沢艦隊はまだ日本への途上にあったが、パナマ攻撃の戦果については、既に無線連絡により日本本土に届いていた。作戦結果の確認のために、軍令部の上層部と連合艦隊司令部が集まっていた、
一晩で作成した資料を基にして、福留少将がパナマ運河攻撃作戦の結果を説明した。
「小沢艦隊の司令部及び潜水艦隊から、作戦結果について報告が来ています。戦果及び艦隊の被害は、説明書に簡単にまとめています」
「……以上説明したようにパナマ運河への攻撃は、大きな戦果を挙げました。間違いなく、作戦は成功と判断します」
「蒼龍」や「足柄」「榛名」などの被害も資料に書かれていたが、それは今日の話題ではないと言わんばかりに簡単な説明がされただけだった。
少将の説明を黙って辛抱強く聞いていた永野軍令総長が、質問した。
「運河の交通が遮断されたとなれば、米国の経済と戦争遂行に大きな影響を及ぼすはずだ。その波及範囲をどのように考えるか?」
これには、伊藤次長が答えた。
「専門家の分析が必要ですが、物流が阻害されるために、アメリカ経済に大きな負の影響があることは想定通りです。戦争への影響については、太平洋艦隊の戦力増強が遅れるでしょう。アメリカは、大西洋岸の造船所でかなりの数の軍艦を建造していますが、それらの太平洋への回航が遅れることになります。また、大西洋と太平洋の間を行き来するさまざまな物資も、大陸横断鉄道や南米端の航路などの代替え手段に頼らざるを得なくなります。更に、運河回復のために大量の資材と人材をパナマに投入せざるを得ないため、戦争遂行に投入する物資や人的資源に影響が出るでしょう。アメリカからソ連に輸送されている支援物資にも影響があるでしょう」
再び、永野総長が質問する。
「運河の交通を回復するまでどれくらいに時間がかかるのか、期間は想定できるかね?」
「アメリカがどの程度の資材と要員を集中的に投入するかに依存します。但し、閘門とダムを修復してもダム湖に貯水する必要があることを考えると、最低でも1年以上、おそらく2年程度はかかると想定しています」
今まで説明を聞いていた山本長官が口を開いた。
「パナマ運河が通行不可能になったということは、アメリカ国民全体に大きな衝撃を与えるだろう。まあ、それが攻撃の本来の目的だったのだが、アメリカ国内の世論も含めて内閣に大きな動揺を与えられれば、我々との戦争を止めさせる要因になるのではないか。私はアメリカとの戦いを止める機会だと考える。我が国の陸軍と内閣にも休戦交渉を開始することの可否について打診してもらいたい。むろん、米国内の情勢分析が必要だろうが、今は速やかに戦いを止めるという方向に向けて行動することを要求する」
簡単には、答えづらい意見を聞いて、しばらく周囲は沈黙した。静寂を打ち破ったのは永野大将だった。
「いいだろう。山本長官の意見に従って、陸軍と内閣にも講和について異論があるのか意向を聞いてみよう。海軍と陸軍間で停戦に向けて意思統一できれば、大本営としてお上のご臨席による会議に奏上することになる」
「そのような進め方で結構です。なお、米内海軍大臣は私と同じ意見であり、更に内閣でも数名程度は賛同しているということを申し添えておきます」
永野大将は、どうせ米内大臣が裏で動いて、近衛首相などの内閣の閣僚にも根回しをしているのだろうと気づいていたが、何も言わなかった。日本が優勢に戦いを進めている現状で講和できるならば、それも悪くないと彼も思っていたからだ。
しかし、出席していた全員がこの場での議論をひっくり返すような事件が、まもなく起こるとは誰も想像できなかった。
……
日本のパナマ運河攻撃を最も喜んだ人物がヨーロッパにいた。アドルフ・ヒトラーである。彼の眼には、日本という国は同盟国ではないが、第三帝国のためにアメリカと戦ってくれる同胞のように映っていた。ドイツと敵対している国家の国力をそぎ落とすという観点からは、同盟国のイタリア以上に頼りになる存在だ。単純に言えば、敵の敵は味方ということになる。
外務大臣のリッベントロップと宣伝大臣のゲッベルスを呼んで、ドイツとしては、これからどのような態度をとるべきか相談していた。
「私としては、極東の国がアメリカと戦い続けることを希望する。しばらくは太平洋で暴れてアメリカの国力を削ってほしい。しかも可能であればソ連とも戦ってほしいものだ」
リッベントロップが、自分がつかんでいる日本の状況について説明を始めた。
「日本との戦争を終結させることをルーズベルトが考えているとの情報があります。そもそも今回のパナマ攻撃は、太平洋の停戦を意図して日本が攻撃した可能性があります。このままでは、総統の希望に反して、太平洋の戦いが終結するでしょう」
「アメリカと日本の休戦など、絶対に阻止しなければならない。二つの国が消耗するまで徹底的に戦わせるのだ」
自分で話していて興奮してきたらしい。ヒトラーは、ぎろりとした目で、二人の大臣を見た。それから、バンと机を叩いた。
「休戦は絶対に許さない。アメリカと日本が相互に嫌悪するように仕向けるのだ。今こそ、外交と宣伝の出番だ」
もちろん二人の大臣は、このような状態のヒトラーに逆らうつもりはさらさらなかった。苦言を呈しても、自分の身が危うくなるだけだ。すなおにリッベントロップもゲッベルスもうなずいた。
大統領執務室に入って、挨拶をするとウォレス副大統領は、ルーズベルトの顔色が心持ち青ざめていることに気づいた。やはり噂の通り、今年になって体調が悪化しているようだ。それでも、自分はなすべきことをやらなければならない。
「大統領、パナマ運河の修理計画をまとめてきました。とにかく合衆国の総力を挙げて、短期間で運河の機能を回復させます」
運河が使えないことは、戦争遂行能力だけでなく米国そのものの国力の低下に直結する。このまま合衆国の経済力が減少することを座視するわけにはいかない。経済的な不況を避けるためにも、運河の復旧が急務だ。戦時経済局の委員長をしていたウォレスは関係部門や国内の知識人の間を走り回って、短期間でなんとか運河を修復させる手段を吸い上げてきていた。
「全てを元通りに復旧せよとは言わない。部分的でもよいから、半年以内に運河の機能を回復させたい。何かうまい方法はないか? 運河の回復が来年にずれ込めば、間違いなく次の大統領選に影響が出る」
今まで日本との戦いに負け続けたおかげで、大統領の支持率は急降下している。パナマ運河が破壊されたことは、間違いなく支持率を更に押し下げるだろう。しかも共和党のトマス・デューイは、ルーズベルトが始めた太平洋の戦争は大きな間違いだったと、現大統領への攻勢を強めている。大統領の大きな失策の象徴が、破壊されたパナマ運河だと選挙に利用されるのを避けるためにも、運河の早期回復が必要なのだ。
ウォレス副大統領は、この期に及んでも大統領選のことを口にしたルーズベルトに正直驚いたが、顔色も変えずに説明を始めた。大統領の考え方が不純でも、運河を早く復旧させることが間違っているわけではない。
ウォレスが、専門家と相談して作成してきたパナマ運河の修復案は以下のようなものだった。
・破壊された3カ所の閘門は、流水の停止を優先する。全ての扉の修理は後回しにしても、ガトゥン湖からの水の流出を止める。最低でも双方向の水路それぞれの1カ所以上に、水密扉を取り付ければ、湖水の流出は止められる。
・ガトゥンダムについても、ボックス構造の衝立板と盛土を利用して、大西洋への水の流出を止める。幸いにもダムの両側の人工堤防は破壊されていないので、衝立板と盛土により爆破された開口部を閉鎖すれば、湖水の流出は止められる。
・並行して、ガトゥン湖内の通行路を浚渫する。湖の水位が低くても船の交通が可能となるように、通路になっている部分を掘り下げる。
・パナマの雨季は5月から始まる。それまでに、閘門の扉による水路の閉鎖とガトゥンダムの封鎖が完了すれば、ガトゥン湖の水量は増加し始めるはずだ。
・チャグレス川上流のマッデンダムは攻撃されずに残ったので、アラフエラ湖は十分に貯水されている。流出を止めたならば、アラフエラ湖から放水して、ガトゥン湖の水位回復を加速する。
・ガトゥンダムと下流の発電所が破壊されたために、運河周辺での電力が止まっているが、マッデンダムの水力発電所から運河までの送電線を増設する。これでパナマ近辺の電力が回復できる。
ルーズベルトは、かなり具体的に方策が記載されているウォレスの報告に満足したようだ。
「なかなかよく考えた復旧案だと思える。大規模な工事になるのだろうが、工事のための資材は十分なのかね? 運河の機能を回復するためには、鋼材やコンクリートなどかなりの量が必要だろう」
「パナマ運河地区には自然災害や機器故障の可能性も考慮して、資材や修理用の部材をある程度は備蓄をしていました。まずは、それを活用しますが、備蓄程度ではかなり不足するので本土から資材を運搬します。荷揚げには、大西洋岸はコロン海軍基地を利用します。太平洋側はバルボア海軍工廠に荷揚げします。双方とも港は被害を受けていません。更に海軍工廠の設備は閘門の扉や牽引車などの修理のために優先して使用します」
「私が最も心配していたのは、ガトゥンダムの修理だ。再建設と言った方がいいかも知れないな。大きく破損したと聞いたので、復旧には時間がかかると覚悟していたのだが、君の回復案では長い時間をかけないのかね?」
「対策案にも簡単に記述しましたが、再建に手間がかかるのでコンクリート製の放水口を備えた従来のダムの形には戻しません。水位がかなり下がったガトゥン湖の水量の回復が先決なので、放水を制御する機能は当面不要です。単純に水をせき止めて貯水することを優先させます。両岸の堤防を延長すると共に、流水をさえぎる巨大な鋼板を溶接したボックス構造の複数の衝立をまず設置します。その周囲を盛土で補強して流水を防ぎます。鋼製の衝立と盛土により、水をせき止めるという単純な機能だけを優先して回復させます。ガトゥン湖の水位を調整するためには閘門の扉を開放すれば、大西洋と太平洋に水が流れるので、ダムに当面は放水機能がなくとも水位調整が可能です」
「ダムについては理解した。ところで日本軍がパナマ湾の沖合に機雷をばらまいたようだが、短期で処置はできるのかね? 昨日、輸送船が触雷したとのことだ」
大統領の質問に部屋の隅で黙って聞いていた海軍長官のノックスが反応した。
「我が方に制海権と制空権がある前提ならば、計画的に実行すれば機雷の処理は長い時間がかかりません。まず、機動部隊が短時間で敷設できた機雷の数は膨大ではありません。今回も200個は超えていないでしょう。加えて、我々は全ての機雷を除去する必要はありません。艦船が問題なく通行可能な航路を優先して掃海すれば、軍艦も輸送船も航行可能になります。機雷が残っている範囲は、当面の間ならば危険海域として航行禁止にすれば被害は回避できます。落ち着いてから、全ての機雷を掃海するという作業は残りますがね」
「機雷への対応については納得したよ。最後に回復に要する時間についてだが、半年間で運河の復旧は可能なのかね?」
再び、資料を見ながらウォレス副大統領が説明した。
「もちろん、以前の運河には短期間では戻りませんが、運河の通過が可能になったと主張できる程度には復旧できるでしょう。パナマの上流に1935年に完成したマッデンダムが攻撃されずに残っていたことが幸いでした。ダムや閘門からの湖水の流出を阻止できれば、マッデンダムが貯水しているアラフエラ湖の水をガトゥン湖に流し込んで、すぐにでも、運河の水位を上昇させられます。しかもダムに隣接した発電施設も無傷なので、運河と周囲の施設に電力を送れます。建設時期の新しい発電所は、ガトゥンダムより新型で発電能力も大きいのでまだ余力があります。但し、ガトゥン湖の水位回復には雨季の水も利用する必要があるので、4月までに湖水の流出が完全に止まるところまで修復することが、絶対に必須です」
「そこまで考えているならよかろう。復旧計画を最優先で進めてくれ」
大統領はうなずくと、合衆国内の建設資材と作業員をパナマ運河修復のために、最優先で融通させる大統領令に署名した。
……
運河の復旧についての議論が一通り終わったところで、ハル長官が執務室に入ってきた。ウォレス副大統領も引き続き議論を聞くことになった。
さすがにルーズベルトも、これ以上日本と戦争を続ける意味がないと考え始めていたのだ。
「国務長官、うまい落としどころについて、検討してくれたかね?」
「日本のことをよく知っている国内の学者に極秘で意見照会したところ、いずれも講和に向けての交渉は可能だろうとの回答でした。本格的な停戦の前に一時的に休戦するような段階的な方法も有効だろうとの意見です。つまり、日本は我々との交渉のテーブルに着くに違いないとの意見が大部分です」
「太平洋の戦いを止めることに対して、他の国に与える影響はどの程度になるだろうか?」
「既に日本に対しては、中立的に振るまうという条約を結んでいるオーストラリアとニュージーランドは即座に賛同するでしょう。加えて、ヨーロッパでドイツと戦っている連合国も我が国の決断を支持するでしょう。二方面での戦争が一つになってヨーロッパの戦争に集中できるのですから、賛成しないわけがありません。それでも、イギリスとカナダには早いうちに、我々の方針を打診する必要があります。事前に意見を聞かなかったということになれば、チャーチルはへそを曲げかねません。早いうちに相談すれば積極的に支援してくれるでしょう」
「ヨーロッパでは、想定以上にドイツは頑張っている。今のヒトラーとの戦いは決して安泰ではない。チャーチルにとっては、ヨーロッパでの勝利が最重要なはずだ。そのためには日本との講和も受け入れるだろう。ところで、日本自身が講和を受け入れるために彼らが要求する条件は何があると考えるかね? それと仲介する国についてはどうか?」
「各国の領土の線引きについては、1941年と変わりはないので問題になりません。日本が主張する植民地の独立勢力との取り引きも含めて、自由貿易を認める必要があります。日本に対する我が国からの賠償は避けて通れません。賠償といっても、石油や鉱物資源、我が国が生産する電気製品や自動車など、日本が欲しがるものを提供すればよいのです。レンドリースにより、イギリスやソ連に多量の物資を提供していることを考えれば、その数分の一を無償提供することで、数年もしないうちに賠償を完済することは可能だと思いますよ。交渉に対する仲介国は、中立国のスイスがよいでしょう。この国は、今のところ日本に対して特別な利害を有していません。しかも現在でも日本との外交関係を保っています」
ルーズベルトは、自分が想定していたよりも比較的簡単に講和が可能と知って安堵していた。
「私は、国務長官の提示した案でよいと思う」
もちろんウォレス副大統領も賛成した。そもそもハル長官に日本との休戦について入れ知恵したのは自分なのだ。
「案が決まったならば、さっそく実行すべきだと思います。躊躇すればそれだけ戦いの犠牲者が増えます」
……
日本軍の攻撃により、パナマ運河が破壊されたことを知ると、チャーチルは外務大臣のイーデンを呼んだ。
「パナマが通行不可能となれば、我が国への影響は計り知れないぞ。ヨーロッパとオーストラリア、ニュージーランド間の交通が著しく不便になる。それにアメリカ自身の経済力の低下は我が国の戦争遂行能力にも大きな影響を及ぼす。なんとしても、ルーズベルトの始めた太平洋の戦いをやめさせる必要がある。アメリカの国力を削っているあの戦いは、もはやイギリスにとっても有害だ。可能であれば日本を連合国の一員として引き入れたい」
「太平洋の戦いは、最終的にはルーズベルトが決断しない限り終わりません。しかし、アメリカの内閣には我々と近い考えを持つ者もいます。さっそく、アメリカに駐在しているハリファックス卿からもその人物に関しての情報が入ってきています」
「ルーズベルト内閣で我々に同調してくれるような人物というと、あの男ということかね?」
葉巻をくわえたチャーチルがにやりとした。
「首相の想像通りですよ。副大統領のウォレスです。彼は、日本との戦争については、今まで表向きは中立的な立場を表明していました。ところが最近では、ごく親しい友人には早期に講和すべきとの意見を表明しています。論理的な考えの持ち主の彼は、以前から日本との戦いに合理的な意味がないことに気づいていたようです」
「よかろう。かの国の副大統領に接触してくれ。但し、あまり強く我々の意思を伝えるな。まずは、選択肢の一つとして日本との休戦もあり得るが、どう思うかという程度の問い合わせをするのだ。くれぐれも最初から我々の弱みを相手に握られるな」
……
小沢艦隊はまだ日本への途上にあったが、パナマ攻撃の戦果については、既に無線連絡により日本本土に届いていた。作戦結果の確認のために、軍令部の上層部と連合艦隊司令部が集まっていた、
一晩で作成した資料を基にして、福留少将がパナマ運河攻撃作戦の結果を説明した。
「小沢艦隊の司令部及び潜水艦隊から、作戦結果について報告が来ています。戦果及び艦隊の被害は、説明書に簡単にまとめています」
「……以上説明したようにパナマ運河への攻撃は、大きな戦果を挙げました。間違いなく、作戦は成功と判断します」
「蒼龍」や「足柄」「榛名」などの被害も資料に書かれていたが、それは今日の話題ではないと言わんばかりに簡単な説明がされただけだった。
少将の説明を黙って辛抱強く聞いていた永野軍令総長が、質問した。
「運河の交通が遮断されたとなれば、米国の経済と戦争遂行に大きな影響を及ぼすはずだ。その波及範囲をどのように考えるか?」
これには、伊藤次長が答えた。
「専門家の分析が必要ですが、物流が阻害されるために、アメリカ経済に大きな負の影響があることは想定通りです。戦争への影響については、太平洋艦隊の戦力増強が遅れるでしょう。アメリカは、大西洋岸の造船所でかなりの数の軍艦を建造していますが、それらの太平洋への回航が遅れることになります。また、大西洋と太平洋の間を行き来するさまざまな物資も、大陸横断鉄道や南米端の航路などの代替え手段に頼らざるを得なくなります。更に、運河回復のために大量の資材と人材をパナマに投入せざるを得ないため、戦争遂行に投入する物資や人的資源に影響が出るでしょう。アメリカからソ連に輸送されている支援物資にも影響があるでしょう」
再び、永野総長が質問する。
「運河の交通を回復するまでどれくらいに時間がかかるのか、期間は想定できるかね?」
「アメリカがどの程度の資材と要員を集中的に投入するかに依存します。但し、閘門とダムを修復してもダム湖に貯水する必要があることを考えると、最低でも1年以上、おそらく2年程度はかかると想定しています」
今まで説明を聞いていた山本長官が口を開いた。
「パナマ運河が通行不可能になったということは、アメリカ国民全体に大きな衝撃を与えるだろう。まあ、それが攻撃の本来の目的だったのだが、アメリカ国内の世論も含めて内閣に大きな動揺を与えられれば、我々との戦争を止めさせる要因になるのではないか。私はアメリカとの戦いを止める機会だと考える。我が国の陸軍と内閣にも休戦交渉を開始することの可否について打診してもらいたい。むろん、米国内の情勢分析が必要だろうが、今は速やかに戦いを止めるという方向に向けて行動することを要求する」
簡単には、答えづらい意見を聞いて、しばらく周囲は沈黙した。静寂を打ち破ったのは永野大将だった。
「いいだろう。山本長官の意見に従って、陸軍と内閣にも講和について異論があるのか意向を聞いてみよう。海軍と陸軍間で停戦に向けて意思統一できれば、大本営としてお上のご臨席による会議に奏上することになる」
「そのような進め方で結構です。なお、米内海軍大臣は私と同じ意見であり、更に内閣でも数名程度は賛同しているということを申し添えておきます」
永野大将は、どうせ米内大臣が裏で動いて、近衛首相などの内閣の閣僚にも根回しをしているのだろうと気づいていたが、何も言わなかった。日本が優勢に戦いを進めている現状で講和できるならば、それも悪くないと彼も思っていたからだ。
しかし、出席していた全員がこの場での議論をひっくり返すような事件が、まもなく起こるとは誰も想像できなかった。
……
日本のパナマ運河攻撃を最も喜んだ人物がヨーロッパにいた。アドルフ・ヒトラーである。彼の眼には、日本という国は同盟国ではないが、第三帝国のためにアメリカと戦ってくれる同胞のように映っていた。ドイツと敵対している国家の国力をそぎ落とすという観点からは、同盟国のイタリア以上に頼りになる存在だ。単純に言えば、敵の敵は味方ということになる。
外務大臣のリッベントロップと宣伝大臣のゲッベルスを呼んで、ドイツとしては、これからどのような態度をとるべきか相談していた。
「私としては、極東の国がアメリカと戦い続けることを希望する。しばらくは太平洋で暴れてアメリカの国力を削ってほしい。しかも可能であればソ連とも戦ってほしいものだ」
リッベントロップが、自分がつかんでいる日本の状況について説明を始めた。
「日本との戦争を終結させることをルーズベルトが考えているとの情報があります。そもそも今回のパナマ攻撃は、太平洋の停戦を意図して日本が攻撃した可能性があります。このままでは、総統の希望に反して、太平洋の戦いが終結するでしょう」
「アメリカと日本の休戦など、絶対に阻止しなければならない。二つの国が消耗するまで徹底的に戦わせるのだ」
自分で話していて興奮してきたらしい。ヒトラーは、ぎろりとした目で、二人の大臣を見た。それから、バンと机を叩いた。
「休戦は絶対に許さない。アメリカと日本が相互に嫌悪するように仕向けるのだ。今こそ、外交と宣伝の出番だ」
もちろん二人の大臣は、このような状態のヒトラーに逆らうつもりはさらさらなかった。苦言を呈しても、自分の身が危うくなるだけだ。すなおにリッベントロップもゲッベルスもうなずいた。
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