未来の王妃として幸せを紡ぐ

林 業

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まだ未熟な

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イネスは兄二人と釣りに来ている。
それぞれ岩の上に座り、釣り糸が絡まないように距離を保っている。
リーマンから釣り道具を渡され、いいお魚期待しています。と送り出された。
会談が終わればすぐ駆けつけてくれるらしい。
「剣術がなくなったけど遊べるんだからいいよな」

兄二人は楽しげ。
授業が先生の事情でなくなったとはいえ、少々の罪悪感を感じるイネス。
「王様や王妃様だって人なんだからこういう息抜き覚えてたっていいだろう」
「うん」
兄の言葉に頷きながらも魚を釣る。
「とはいえ、私の場合は、昔の慣習で選ばれただけなんだけど」
何でも、王室の妃選びには必ず、女、若しくは女の産んだ一番近い子孫を候補者に選ぶべしと書かれている。
その事情もあって既に後継ぎ候補が二人もいた我が家に話が来たのである。
「どんな王子様なんだろうな」
「今度会えるから楽しみにしているんだ。お友達になれないかなって」
「そうだな」
兄二人は楽しげ。
そんな二人を見るのは楽しい。
「なんせ、下手に出掛けりゃあ、あのバカがイネスにちょっかいかけるしな」
「うん」
数年前、他の子たちと遊んでいたときに、アーケロンがちょっかいをかけ他の子も巻き込む大喧嘩になった。
それ以来イネスは領民と遊ぶことがない。
なので話し相手が出来るのは嬉しいのだろう。

リーマンがいるとやり返されるとわかっているからか、近寄ってこない。
できる限りリーマンがいてくれるのだが、隙を見つけてはちょっかいをかけてくる。
「先生が王子が好きな本教えてくれたんだ。面白かったから話ししたいな」
「ごめんな。兄たちあんまり本読まないからな」
「うんん。こうして兄上たちと遊べるんだから嬉しいよ」
笑顔を浮かべれば、兄たちは照れ臭そうに、釣り糸を見る。

「うおりゃああ」
唸り声に見た雄叫びに、イネスの身体が浮き上がり川へと落ちる。

「へっ?」
驚きの声を上げたのがまずかったのか、水に落ちると、すぐに口に水が入ってくる。
咄嗟に口を押さえるが、浮き上がることが出来ない。

息止めも数秒も持たずに息を吐き出す。

(せんせ。せ、ん)

もう駄目だと意識が続かず目を閉じる。





派手な水音に一瞬頭が真っ白になる。
だが一度深呼吸して、すぐに行動に移す。
長兄は次兄に叫ぶ。
「お前は大人を。俺は」
次兄はうんと叫び踵を返す。
イネスをと、飛び込もうとして、しかし先に大人の人影が飛び込む。




しばらくして、リーマンとイネスが飛び出て来る。
川岸に上げられ、咳き込みながらも呆然としているイネスに、兄弟二人は飛びつく。

「イネス。大丈夫か」
その言葉に、ぎこちなく兄二人を見るとしがみついてくる。
恐る恐る二人に抱きついて、しゃっくりが上がったのを皮切りに、泣き叫ぶ。
「ご、ごわがっだぁああ」
イネスは大泣き。
「じぬがとおもっだぁ」
「うん。うん」
兄二人もごめんな。と抱きしめる。


(あのガキ。絶対にしばく)

リーマンが間に合ったから良かったものの。
危うく死ぬところだったと、すでに消えているアーケロン。
逃げ足だけは早いと舌打ちしながら三人の頭を撫でて抱きしめる。
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