未来の王妃として幸せを紡ぐ

林 業

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まだ未熟な

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リーマンが差し出されたデザイン画を眺める。
田舎の街とは思えないほど、最先端かつ、美しい紋様。
このまま落ちぶれさせるのは惜しいと思えるほど。

「王都で学ぶつもりは?もしくは店を出すとか」

思わず食いつくが、彼は笑うだけ。
ちらりと辺境伯奥方を見て何かの許可をもらうと告げる。

「私は、私生児です。それも隣国の貴族の」
そんな報告はないと奥方を見ればにこりと微笑む。
「森で拾った赤子を抱いた人を見かけたらそりゃあ助けたくなるでしょう。私が夫と婚約中に森の中の、狩猟デート中に見つけたんだ。一緒にそれにもう数十年前の話だしさ。二人を泳がせたこともあるけれど、スパイのような行動はしたことない。それは国王や夫、神に誓う」
同じくと彼も頷く。
頭を抱えそうになるが、それでも聞く。
「とりあえずその辺云々は国王はご存知なのですか?」
「先代は。現国王は伝えているかは知らない。とはいえ、表に出す情報にしては隣国との仲はよくないから内密に。彼は父親の妾に命、狙われて逃げてきたらしいから特にね」
よくある話だ。
正妻か、妾、どちらかが、もしくは共にお互いの命を狙って、家督を狙うなどよくある話。
とはいえ、裁縫師としては見事なデザイン。
奥方の服装を生み出すことを考えれば技術もあるだろう。
「貴族と関わるのは恩人、領主様ご家族だけでいいのです。後は細々と、他の皆さんの服を繕ったり、幼い子供たちに技術を教えたりする教師役で十分です」
微笑みに、リーマンは勿体無いと呟くも、致し方がないとデザインを返す。
「とはいえ、こちらのデザインは大層素敵な物です。王妃にならなければそのままあなたが結婚式の服を作るべきでしょう」
「過大評価がすぎる気もしますが、先生の評価は素直に受け取っておきます。感謝いたします」
照れ臭そうに笑いながら頭を下げる。
「もし、イネス様が王妃になった場合、そのデザインを買い取らせてください」
「しかし」
「もちろん、デザインの製作者は秘密にさせていただきます。今後、イネス様専用の正装とします。それとこの模様に関してはあなたにお願いしたいのです」
「まだ時間はあると思います。それに今のところは選ばれないのでしょう?ならば選ばれたときまで返事は保留でよろしいでしょうか」
「確かに。早計でしたね。そのときにまでにはいいお返事を聞けるよう努力しましょう」
彼はゆっくりとリーマンを見る。
「あなたはイネス様が選ばれると思っていますか?」
「ほぼ無いでしょうね。イネス様の他、十人の候補者が妃教育を受けています。本命はとある公爵の次男です。殿下とも幼馴染として仲睦まじく過ごされています」
とはいえ、陛下からの命令もあるし、彼ら兄弟に物を教えるのも嫌いではない。
むしろ、楽しいからと進んで教えている現状。

王妃にならなくとも良い位のところに嫁げるレベルに仕立て上げている。

立派な三人の姿を楽しみにしているとだけ彼に告げる。
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