龍は精霊の愛し子を愛でる

林 業

文字の大きさ
20 / 24

挑戦の日々♥ありがとう

しおりを挟む
アレクサンドラはこれ作ると、料理本を家のコックと会話する。
だがコックも今まで生暖かく見守っていた使用人達もそれを示してすぐに皆が慌てている。
これ作りたいと示したのは、材料を細切れにして、混ぜて、捏ねて、焼く。
そんな工程。

たったそれだけのことだが心配症の彼らは必死に説得を開始する。
やりたいのにとしょんぼりと落ち込むアレクサンドラ。

そんな姿にやるだけやりましょうと励まして、早速、材料を買いに出掛ける。

珍しく食材を購入するアレクサンドラに不思議そうにしながらもおまけをつけていく町の人たち。
アレクサンドラの笑顔の「ありがとう」を聞きたいがために。


そして始める料理。
コックはアレクサンドラが帰ってくるまでに人の料理の仕方の本を読んで、それを忠実に守ってアレクサンドラに教える。
「指は丸めましょうね」
頷きながら、野菜を適当な大きさに切る。
そして横では、コックがアレクサンドラに気づかぬよう細切れにする。

オニオンを切り刻んでいれば、涙が止まらない。
拭えば拭うほど涙がこぼれ落ちてゆく。
慌てて濡れタオルで拭われて、ようやく涙が落ち着いてくる。

二、三度繰り返してようやく良さげな大きさになる。

ひき肉となったお肉に、細切れのオニオン、コカトリスの卵、パンの粉を乳で浸した物を用意して混ぜる。

それを薄い丸形にして焼いていく。

いい音がするとふうと息をついた瞬間に、何故かアレクサンドラが熱いと手を離す。

どうやら竜人族のフライパンは持ち手も鉄でできている為火傷をしたらしい。

慌てて水で冷やして手当を始める。

その間に焼けていく肉。
焦げが付き始めて、慌ててコックの一人がひっくり返す。

いくつか作るが一番マトモなお肉ですら焦げが目立つ。

やっぱり向いていないのかと落ち込むアレクサンドラに、改めて、別の提案をする。



サンムーンは意気揚々と登城する。
部下はそのご機嫌な様子に、恐怖すら感じたと聞く。


そしてお昼にその理由が判明する。
愛する人からの愛妻弁当。
新品のお弁当箱に入った少々焦げ付いたハンバーグと目玉焼きやお野菜。
そして何らかのソース。
そして二つに切られたパンを別に取り出す。


それらを好みの量に挟んでサンムーンは口に運ぶ。


コックの苦肉の作。
全部パンに挟んでしまえばいい。

そう考えやんわりと提案。

アレクサンドラのお弁当を使いたいという提案も考えた結果。

事情を知らぬサンムーンは大喜びで口に運んでいく。

帰ってきたその日に喜びを示したという。

後日、別の使用人からその旨を告げられ、労いの言葉をかけていたのは此処だけの話。


その日からアレクサンドラは時々、コックの手伝いを、下働きの人間と行うようになったという。

サンムーンや養父母たちから人間用の調理器具のプレゼントが検討もされていると噂が流れたりもした。

上達までの道のりは遠くて近い。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

【完結】僕の異世界転生先は卵で生まれて捨てられた竜でした

エウラ
BL
どうしてこうなったのか。 僕は今、卵の中。ここに生まれる前の記憶がある。 なんとなく異世界転生したんだと思うけど、捨てられたっぽい? 孵る前に死んじゃうよ!と思ったら誰かに助けられたみたい。 僕、頑張って大きくなって恩返しするからね! 天然記念物的な竜に転生した僕が、助けて育ててくれたエルフなお兄さんと旅をしながらのんびり過ごす話になる予定。 突発的に書き出したので先は分かりませんが短い予定です。 不定期投稿です。 本編完結で、番外編を更新予定です。不定期です。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

もう一度、その腕に

結衣可
BL
もう一度、その腕に

【完結】Restartー僕は異世界で人生をやり直すー

エウラ
BL
───僕の人生、最悪だった。 生まれた家は名家で資産家。でも跡取りが僕だけだったから厳しく育てられ、教育係という名の監視がついて一日中気が休まることはない。 それでも唯々諾々と家のために従った。 そんなある日、母が病気で亡くなって直ぐに父が後妻と子供を連れて来た。僕より一つ下の少年だった。 父はその子を跡取りに決め、僕は捨てられた。 ヤケになって家を飛び出した先に知らない森が見えて・・・。 僕はこの世界で人生を再始動(リスタート)する事にした。 不定期更新です。 以前少し投稿したものを設定変更しました。 ジャンルを恋愛からBLに変更しました。 また後で変更とかあるかも。 完結しました。

記憶を無くしたら家族に愛されました

レン
BL
リオンは第三王子で横暴で傲慢で侍女や執事が少しでも気に入らなかったら物を投げたり怒鳴ったりする。家族の前でも態度はあまり変わらない… 家族からも煩わしく思われたていて嫌われていた… そんなある日階段から落ちて意識をなくした…数日後目を覚ましたらリオンの様子がいつもと違くて…

『君を幸せにする』と毎日プロポーズしてくるチート宮廷魔術師に、飽きられるためにOKしたら、なぜか溺愛が止まらない。

春凪アラシ
BL
「君を一生幸せにする」――その言葉が、これほど厄介だなんて思わなかった。 チート宮廷魔術師×うさぎ獣人の道具屋。
毎朝押しかけてプロポーズしてくる天才宮廷魔術師・シグに、うんざりしながらも返事をしてしまったうさぎ獣人の道具屋である俺・トア。 
でもこれは恋人になるためじゃない、“一目惚れの幻想を崩し、幻滅させて諦めさせる作戦”のはずだった。 ……なのに、なんでコイツ、飽きることなく俺の元に来るんだよ? 
“うさぎ獣人らしくない俺”に、どうしてそんな真っ直ぐな目を向けるんだ――? 見た目も性格も不釣り合いなふたりが織りなす、ちょっと不器用な異種族BL。 同じ世界観の「「世界一美しい僕が、初恋の一目惚れ軍人に振られました」僕の辞書に諦めはないので全力で振り向かせます」を投稿してます!トアも出てくるので良かったらご覧ください✨

無愛想な氷の貴公子は臆病な僕だけを逃さない~十年の片想いが溶かされるまで~

たら昆布
BL
執着ヤンデレ攻め×一途受け

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される

田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた! なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。 婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?! 従者×悪役令息

処理中です...