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STEP 5 「帰らないで」
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口に含んで、顔を寄せてくれた八城の唇にキスする。すでに溶け出しているチョコレートを何とか八城の唇に含ませて、チョコレートを追うように舌を伸ばした。
差し込んだ瞬間に、八城の唇に舌を吸われて、おかしな声が出た。
「んふ、ぁ」
いくらでも誘惑する方法を持っている人だ。
くらくらしながら、必死で教えられたように舌を舐めて、チョコレートを熱に溶かす。しばらく一生懸命にしているうちに、頭が何も考えられなくなる。八城がチョコレートを飲み下して、静かに口を離した。
「ん、上手」
子どもを褒めるみたいに囁いて、可愛らしくご褒美のキスをくれる。目が回って、ただ八城を見つめるしかできない。
「もう一回」
「ん……、はい」
頭を撫でて、八城が口に含んだチョコレートを差し出してくる。受け取って舌で舐めたら、今度は奪うように弄ばれて、八城のシャツにしがみついた。
あっという間にチョコレートを奪われて、無意識に舌が追いかけて八城の唇に伸びた。ふわふわとおぼつかない世界の中で、八城が褒めるように頭を撫でてくる。
もっと褒められたくて、行ったり来たりするチョコレートをたくさん熱に溶かしたら、あっけなく消えてしまった。
「あ……」
「舌、馬鹿んなりそ……」
「あま、い、です」
「まだいける?」
「したい」
そっと口にしたら、何も言わずに八城がチョコレートを押し込んできた。
「ん、ぅんんっ……ふ、」
舐めて擦り合わせて、吸い付いて、なぞって、どろどろに溶かす。身体中が痺れて、八城以外が何も無くなってしまった気がする。
あとどれくらいチョコレートが残っているのかも曖昧な世界の中で、必死に八城にしがみついた。
「チョコ、全部食っちゃった」
「もう、おわり……?」
「まだしてえの?」
「ん、」
「……誘惑、上手だな」
苦笑のような、余裕のなさそうな笑みに胸を突き刺された。何もできずにじっと見つめているうちに、八城の手に手首を掴まれる。すこしだけ乱暴な手つきで、八城の肩の上に手を伸ばされて、意図を理解できないまま、もう片方の手も同じように八城の首に回してしがみつく。
「マジで溺れそ」
「やしろ、さん、っ……ん、ふ、ぅ……」
食らいつくように唇を噛まれて、教えられた通りに唇を開きながら、八城の舌に自分のものを必死で絡ませる。
ふわふわの世界で、指先に触れる八城の熱にちかちかと眩暈が襲ってくる。
何度も角度を変えて、吸いつかれては同じように返す。唇が腫れてしまいそうなほどに繰り返して、どろどろの熱に溺れた。
時間の経過が歪むほどに夢中で唇を寄せ合っていた。八城の指先が私の腰をなぞってきて、無意識に喉が鳴ってしまったところで、唇の拘束が解けた。
「あ……」
「今日はここまで、な」
「ん、う……、ふわふわ、してま、す」
「がっついてごめんね。もうしないから、安心していいよ」
私が散々縋り付いたシャツは、はっきりと皺が残ってしまっていた。どうにか引き伸ばそうと触れれば、八城の肩がぴくりと動いた。
「やしろ、さん?」
「明菜ちゃん」
「はい?」
「そんなエロい顔して、無防備に男に触ったらだめだろ」
「……どんな、顔、しているんですか」
「たまらなく襲いたくなる顔」
「おそ……」
「今日はそろそろ帰るか」
「あ……」
私の息が整わないうちにすっと立ち上がった八城に、確かめるように頭を撫でられた。
すこし前までどこまでも近くに居てくれていた人が、簡単にソファから遠ざかって荷物をまとめてジャケットを羽織りなおしている。どうにかソファから立ち上がってみれば、すでにいつも通りに笑っている八城が「玄関まで送ってくれるの?」と茶化してきた。
「おくり、ます」
「はは、でも、もうふらふらだろ」
「へいき、です」
「さっき意識飛ばしそうになってなかったか?」
「な、って……、なってないです」
「あはは。そうならいいけど」
すたすたと歩いて行ってしまう八城の後ろについて、小さな玄関で立ち止まる。八城が靴を履くために鞄を置く姿を見て、勝手に身体が動いてしまった。
——帰ってほしく、ない。
無断で八城の身体に触れて、後ろから縋りつくように抱き着いた。私の行動で、靴を掴みかけていた八城の指先が固まる。
「あき、」
「おうち、泊って行ってください」
考えもない、策略なんて、もっとない。
ただ、離れたくなくて、もっと近くに行きたくて、必死になってしまった。口にしてから、ずいぶんと大胆な言葉が出てきたものだと自分に感心してしまいそうだった。
たっぷりと間を空けた八城が、言葉を返してくれる。
「誘惑されてる?」
すっかり頭から吹き飛んでいたことを思い出させられた気分だ。けれど、八城の勘違いに身を任せてしまおうと頷いた。
「してる」
「……今日は、抱くつもりない」
私はもう、いつでも良いと思っているのに。けれど、八城に抱かれたらそこでこの関係は終わってしまう。
堂々巡りのような苦しい感情が渦巻いて、小さく息を吐いた。
「またダメですか」
「あはは、落ち込んでんの」
「ものすごく、魅力がないのかなって」
「それはない」
半分以上本気でつぶやいたのに、自分の言葉に傷つく暇もなく、八城の否定が飛んできた。驚いて身体を離したら、くるりと八城がこちらを振り返って、私の頬に触れる。
「襲いたくなるから、帰ろうとした」
色気たっぷりの声に、言葉がひりつく。言われている意味がうまくかみ砕けずに八城の目を見上げていれば、掠めるようにキスを贈られた。
「好物は最後まで残しておくほう」
「こうぶつ?」
「明菜とか」
食べ物は、いつもそうしていることを知っている。けれど、自分の名前を出されるとは思わずに口を噤んでしまった。
黙り込んだ私を覗き込む八城の瞳が、いたずらに輝く。心音はずっと乱れっぱなしで、心底参ってしまった。前途多難。
「わたしがどきどきしてどうするんですか」
思った通りに口にしたら、私の反応など知っている八城が、また私の髪を優しく撫でてくれた。
「あはは。かわいい。明菜ちゃんがどきどきしてると、俺も欲情するわ」
くつくつと笑いながら、八城が床に置いた鞄を手に持ち直したのを見て、慌ててしがみついた。
「帰らないで」
真剣につぶやいたのに、八城は目をまるくしてから、小さく笑っていた。
「じゃあ、もうすこし進めるか」
「うん?」
「明菜ちゃん、一緒に風呂入る?」
「……いきなり、高度です」
本当に、前途多難な関係だと思う。
差し込んだ瞬間に、八城の唇に舌を吸われて、おかしな声が出た。
「んふ、ぁ」
いくらでも誘惑する方法を持っている人だ。
くらくらしながら、必死で教えられたように舌を舐めて、チョコレートを熱に溶かす。しばらく一生懸命にしているうちに、頭が何も考えられなくなる。八城がチョコレートを飲み下して、静かに口を離した。
「ん、上手」
子どもを褒めるみたいに囁いて、可愛らしくご褒美のキスをくれる。目が回って、ただ八城を見つめるしかできない。
「もう一回」
「ん……、はい」
頭を撫でて、八城が口に含んだチョコレートを差し出してくる。受け取って舌で舐めたら、今度は奪うように弄ばれて、八城のシャツにしがみついた。
あっという間にチョコレートを奪われて、無意識に舌が追いかけて八城の唇に伸びた。ふわふわとおぼつかない世界の中で、八城が褒めるように頭を撫でてくる。
もっと褒められたくて、行ったり来たりするチョコレートをたくさん熱に溶かしたら、あっけなく消えてしまった。
「あ……」
「舌、馬鹿んなりそ……」
「あま、い、です」
「まだいける?」
「したい」
そっと口にしたら、何も言わずに八城がチョコレートを押し込んできた。
「ん、ぅんんっ……ふ、」
舐めて擦り合わせて、吸い付いて、なぞって、どろどろに溶かす。身体中が痺れて、八城以外が何も無くなってしまった気がする。
あとどれくらいチョコレートが残っているのかも曖昧な世界の中で、必死に八城にしがみついた。
「チョコ、全部食っちゃった」
「もう、おわり……?」
「まだしてえの?」
「ん、」
「……誘惑、上手だな」
苦笑のような、余裕のなさそうな笑みに胸を突き刺された。何もできずにじっと見つめているうちに、八城の手に手首を掴まれる。すこしだけ乱暴な手つきで、八城の肩の上に手を伸ばされて、意図を理解できないまま、もう片方の手も同じように八城の首に回してしがみつく。
「マジで溺れそ」
「やしろ、さん、っ……ん、ふ、ぅ……」
食らいつくように唇を噛まれて、教えられた通りに唇を開きながら、八城の舌に自分のものを必死で絡ませる。
ふわふわの世界で、指先に触れる八城の熱にちかちかと眩暈が襲ってくる。
何度も角度を変えて、吸いつかれては同じように返す。唇が腫れてしまいそうなほどに繰り返して、どろどろの熱に溺れた。
時間の経過が歪むほどに夢中で唇を寄せ合っていた。八城の指先が私の腰をなぞってきて、無意識に喉が鳴ってしまったところで、唇の拘束が解けた。
「あ……」
「今日はここまで、な」
「ん、う……、ふわふわ、してま、す」
「がっついてごめんね。もうしないから、安心していいよ」
私が散々縋り付いたシャツは、はっきりと皺が残ってしまっていた。どうにか引き伸ばそうと触れれば、八城の肩がぴくりと動いた。
「やしろ、さん?」
「明菜ちゃん」
「はい?」
「そんなエロい顔して、無防備に男に触ったらだめだろ」
「……どんな、顔、しているんですか」
「たまらなく襲いたくなる顔」
「おそ……」
「今日はそろそろ帰るか」
「あ……」
私の息が整わないうちにすっと立ち上がった八城に、確かめるように頭を撫でられた。
すこし前までどこまでも近くに居てくれていた人が、簡単にソファから遠ざかって荷物をまとめてジャケットを羽織りなおしている。どうにかソファから立ち上がってみれば、すでにいつも通りに笑っている八城が「玄関まで送ってくれるの?」と茶化してきた。
「おくり、ます」
「はは、でも、もうふらふらだろ」
「へいき、です」
「さっき意識飛ばしそうになってなかったか?」
「な、って……、なってないです」
「あはは。そうならいいけど」
すたすたと歩いて行ってしまう八城の後ろについて、小さな玄関で立ち止まる。八城が靴を履くために鞄を置く姿を見て、勝手に身体が動いてしまった。
——帰ってほしく、ない。
無断で八城の身体に触れて、後ろから縋りつくように抱き着いた。私の行動で、靴を掴みかけていた八城の指先が固まる。
「あき、」
「おうち、泊って行ってください」
考えもない、策略なんて、もっとない。
ただ、離れたくなくて、もっと近くに行きたくて、必死になってしまった。口にしてから、ずいぶんと大胆な言葉が出てきたものだと自分に感心してしまいそうだった。
たっぷりと間を空けた八城が、言葉を返してくれる。
「誘惑されてる?」
すっかり頭から吹き飛んでいたことを思い出させられた気分だ。けれど、八城の勘違いに身を任せてしまおうと頷いた。
「してる」
「……今日は、抱くつもりない」
私はもう、いつでも良いと思っているのに。けれど、八城に抱かれたらそこでこの関係は終わってしまう。
堂々巡りのような苦しい感情が渦巻いて、小さく息を吐いた。
「またダメですか」
「あはは、落ち込んでんの」
「ものすごく、魅力がないのかなって」
「それはない」
半分以上本気でつぶやいたのに、自分の言葉に傷つく暇もなく、八城の否定が飛んできた。驚いて身体を離したら、くるりと八城がこちらを振り返って、私の頬に触れる。
「襲いたくなるから、帰ろうとした」
色気たっぷりの声に、言葉がひりつく。言われている意味がうまくかみ砕けずに八城の目を見上げていれば、掠めるようにキスを贈られた。
「好物は最後まで残しておくほう」
「こうぶつ?」
「明菜とか」
食べ物は、いつもそうしていることを知っている。けれど、自分の名前を出されるとは思わずに口を噤んでしまった。
黙り込んだ私を覗き込む八城の瞳が、いたずらに輝く。心音はずっと乱れっぱなしで、心底参ってしまった。前途多難。
「わたしがどきどきしてどうするんですか」
思った通りに口にしたら、私の反応など知っている八城が、また私の髪を優しく撫でてくれた。
「あはは。かわいい。明菜ちゃんがどきどきしてると、俺も欲情するわ」
くつくつと笑いながら、八城が床に置いた鞄を手に持ち直したのを見て、慌ててしがみついた。
「帰らないで」
真剣につぶやいたのに、八城は目をまるくしてから、小さく笑っていた。
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