『しろくま通りのピノ屋さん 〜転生モブは今日もお菓子を焼く〜』

miigumi

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7章

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第62話『新しい仲間と、新しい日常へ』

 *

 「わたしは、王都での“共存大使”をお引き受けします」

 リィナは議会に向けて、自分の言葉で宣言した。

 「ただし、活動の拠点は――わたしの町、“しろくま通り”に戻したい。
 日々の暮らしの中にこそ、“共に生きる”って意味があると思うから」

 その提案に、議員たちは少しざわついたが――
 勇者リュシオンが口を開いた。

 「彼女の“選んだ場所”に意味がある。王都がそれを無理に縛るべきではない」

 セリフィーヌも笑って言う。

 「灯す場所がどこであれ、光は広がるものよ」

 *

 後日、リィナが町に戻る日――
 一緒に同行する存在がいた。

 黒いフードをかぶった小さな魔物。

 目元だけがちらりと見え、銀色の瞳がこちらをじっと見ている。

 「この子は、“ユル”。シャドウリンクという魔物です。
 今後、町での共存モデルの“第二対象”として、あなたの元へ預けられます」

 議会からの説明に、リィナは静かにユルを見つめた。

 「……こんにちは、ユル」

 ユルは何も言わず、すっと目を逸らす。
 その動きには、明らかに“距離を取ろうとする意思”があった。

 「ぴ(こいつ、人間嫌いだな)」「モル、なかよくできる?」

 「……うん。でも、きっと時間がかかる。
 でも、それでいい。わたしも、そうだったから」

 レオがそっと背中を支える。

 「リィナさんの“まあるさ”は、少しずつ届くものです。焦らなくていい」

 リィナは小さく笑った。

 「じゃあ、うちに帰ろう、ユル。……きっと、すこしずつ“好き”になれるから」

 ユルはほんのわずか、影を揺らしただけだったが、
 それは“拒絶ではない”という小さな合図のように見えた。
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