『しろくま通りのピノ屋さん 〜転生モブは今日もお菓子を焼く〜』

miigumi

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9章

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第83話『まあるい扉が、ひらく場所へ』

 *

 会議の翌日、王都評議院にて――
 提案を受けた委員会が発表したのは、予想以上の反響と、ひとつの決定。

 「“共存は理念ではなく、日常である”――この考えを広げるため、
 しろくま通りの一時出張型仮店舗を、王都中心街に設置します」

 「モデルは“まあるい暮らし”そのもの。交流だけでなく、“働く・笑う・食べる”を見せる空間です」

 リィナは思わず目を見開いた。

 「……お店ごと? 町の空気をそのまま?」

 レオが静かに頷く。

 「つまり――“町をまるごと届ける”ということですね」

 *

 その日の夜。

 王都の迎賓館の一室で、リィナとレオは小さなテーブルを挟んで語り合っていた。

 「わたし、本当は、ずっと思ってたんです。
 “伝える”ことはできても、“運べる”なんて、考えてなかった」

 「あなたの作るお菓子は、言葉よりも先に人の心に届きます。
 その“味”が、町の空気を伝えてくれる。……僕は、そう信じています」

 「……レオさん。じゃあ、もう少しだけ、未来を信じてみてもいいですか?」

 「もちろん。どこまでも一緒に信じましょう」

 *

 一方、しろくま通りでは――

 ユルが「移動式まるい店」の設計図を描き、
 モルが「読み聞かせ出張計画」を立てており、
 ピノは「魔法冷菓屋台を王都バージョンに改造中」。

 セリル:「師匠! 王都にアイス革命をっ!!」

 「ぴぴ(まず落ち着け)」

 *

 その夜、リィナはノートにこう記した。

 《町は“ひとつの場所”じゃなく、“帰れる想い”なんだと思う。
 だから、わたしたちは“町ごと届ける”旅に出る――もうすぐ》
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