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アーシャ
1 初恋
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私の恋は報われない。
これまでも、きっとこれからも。
アーシャは田舎の男爵家の長女として生まれた。
母も父も仲が良く、アーシャの好きなことを自由にやらせてくれた。
14歳の秋。
アーシャは貴族学院に入学する為、切磋琢磨していた。
男爵家といってもあまり裕福な方ではなかったし、魔法の才能があったわけでもないので学力で補填し、特別枠で入ろうとしていたのだ。
アーシャは学力だけは自分の誇れるところだと思っていた。
しかし、貴族学院は実際彼女の身の丈にあってはいなかったし、彼女自身が強く望んでいた学院ではない。
彼女がわざわざ貴族学院に通いたがるのには理由がある。
アーシャにはフェルナンという伯爵家の幼馴染がいた。
フェルナンとは連れ添っていた家族のようなものだ。
しかし、そんな関係性がアーシャを苦しませた。
アーシャはフェルナンに恋をしていたのだ。
恋にきっかけなどない。
アーシャは気がつけばフェルナンから目が離せなくなっていた。
それを自覚したのは12歳になりたての頃。
家族同然のフェルナンに恋なんて、と自分自身に驚いたものだ。
そんなアーシャがフェルナンが貴族学院に入学することを聞き、自分も行きたいと思うのは必然的だった。
きっと、私のこの恋は叶わないのだろう。
そんな想いを抱きながらも、淡い期待を胸に募らせ鉛筆を握った。
アーシャは無事、貴族学院に合格した。
フェルナンに「やったね!」とハイタッチを迫られた時にはジーンと胸が熱くなった。
これから幸せな学院生活が待っていると信じて疑いもしなかった。
フェルナンの親友として、だけれど。
一緒に昼食を食べ、授業後は勉強を教え合い、一緒に帰る。
アーシャはフェルナンの顔を見つめた。
フェルナンのラベンダー色の髪に琥珀のような目。
顔立ちに大人っぽさがみられ、学院の中でも人気があった。
他の人はこんなに近くでフェルナンの顔を見ることはできないだろう。
まるで恋人のようだとアーシャは胸を弾ませたものだ。
実際、アーシャとフェルナンの関係を疑い出す人もいた。
そんなある日のことだった。
「あの二人、恋仲にあるんじゃない?」そんな噂が流れ始めた。
その話を聞くたび、アーシャは嬉しさでシャンプしそうだった。
これで、これでフェルナンに意識してもらえるかもしれない!
家族や親友以上の関係になれるかもしれないとアーシャは期待を膨らませた。
移動教室が終わり、教室に戻った時だった。
「アーシャとは実際どうなの?」そういった内容の質問がアーシャの耳に届いた。
アーシャは教室のドアノブに手をかけたまま、立ち止まった。
心臓がバクバクと鳴っている。
そんな質問に対し、フェルナンは「そうだな」と少し考えるそぶりをみせてから軽くこう言った。
「まあ、家族みたいなものだし、有り得ないかな」
キ──────ン。
耳鳴りがアーシャの耳を刺した。
アーシャは帰り道、重い足を引き摺るようにして歩いた。
フェルナンにとって、アーシャは所詮家族でしかない。
元々知っていたことだが、ああもはっきり言われてしまってはなす術がない。
はは、と乾いた笑い声がアーシャから漏れた。
これまでも、きっとこれからも。
アーシャは田舎の男爵家の長女として生まれた。
母も父も仲が良く、アーシャの好きなことを自由にやらせてくれた。
14歳の秋。
アーシャは貴族学院に入学する為、切磋琢磨していた。
男爵家といってもあまり裕福な方ではなかったし、魔法の才能があったわけでもないので学力で補填し、特別枠で入ろうとしていたのだ。
アーシャは学力だけは自分の誇れるところだと思っていた。
しかし、貴族学院は実際彼女の身の丈にあってはいなかったし、彼女自身が強く望んでいた学院ではない。
彼女がわざわざ貴族学院に通いたがるのには理由がある。
アーシャにはフェルナンという伯爵家の幼馴染がいた。
フェルナンとは連れ添っていた家族のようなものだ。
しかし、そんな関係性がアーシャを苦しませた。
アーシャはフェルナンに恋をしていたのだ。
恋にきっかけなどない。
アーシャは気がつけばフェルナンから目が離せなくなっていた。
それを自覚したのは12歳になりたての頃。
家族同然のフェルナンに恋なんて、と自分自身に驚いたものだ。
そんなアーシャがフェルナンが貴族学院に入学することを聞き、自分も行きたいと思うのは必然的だった。
きっと、私のこの恋は叶わないのだろう。
そんな想いを抱きながらも、淡い期待を胸に募らせ鉛筆を握った。
アーシャは無事、貴族学院に合格した。
フェルナンに「やったね!」とハイタッチを迫られた時にはジーンと胸が熱くなった。
これから幸せな学院生活が待っていると信じて疑いもしなかった。
フェルナンの親友として、だけれど。
一緒に昼食を食べ、授業後は勉強を教え合い、一緒に帰る。
アーシャはフェルナンの顔を見つめた。
フェルナンのラベンダー色の髪に琥珀のような目。
顔立ちに大人っぽさがみられ、学院の中でも人気があった。
他の人はこんなに近くでフェルナンの顔を見ることはできないだろう。
まるで恋人のようだとアーシャは胸を弾ませたものだ。
実際、アーシャとフェルナンの関係を疑い出す人もいた。
そんなある日のことだった。
「あの二人、恋仲にあるんじゃない?」そんな噂が流れ始めた。
その話を聞くたび、アーシャは嬉しさでシャンプしそうだった。
これで、これでフェルナンに意識してもらえるかもしれない!
家族や親友以上の関係になれるかもしれないとアーシャは期待を膨らませた。
移動教室が終わり、教室に戻った時だった。
「アーシャとは実際どうなの?」そういった内容の質問がアーシャの耳に届いた。
アーシャは教室のドアノブに手をかけたまま、立ち止まった。
心臓がバクバクと鳴っている。
そんな質問に対し、フェルナンは「そうだな」と少し考えるそぶりをみせてから軽くこう言った。
「まあ、家族みたいなものだし、有り得ないかな」
キ──────ン。
耳鳴りがアーシャの耳を刺した。
アーシャは帰り道、重い足を引き摺るようにして歩いた。
フェルナンにとって、アーシャは所詮家族でしかない。
元々知っていたことだが、ああもはっきり言われてしまってはなす術がない。
はは、と乾いた笑い声がアーシャから漏れた。
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