嘘つきな貴方を捨てさせていただきます

梨丸

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二章:貴方に報復を

ロベルトの焦燥

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路地裏に頭まですっぽりと入るようなローブを着た男が居た。瑠璃色の瞳を左右に揺らし、落ち着きがない。

焦りに歪んだ、痣が目立つ顔は、元々の美しさをかき消していた。

「いつになったら来るんだ……!」

男ーーロベルトは思わず爪を噛んだ。
それもそのはず、彼は謹慎中の屋敷から抜け出し、この路地裏で取り引きを行なっていたのだ。本来ならば、取り引きの相手が作戦の成功を掲げてやって来るはずなのだが、一向に来る気配がない。

(少し驚かすだけでいいと言ったのに……、もしかして失敗したのか?)

そこまで考えてからロベルトはその考えを頭から振り払った。ロベルトが依頼したのは貧民街でも有能だと有名な男達だ。報酬も十分に与えたし、その半分をここで毒薬と交換、という形で取引している。

彼らが失敗なんて、しているはずが無い。
そう決めつけたロベルトの頭の中に一つの考えが浮かんだ。

(……騙されたのか?)

頭の中で拒絶反応が起こっている。
僕が騙されるはずないんだ、と。

ロベルトは自分の頭脳に絶対的な自信を持っている。だから、開拓の件だって自分の頭脳に追いついていない凡人がミスを犯しただけだ、そうに決まっている。そう考えていた。

ロベルトとしてはマーガレットとのことは純愛そのものだと思っていた。面白みのない婚約者よりずっと可愛らしくて目を奪われるマーガレットを愛している。
それってとても素晴らしいことじゃないか、と彼はいつも自分に酔いしれている。

そうだ。きっと、フレイアは赦してくれる。
マーガレットと僕が穢れのない愛で結ばれていたということも賢い彼女なら理解してくれているだろう。
エーメリー公爵はああ言っていたけれど、彼女は僕を愛しているんだ。今回もただの気の迷いだ。

きっとそうだ、彼は自分をそう納得させて一人屋敷へと帰った。



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