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秋晴れが続き風も心地よく外で食べるにはもってこい...のはずだった。
「ほんとマジでいいカンジだわー」
屋上の手すりに背をもたれながら横でパンを噛る男を尻目に碧は本日最大級の溜息を漏らした。たまにお弁当のおかずを横取りされイラつきを抑えていると碧のスマホの着信が鳴り響いき、液晶を確認すると先程ここへ誘ったはずの友人からだった。
「ちょっとどういうこと?!」
碧は貴斗から離れ友人からの電話に出た。
「ごめーん、実は朝、阿部くんが碧に聞きたいことあるけどなかなか話すタイミングがないって相談されて。そこなら誰も来ないしいいかなーって」
「だからってこん...っ!」
碧が小声で前のめり気味に話していると横からスマホを取られ
「さっきはありがとねー、...うん、やっとゆっくり話せそうー、...うん、今度お礼するねー」
碧の険しい視線を尻目に貴斗は然も前から知っているかのような口調で碧の友人と喋っていた。
通話が終わったため碧がスマホを返してもらおうと手を伸ばしたがヒョイと持っている手を上に挙げ貴斗は返す素振りを見せなかった。
「ちょっ、ちょっと返してっ」
160センチ台の碧が180センチ近くある貴斗の挙げた手に届く訳もなく無駄に飛び跳ねていると、勝手に何かを打ち込み操作していた。
「勝手に触らないでっ!」
一方的な攻戦を繰り広げていると「はいっ」と目の前に液晶画面を見せつけるように近づけた。
「これ、俺の番号。あとLINEの登録もしといたから」
ニカッと笑いながら自分自身のスマホも操作し画面を見せ、碧の情報が入っていることを確認させた。
「かっ、勝手なことしないでくださいっ!」
「ねー、碧ちゃん俺とトモダチになろっ、まぁ俺的にはそれ以上の関係でもいいけど」
薄笑いを浮かべ碧を見下ろした。
「冗談言う相手が違うと思いますよ」
隙をついて自分のスマホを貴斗の手から奪い削除しようとした時、突如腕を捕まれ貴斗の身体に吸い寄せられるように抱き締められた。
カシャッ
カメラのシャッター音が横から聞こえ画面に写し出されている画像に言葉を失った。
「もし俺から逃げたり連絡先勝手に削除したらこの画像SNSで流しちゃおうっかなー。そしたらすーぐ拡まっちゃうね...ってなわけでよろしくねー、碧ちゃん♡」
本日最大級の溜息はものの数十分で更新された。
――――――――――――――
放課後になり碧は図書室に来ていた。昨日から貴斗に関わったせいで自分の日常が狂い出し、ドっと疲れがここに来て押し寄せ机に突っ伏していた。お昼以降は貴斗に絡まれることはなかったが、何かしてくるかもと気を張っていたため午後に受けた授業内容は全く入ってこなかった。
(なんでこんなことに...)
碧は頭に入っていない今日の授業の復習をすべく教科書とノートを開く。今日は利用者が疎らだったため落ち着いて勉強が出来た。
(これ以上、彼には関わりたくないんだけどな)
ある程度の復習が終わり帰る準備をしていると鞄の中に閉まってあったスマホからバイブ音が聞こえ、見てみると貴斗からの着信だった。しばらく放置していたが帰り支度が終わる頃まで鳴り続けていたので観念し電話に出ようとした瞬間切れてしまった。
(...ヤバかったかな......あとで掛け直した方がいいのかな)
写真の事もあり少し気がかりになりながらも廊下を歩いていると
「あーおいちゃん、着拒って酷くねー?」
振り向くと貴斗がスマホを左右に動かしながら屋上での写真をちらつかせていた。
「べっ別に無視したわけじゃないです。図書室にいたから取れなかっただけで...あとで掛け直すつもりでした」
周りには誰もいなかったがいつどこであの写真を見られるかわからない恐怖からしどろもどろになってしまっていた。
「ふーん」納得したのかしてないのかわからない表情で碧の顔を凝視され思わず視線を落とした。
「まっ、今回はそういうことにしとこー。でも次はないからね」
顔を上げ気が付くといつの間にか距離が近づき貴斗の手が碧の顔に伸び、ひょいっと眼鏡を取り上げられた。
「これって伊達だったんだー。なんで付けてるのー?」
碧の眼鏡を勝手に掛けキョロキョロとふざけたそぶりで周りを見渡していた。碧は突然のことで手で顏を隠そうとすると貴斗に両手を掴まれその拍子に目元が露わになった。
「...碧ちゃん、やっぱ俺ら会ってない?」
先ほどまでの雰囲気がガラリと変わり氷の様な視線に思わずゾクっとしてしまった。
貴斗から逃れようとするが、両手を掴まれてるため思うように身動きが取れずにいた。
「今日は逃がさないよ」
耳元で囁かれ鼓動が跳ねる。普段チャラチャラしてる男が今は全くの別人に見える。
「きっ昨日も言いましたよね、貴方の事はこの学校で知りました。それ以外で会ったことはないです。...阿部くん女の子の友達多そうだから誰かと勘違いしてるんじゃないですか?」
挙動不審にならないよう一呼吸し真っ直ぐ貴斗を見つめ言い放つ。
「...電車の時間あるんで手離してください」
貴斗は無言のまま碧の両手を離し胡乱な目で碧を見つめていた。碧は貴斗が取り上げた眼鏡を奪い取り、小さくペコっと頭を下げ「じゃあ」と元の向きに戻り歩き出した瞬間、左手を勢いよく引っ張られ気づいたころには貴斗の唇が重なっていた。抵抗しようにも貴斗の右手が碧の後頭部を押さえてるため動けない。
「!!!!!!」
ぬるっと温かい舌が碧の口腔に入り込み這いずり回る。
「っん、...ゃめ.....」
貴斗の舌が動き回る度に碧はなんとか逃れようとするが全く歯が立たず口腔内を犯され続けた。碧の口許からはどちらのものとも言えない唾液が流れ、唇を離し貴斗はそれを舐め上げた。
碧はあまりの衝撃でやわやわとへたり込んでしまった。
貴斗は碧の前にしゃがみ込みニヤリと厭らしい表情を浮かべ
「さっき出なかった罰ね♡」
碧の唇にチュッと軽くキスをし貴斗は立ち上がり、その流れで碧の腕を引っ張って無理やり立たせた。
「碧ちゃん、放心状態のとこ悪いんだけど今からちょっと付き合って」
全く予想だにしない展開に頭が着いていかず貴斗の声も上の空で聞いていたため適当に返事をしてしまったことに後で後悔することになるのだった。
「ほんとマジでいいカンジだわー」
屋上の手すりに背をもたれながら横でパンを噛る男を尻目に碧は本日最大級の溜息を漏らした。たまにお弁当のおかずを横取りされイラつきを抑えていると碧のスマホの着信が鳴り響いき、液晶を確認すると先程ここへ誘ったはずの友人からだった。
「ちょっとどういうこと?!」
碧は貴斗から離れ友人からの電話に出た。
「ごめーん、実は朝、阿部くんが碧に聞きたいことあるけどなかなか話すタイミングがないって相談されて。そこなら誰も来ないしいいかなーって」
「だからってこん...っ!」
碧が小声で前のめり気味に話していると横からスマホを取られ
「さっきはありがとねー、...うん、やっとゆっくり話せそうー、...うん、今度お礼するねー」
碧の険しい視線を尻目に貴斗は然も前から知っているかのような口調で碧の友人と喋っていた。
通話が終わったため碧がスマホを返してもらおうと手を伸ばしたがヒョイと持っている手を上に挙げ貴斗は返す素振りを見せなかった。
「ちょっ、ちょっと返してっ」
160センチ台の碧が180センチ近くある貴斗の挙げた手に届く訳もなく無駄に飛び跳ねていると、勝手に何かを打ち込み操作していた。
「勝手に触らないでっ!」
一方的な攻戦を繰り広げていると「はいっ」と目の前に液晶画面を見せつけるように近づけた。
「これ、俺の番号。あとLINEの登録もしといたから」
ニカッと笑いながら自分自身のスマホも操作し画面を見せ、碧の情報が入っていることを確認させた。
「かっ、勝手なことしないでくださいっ!」
「ねー、碧ちゃん俺とトモダチになろっ、まぁ俺的にはそれ以上の関係でもいいけど」
薄笑いを浮かべ碧を見下ろした。
「冗談言う相手が違うと思いますよ」
隙をついて自分のスマホを貴斗の手から奪い削除しようとした時、突如腕を捕まれ貴斗の身体に吸い寄せられるように抱き締められた。
カシャッ
カメラのシャッター音が横から聞こえ画面に写し出されている画像に言葉を失った。
「もし俺から逃げたり連絡先勝手に削除したらこの画像SNSで流しちゃおうっかなー。そしたらすーぐ拡まっちゃうね...ってなわけでよろしくねー、碧ちゃん♡」
本日最大級の溜息はものの数十分で更新された。
――――――――――――――
放課後になり碧は図書室に来ていた。昨日から貴斗に関わったせいで自分の日常が狂い出し、ドっと疲れがここに来て押し寄せ机に突っ伏していた。お昼以降は貴斗に絡まれることはなかったが、何かしてくるかもと気を張っていたため午後に受けた授業内容は全く入ってこなかった。
(なんでこんなことに...)
碧は頭に入っていない今日の授業の復習をすべく教科書とノートを開く。今日は利用者が疎らだったため落ち着いて勉強が出来た。
(これ以上、彼には関わりたくないんだけどな)
ある程度の復習が終わり帰る準備をしていると鞄の中に閉まってあったスマホからバイブ音が聞こえ、見てみると貴斗からの着信だった。しばらく放置していたが帰り支度が終わる頃まで鳴り続けていたので観念し電話に出ようとした瞬間切れてしまった。
(...ヤバかったかな......あとで掛け直した方がいいのかな)
写真の事もあり少し気がかりになりながらも廊下を歩いていると
「あーおいちゃん、着拒って酷くねー?」
振り向くと貴斗がスマホを左右に動かしながら屋上での写真をちらつかせていた。
「べっ別に無視したわけじゃないです。図書室にいたから取れなかっただけで...あとで掛け直すつもりでした」
周りには誰もいなかったがいつどこであの写真を見られるかわからない恐怖からしどろもどろになってしまっていた。
「ふーん」納得したのかしてないのかわからない表情で碧の顔を凝視され思わず視線を落とした。
「まっ、今回はそういうことにしとこー。でも次はないからね」
顔を上げ気が付くといつの間にか距離が近づき貴斗の手が碧の顔に伸び、ひょいっと眼鏡を取り上げられた。
「これって伊達だったんだー。なんで付けてるのー?」
碧の眼鏡を勝手に掛けキョロキョロとふざけたそぶりで周りを見渡していた。碧は突然のことで手で顏を隠そうとすると貴斗に両手を掴まれその拍子に目元が露わになった。
「...碧ちゃん、やっぱ俺ら会ってない?」
先ほどまでの雰囲気がガラリと変わり氷の様な視線に思わずゾクっとしてしまった。
貴斗から逃れようとするが、両手を掴まれてるため思うように身動きが取れずにいた。
「今日は逃がさないよ」
耳元で囁かれ鼓動が跳ねる。普段チャラチャラしてる男が今は全くの別人に見える。
「きっ昨日も言いましたよね、貴方の事はこの学校で知りました。それ以外で会ったことはないです。...阿部くん女の子の友達多そうだから誰かと勘違いしてるんじゃないですか?」
挙動不審にならないよう一呼吸し真っ直ぐ貴斗を見つめ言い放つ。
「...電車の時間あるんで手離してください」
貴斗は無言のまま碧の両手を離し胡乱な目で碧を見つめていた。碧は貴斗が取り上げた眼鏡を奪い取り、小さくペコっと頭を下げ「じゃあ」と元の向きに戻り歩き出した瞬間、左手を勢いよく引っ張られ気づいたころには貴斗の唇が重なっていた。抵抗しようにも貴斗の右手が碧の後頭部を押さえてるため動けない。
「!!!!!!」
ぬるっと温かい舌が碧の口腔に入り込み這いずり回る。
「っん、...ゃめ.....」
貴斗の舌が動き回る度に碧はなんとか逃れようとするが全く歯が立たず口腔内を犯され続けた。碧の口許からはどちらのものとも言えない唾液が流れ、唇を離し貴斗はそれを舐め上げた。
碧はあまりの衝撃でやわやわとへたり込んでしまった。
貴斗は碧の前にしゃがみ込みニヤリと厭らしい表情を浮かべ
「さっき出なかった罰ね♡」
碧の唇にチュッと軽くキスをし貴斗は立ち上がり、その流れで碧の腕を引っ張って無理やり立たせた。
「碧ちゃん、放心状態のとこ悪いんだけど今からちょっと付き合って」
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