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「37.8℃。もう!いくら急な大雨だったからってコンビニで傘買うお金くらいあったでしょ!?あんなずぶ濡れで帰って来てそのまま寝るなんて風邪引くに決まってるじゃない!!お母さん、今日はカンファレンスがあってちょっと遅くなるかもしれないけどなんかあったら連絡しなさい。とりあえず今日は大人しく寝てなさいよ」
朝から母親の呆れ顔と軽く声を荒げた説教が入り混じり碧の頭と部屋に響き渡った。碧は無意識に蟀谷へ指先を置き部屋の時計に目をやった。
「うん。それよりそろそろ出勤時間じゃない?私は大丈夫だから行って行って」
「あらっほんと。じゃあ行ってくるわね。・・・当てにはならないけど一応、虹志にも言ってあるから何かあったらあの子にも言いなさい」
母親から冷却シートを受け取りおでこに張り替えながら碧は仕事へ行くよう促した。その言葉に母親は部屋の掛け時計の時刻にハッとした表情を浮かべると再度何かあったら連絡するよう言い残すとそのまま碧の部屋を後にした。
本当に時間がなかったのかバタバタと急ぎ足で出て行く母親の音が微かに下から聞こえるも数秒後には無音になり家には自分しかいないことが理解できた。静かな室内のせいか自分の少し荒い息遣いが大きく響いているような錯覚に襲われた。
(智広さんに何も言わず帰っちゃって心配してたかな。連絡先知らないから仕方ないけど謝ることも出来なかったな・・・)
貴斗のやり取りの後、正直記憶がなくどうやって帰宅したのかもあやふやで気付けば雨に濡れた状態で部屋のベッドに身体を沈めていた。
「あの時の貴斗の気持ちが今になって身に染みるな・・・。やっぱり・・・再会すべきじゃなかったのかな」
不思議と涙は出なかった。貴斗が言い放った“ゲーム”というワードに自ずと理解出来てしまっていた。振られたことなんてなく異性に不自由なんてしたことのない、そんな貴斗が初めて冴えない女の子に振られてしまった。碧に振られ再会するまで“来る者拒まず去るもの追わず”といった最低な男子生徒になるもその碧を見つけ再会したことで再び彼の中で火がついた。不完全燃焼だった気持ちが徐々にクリアになり実績を積むごとに彼の中でどんどん冷静な判断が出来るようになった。
“あー、なんで俺こんな冴えない女に執着してたんだろう”・・・て。
「はは、ヤバ・・・自分の考察がしっくりしすぎて笑える」
静かな部屋で一人自嘲しながら碧はベッドから身体を起こした。充電しっぱなしのスマートフォンを外し友人たちに学校を休むことを伝えた。
そのリストの中、貴斗とのメッセージのやり取りが目に入り思わず自分の視界から逸らすようアプリを閉じた。
「忘れられるの・・・かな・・・」
熱のせいか無意識に呟いた言葉すらわからず頭がぼうっとしたままゆっくりと瞼を下ろすと意識が少しずつ遠のいてゆく・・・同時に左眼尻から一粒の雫が流れ落ちるがそれに気付くことなく碧は深い眠りへとついた。
――――――――――
二日ほど下がらなかった熱も落ち着き、様子見で更に一日休んでいた碧は久々に高校の門をくぐった。休んでいる間は友人は勿論、徳田からも授業の内容など書かれたノートの画像と一緒に体調を心配するメッセージが何度も届いていたが、貴斗から来ることはなかった。
「あおいーっ!おはよーっ!!ってもう大丈夫なの?ちょっと痩せたんじゃない!?病み上がりなんだから無理しちゃだめよ」
教室に入るなり同じクラスになった友人の一人に飛びつかれるように声を掛けられた。
「うん、大丈夫、大丈夫。休みの間ノートありがとね、授業ついていけなくならずに済んだ」
「ううん、どう致しまして。私の選択教科じゃないのは碧と同じ授業とってる徳田くんがやってくれたからあとでお礼しときなよ。・・・それにしても私、徳田くんと初めて話したんだけど結構イケボなのね。眼鏡と前髪で見にくいけど私が思うにアレは磨けば光る原石だね。リアル推しが出来そうっ♪」
「はは・・・そっか。いい人だよね」
(そういえばnariのファンだったっけ・・・。まさか同クラで普通に接してる相手が本人だなんて知ったらどうなるんだろ)
友人にコソッと耳打ちされるも本当のことが言えないため碧は喉元まで昇りつめてくる言葉をグッと呑み込み言葉少なく同調した。
彼が教室に来たら礼を伝えようとしていたものの徳田がやって来る気配はなくそのまま担任が朝礼をするため教室へと入って来た。
徳田が欠席とわかり直接礼を伝えられず一先ず回復し今日から登校したことだけ簡単な文字を纏め、休み時間になった直後すぐに彼へメッセージを送った。
(改めてお礼しなきゃ。徳田くんたちのおかげで授業についていけたし)
碧は、次の授業の準備を終えると必要な教科書類を抱え移動先の教室へと向かった。廊下を歩いていると休み時間ということもあり何人かの生徒たちが廊下で談笑している中を通っていると窓が開いていたためか丁度下の中庭から女生徒たちのはしゃぎ声が三階にいる碧のところまで響き思わず視線を向けた。
派手目な雰囲気の数人の女生徒と男子グループが賑やかしく燥いでいる光景が飛び込んできた。
「ねえ、貴斗ぉ♡今日うち来ない?親帰り遅いんだぁ♡」
ベンチに座るた貴斗の隣を陣取るように一人の女生徒が彼の肩に軽く頭を乗せ密着していた。その光景はまるで以前在学していた松本亜梨咲を彷彿とさせるものだった。
「・・・別にいいけど」
貴斗はスマートフォンを弄りながら素っ気ない声色で返事されたもののその返答が了承ということで女生徒は大喜びで更に貴斗の身体に密着していた。
「なんか阿部くんて、最初の頃はチャラついてたけど最近は柔らかくなって雰囲気いい感じだったけど雑誌に載ってから昔に戻っちゃったよねー」
「あー思った。それに最近なんかトゲトゲしいっていうか怖いっていうか・・・。一時は陽キャタイプの女子近づいても遇ってたのに今じゃあWELCOME状態だもんね」
同じく近くで窓越しからその光景を見ていた他クラスの女子生徒たちの話し声が碧の耳に入り胸がギュッと締め付けられた。
(・・・気にしない、気にしない)
軽く左右に頭を振り足早に教室へと向かう。遠目から見ても外見は今までと変わらないが、どこか気怠く確かに碧に気付かなかった時の貴斗を見ているようだった。
もう貴斗には関わらない・・・あの日から今まで何度も自分に念を押し納得させてた。頭では理解していても彼の姿を見ればあっという間に崩れ瞳の奥がカッと熱くなる。
(・・・忘れろ、忘れろ)
碧は再び頭の中で自分を律し強く下唇を噛み締めた。
☆☆☆
長かった拘束時間も終わり、碧は帰宅準備をしていた。友人から寄り道を誘われたが気分が乗らず病み上がりを理由に断った。下校すべく足早に玄関へ向かいながら周りを気にするように視線を動かず。教室が離れていたおかげで貴斗たちのグループの姿はなくホッと胸を撫で下ろし自身の靴を下駄箱から出した。なるべくあの光景をもう目にしたくない碧は校門を出るまで何度も周りを確認しながら校門の外へと向かう。
「お疲れさま、碧ちゃん♪」
何事もなく学校から離れた碧は、安堵と虚無感の中俯きながら歩いていると頭上から自身の名を呼ぶ声が聞こえた。聞き覚えのあるその声はある人物を彷彿させるも比べると少し声色は落ち着いていた。碧は、ゆっくりと顔を上げるとまるで大人びた貴斗が笑顔を向けてくれているような錯覚を覚え一瞬目頭が熱くなったがすぐさま現実に引き戻された。
「智広さん・・・どうして、ってあ、この前はすみませんでした。じ、実は、あのあと急用が出来てしまって・・・」
「あー、そんなこと気にしてないから♪それよりちょっと今から俺に拉致られてよ♡」
「へっ?あ、や、ちょっ・・・」
碧は、唐突に現れた智広に謝罪するも軽く流されそのまま手首を摑まれ近くに停めてあった智広の車へと乗せられてしまった。
朝から母親の呆れ顔と軽く声を荒げた説教が入り混じり碧の頭と部屋に響き渡った。碧は無意識に蟀谷へ指先を置き部屋の時計に目をやった。
「うん。それよりそろそろ出勤時間じゃない?私は大丈夫だから行って行って」
「あらっほんと。じゃあ行ってくるわね。・・・当てにはならないけど一応、虹志にも言ってあるから何かあったらあの子にも言いなさい」
母親から冷却シートを受け取りおでこに張り替えながら碧は仕事へ行くよう促した。その言葉に母親は部屋の掛け時計の時刻にハッとした表情を浮かべると再度何かあったら連絡するよう言い残すとそのまま碧の部屋を後にした。
本当に時間がなかったのかバタバタと急ぎ足で出て行く母親の音が微かに下から聞こえるも数秒後には無音になり家には自分しかいないことが理解できた。静かな室内のせいか自分の少し荒い息遣いが大きく響いているような錯覚に襲われた。
(智広さんに何も言わず帰っちゃって心配してたかな。連絡先知らないから仕方ないけど謝ることも出来なかったな・・・)
貴斗のやり取りの後、正直記憶がなくどうやって帰宅したのかもあやふやで気付けば雨に濡れた状態で部屋のベッドに身体を沈めていた。
「あの時の貴斗の気持ちが今になって身に染みるな・・・。やっぱり・・・再会すべきじゃなかったのかな」
不思議と涙は出なかった。貴斗が言い放った“ゲーム”というワードに自ずと理解出来てしまっていた。振られたことなんてなく異性に不自由なんてしたことのない、そんな貴斗が初めて冴えない女の子に振られてしまった。碧に振られ再会するまで“来る者拒まず去るもの追わず”といった最低な男子生徒になるもその碧を見つけ再会したことで再び彼の中で火がついた。不完全燃焼だった気持ちが徐々にクリアになり実績を積むごとに彼の中でどんどん冷静な判断が出来るようになった。
“あー、なんで俺こんな冴えない女に執着してたんだろう”・・・て。
「はは、ヤバ・・・自分の考察がしっくりしすぎて笑える」
静かな部屋で一人自嘲しながら碧はベッドから身体を起こした。充電しっぱなしのスマートフォンを外し友人たちに学校を休むことを伝えた。
そのリストの中、貴斗とのメッセージのやり取りが目に入り思わず自分の視界から逸らすようアプリを閉じた。
「忘れられるの・・・かな・・・」
熱のせいか無意識に呟いた言葉すらわからず頭がぼうっとしたままゆっくりと瞼を下ろすと意識が少しずつ遠のいてゆく・・・同時に左眼尻から一粒の雫が流れ落ちるがそれに気付くことなく碧は深い眠りへとついた。
――――――――――
二日ほど下がらなかった熱も落ち着き、様子見で更に一日休んでいた碧は久々に高校の門をくぐった。休んでいる間は友人は勿論、徳田からも授業の内容など書かれたノートの画像と一緒に体調を心配するメッセージが何度も届いていたが、貴斗から来ることはなかった。
「あおいーっ!おはよーっ!!ってもう大丈夫なの?ちょっと痩せたんじゃない!?病み上がりなんだから無理しちゃだめよ」
教室に入るなり同じクラスになった友人の一人に飛びつかれるように声を掛けられた。
「うん、大丈夫、大丈夫。休みの間ノートありがとね、授業ついていけなくならずに済んだ」
「ううん、どう致しまして。私の選択教科じゃないのは碧と同じ授業とってる徳田くんがやってくれたからあとでお礼しときなよ。・・・それにしても私、徳田くんと初めて話したんだけど結構イケボなのね。眼鏡と前髪で見にくいけど私が思うにアレは磨けば光る原石だね。リアル推しが出来そうっ♪」
「はは・・・そっか。いい人だよね」
(そういえばnariのファンだったっけ・・・。まさか同クラで普通に接してる相手が本人だなんて知ったらどうなるんだろ)
友人にコソッと耳打ちされるも本当のことが言えないため碧は喉元まで昇りつめてくる言葉をグッと呑み込み言葉少なく同調した。
彼が教室に来たら礼を伝えようとしていたものの徳田がやって来る気配はなくそのまま担任が朝礼をするため教室へと入って来た。
徳田が欠席とわかり直接礼を伝えられず一先ず回復し今日から登校したことだけ簡単な文字を纏め、休み時間になった直後すぐに彼へメッセージを送った。
(改めてお礼しなきゃ。徳田くんたちのおかげで授業についていけたし)
碧は、次の授業の準備を終えると必要な教科書類を抱え移動先の教室へと向かった。廊下を歩いていると休み時間ということもあり何人かの生徒たちが廊下で談笑している中を通っていると窓が開いていたためか丁度下の中庭から女生徒たちのはしゃぎ声が三階にいる碧のところまで響き思わず視線を向けた。
派手目な雰囲気の数人の女生徒と男子グループが賑やかしく燥いでいる光景が飛び込んできた。
「ねえ、貴斗ぉ♡今日うち来ない?親帰り遅いんだぁ♡」
ベンチに座るた貴斗の隣を陣取るように一人の女生徒が彼の肩に軽く頭を乗せ密着していた。その光景はまるで以前在学していた松本亜梨咲を彷彿とさせるものだった。
「・・・別にいいけど」
貴斗はスマートフォンを弄りながら素っ気ない声色で返事されたもののその返答が了承ということで女生徒は大喜びで更に貴斗の身体に密着していた。
「なんか阿部くんて、最初の頃はチャラついてたけど最近は柔らかくなって雰囲気いい感じだったけど雑誌に載ってから昔に戻っちゃったよねー」
「あー思った。それに最近なんかトゲトゲしいっていうか怖いっていうか・・・。一時は陽キャタイプの女子近づいても遇ってたのに今じゃあWELCOME状態だもんね」
同じく近くで窓越しからその光景を見ていた他クラスの女子生徒たちの話し声が碧の耳に入り胸がギュッと締め付けられた。
(・・・気にしない、気にしない)
軽く左右に頭を振り足早に教室へと向かう。遠目から見ても外見は今までと変わらないが、どこか気怠く確かに碧に気付かなかった時の貴斗を見ているようだった。
もう貴斗には関わらない・・・あの日から今まで何度も自分に念を押し納得させてた。頭では理解していても彼の姿を見ればあっという間に崩れ瞳の奥がカッと熱くなる。
(・・・忘れろ、忘れろ)
碧は再び頭の中で自分を律し強く下唇を噛み締めた。
☆☆☆
長かった拘束時間も終わり、碧は帰宅準備をしていた。友人から寄り道を誘われたが気分が乗らず病み上がりを理由に断った。下校すべく足早に玄関へ向かいながら周りを気にするように視線を動かず。教室が離れていたおかげで貴斗たちのグループの姿はなくホッと胸を撫で下ろし自身の靴を下駄箱から出した。なるべくあの光景をもう目にしたくない碧は校門を出るまで何度も周りを確認しながら校門の外へと向かう。
「お疲れさま、碧ちゃん♪」
何事もなく学校から離れた碧は、安堵と虚無感の中俯きながら歩いていると頭上から自身の名を呼ぶ声が聞こえた。聞き覚えのあるその声はある人物を彷彿させるも比べると少し声色は落ち着いていた。碧は、ゆっくりと顔を上げるとまるで大人びた貴斗が笑顔を向けてくれているような錯覚を覚え一瞬目頭が熱くなったがすぐさま現実に引き戻された。
「智広さん・・・どうして、ってあ、この前はすみませんでした。じ、実は、あのあと急用が出来てしまって・・・」
「あー、そんなこと気にしてないから♪それよりちょっと今から俺に拉致られてよ♡」
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碧は、唐突に現れた智広に謝罪するも軽く流されそのまま手首を摑まれ近くに停めてあった智広の車へと乗せられてしまった。
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