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第一〇八話 シャルロッタ 一五歳 王都脱出 一八
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「……はぁ? 辺境の翡翠姫に逃げられたぁ?」
「申し訳ありません、幻獣ガルムと「赤竜の息吹」の武名に兵士達が怯えておりまして……」
銀色のゴブレットからワインを口に運ぶと、アンダース・マルムスティーンはゆったりとしたガウンを纏った格好で、ソファへと腰を下ろしている。
彼の前に跪いているのは完全武装で左腕に黒い布を巻きつけた初老の兵士で、彼はシャルロッタ捕縛に失敗した報告をアンダースへと伝える伝令としてここへやってきている。
第二王子派に与する一部の貴族及び商会長を捕縛する……この作戦は、ベッテンコート侯爵より提案されたもので貴族や商会長の捕縛は表向きの目標であり、最終的にはシャルロッタ・インテリペリ……辺境の翡翠姫を捕縛しインテリペリ辺境伯家へと圧力をかけることが目的だった。
「……それで次はどうするつもりだ、侯爵は」
「それについては、侯爵より追撃の許可について殿下のご裁可をいただきたいと」
「では許可する……あ、一つだけ条件をつける」
アンダースはもはや興味がないとばかりに手を振るが、すぐに何かを思い出したかのように追い返そうとした兵士を呼び止めた。
第一王子派の行動はすでにクーデターに近いものとなっており、王都内で第一王子派の兵士達が完全武装で走り回っていることに眉を顰めるものも多く存在している。
それに対して第二王子派は初動で先手を取られ、一部の戦力を失ったまま王都を離れざるを得なかった……それくらい第一王子派の行動は素早かった。
この時点ではまだアンダースには報告が入っていなかったが、弟である第二王子クリストフェルは少数の供回りを引き連れ王都から姿を消している。
「辺境の翡翠姫に傷をつけるな、暴行も許さん、俺の前に無傷で連れてこい……もちろん俺好みのナイトガウンを着せてからだがな」
「……承知いたしました」
初老の兵士は床を見つめたまま返答すると、無表情のまま頭を下げて一礼すると部屋を出ていく。
無傷で捕まえられるならすでにやっている、と言いたげな表情が兵士の心情をはっきりと映していたがそれでも職務に忠実な兵士は黙ってその命令を受け取る。
アンダースは薄く笑うと、シャルロッタ・インテリペリに傅く幻獣ガルムのことを思い浮かべる……ドス黒い毛皮に、真紅の瞳……あれが相手では一兵卒では太刀打ちできないだろうな、とは思う。
見立てとしては一個軍を当ててようやくというところだろうか? だが第一王子派にもそれほどの余裕はなく、ガルム一体のために軍をぶつけて損害を出すというのも意味がないとは思っている。
「ったく……穏便に説得しろって話をしたら包囲しているんだものな……」
「……末端に伝わる命令などそのようなものよ?」
彼の背後にあったカーテン、その暗闇の中からずるりと滲み出してきたのは妖艶なドレスを身を纏った美女、長く伸ばした艶やかな黒髪と赤い目を持つ混沌神の訓戒者……欲する者。
怪しく微笑むその顔を見て不満そうに鼻で笑うと、アンダースは手に持ったゴブレットより残ったワインを口へと運ぶ。
目の前の怪しい女は侯爵達が連れてきた化け物で、彼を王位につける手助けをするのだという……それ以外にも複数の眷属が派閥へと入り込んでいるのだが、アンダースはあえてそれを見て見ぬふりをしている。
「王位を継いだらもっと命令が曲解して伝わる、そういうことかよ」
「私、賢い男子は大好きですよ」
クスクスと笑うと欲する者は美しい所作でカーテシーをして見せる、それはまるで高位貴族の令嬢にすら劣らないものだ。
美しいが本質的には不気味で邪悪なのだろう、とアンダースはその笑顔を見て冷静に批評する……父親であるアンブローシウスがここ数日自室に籠ったまま公の場に姿を現していないのは、目の前にいる女が何かをしたのだと聞いている。
親を殺すことはできないが、ことが為るまでは静かにしていてほしいと彼は願っている、だからこそ無力化するために混沌の眷属に力を借りた。
「父上はどうしている?」
「ゆっくりお休みでいらっしゃいます、お疲れのようでして……」
「そうか……ならしばらくお休みいただいている方が良いかもな」
アンダースは少し寂しそうな表情を浮かべる……欲する者の権能によってアンブローシウス王は意識を失ったまま寝台に寝かされている。
どういう方法かは考えたくもないが……若き王子は頭を振ってその考えを排除していく、実の父母を弑虐する勇気は彼にはないがなし崩し的に実権を得て弟を排除することにはあまり躊躇いはなかった。
自分が代理の王として弟を排除しこの国をさらなる強国へと育て上げ、大陸を統一する……それが肥大化しつつあるアンダースの中に生まれ出でた欲望と野心。
「殿下ならイングウェイ王国を大陸の覇者として君臨させることなりましょう、我々はその覇業のお手伝いをするまでです」
「……ああ、だが弟をなんとかしないとな……勇者という肩書きがあまりに邪魔だ」
弟は危険すぎる……勇者の器、そして兄である自分から見ても、兄だからこそわかってしまう彼の能力にそこ知れぬ恐怖を感じて彼は命令を発してきていた。
いや実はその支離滅裂な思考こそ目の前にいる訓戒者により歪まされた認知だということに、本人は全く気が付かないまま兄弟の溝に大きな亀裂を生じさせている。
「まあ、良いクリストフェルがいなくなり、俺が王となった暁にはあの小娘も俺の元へと来ることを拒まないだろう……辺境伯家も一当てすれば倒せるレベルだ、俺に負ける要素が一つもない」
「……辺境伯領までの道中、退路と追撃を考慮すると本来は街道沿いに逃げるのは得策ではないのですが……」
「私がいるせいですね……申し訳ありません」
野営の準備を終え今後の逃げ方を皆で相談している際、地図を見ながらエルネットさんが難しい表情を浮かべたのを見てマーサが本当に申し訳なさそうな顔で頭を下げる。
本職冒険者である「赤竜の息吹」と前世で散々ぱらサバイバルを体験しているわたくしは全く問題ないのだが、マーサはある意味箱入りで育った侍女だ。
野営なんかしたことないし、体力も恐ろしく低く長期間の逃亡には耐えられない……本来であれば馬車なんかさっさと破棄して徒歩で逃げた方が良いのだけど、マーサのことを考えると馬車が必要になり、結果的に退路として進める道が固定されてくる。
「そんな顔をしないでマーサ、わたくし貴女がいないと何もできないのよ?」
「シャルロッタ様……」
流石にマーサを責めているわけではないためわたくしがフォローを入れるが、それでも取れる手段が少ないのだから本来はマーサだけでもお兄様に頼んで連れ帰ってもらうべきだったな、と今では思う。
完全に第一王子派の暴発が裏目に出ている……王都の状況がどうなっているか今はわからないが、少なくとも第一王子派の兵士たちがうようよしているんだろうし、そこにマーサを残すわけにもいかない。
ただ現状は余計な負担を与えてしまっているし、もし軍隊とかが襲撃してきた場合混戦となるとマーサの身の安全も保証なんかできやしない。
「マーサがいてくれるから、わたくしこの旅も前を向いていられるのよ、ありがとう」
「あー、そのマーサさんすいません、俺の言葉足らずでした」
エルネットさんが申し訳なさそうに頭を下げるが、素直に冒険者が頭を下げたことに驚いたのだろう……マーサは少し驚いた表情を浮かべて何かをゴニョゴニョ言っていたが、黙って同じように頭を下げる。
しかし街道を進んでいるとしても第一王子派がすんなりわたくしを逃がしてくれるとは思えない……おそらく追手がかかるはずだし、前回はやる気のない連中だったからすんなり逃がしてくれたけど、次は第一王子派の中でもちゃんとした部隊が襲撃してくるはずだ。
前回のような威圧などでは対処しきれない可能性が高い……あまり大っぴらにしていないけど我が家の馬車には薄く装甲板が仕込まれており、多少の衝撃や攻撃には耐えられるようにできている。
わたくしが魔法を使えば防御結界を利用して傷ひとつなく生還することすら可能だが、それは本当に最後の手段だと思っている。
まあ、つまりはある程度ヤバい状況になるまでは本当の手札だけは残しておく必要がある、って話だ。
「そういえばインテリペリ辺境伯領に向かう迂回路の外れにエルフの集落がありますね」
「エルフ……って本当にいるんですわね、伝説の存在かと思ってましたわ」
そう、この世界はわたくしの感覚で言うと剣と魔法のファンタジー世界なのだからいるに決まっているとは思ってたけど、転生後に一度も見かけたことがないので空想上の種族なのかな? って少しだけ思ってた。
でもお父様を襲ったのはダークエルフだったって報告されたし、実際にいるんだろうなーと思ってたので、正直言うなら生エルフ見てみたい気になっている。
でもどうしてファンタジー世界なのにエルフを全然見かけなかったのだろうか……?
「……人間を極端に嫌ってますからね、森から出るエルフは変わり者が多いですし、冒険者やっているエルフは身元を隠すために変装をしていることが多いんですよ」
「そうそう、エルフってだけで物珍しさから人が寄って来ちゃうし、奴隷にしたがる変態も多いからね」
「それじゃ嫌われても仕方ないですわね」
デヴィットさんが焚き火へと枝を放り込みながらわたくしの疑問に答えると、それに合わせてリリーナさんもそんなことを話してくれた。
奴隷にしたがる変態……そうだろうなあ、ファンタジーのエルフってめちゃくちゃ美形が多いだろうし美しいものを強引にでも側に置きたがる人間も多いだろうしな。
そういえばまだ領地にいる頃に、カーカス子爵がわたくしを捕縛しようとしていたが力の無い小娘だったとしたらどうなったんだろうか? なんでもわたくし如きであれば簡単に籠絡できるとか思ってたとか供述してたらしい。
彼の息子リディルは騎士爵相当にまで身分を落として汚名を雪ぐんだ、と明るいが少し寂しそうな笑顔で挨拶に来ていたがあれから全く会っていないので今どうしているんだろうか。
「……まあ、伝説の存在は伝説のままとして、アンダース殿下の軍勢には気をつけないと不味そうですわね……」
「申し訳ありません、幻獣ガルムと「赤竜の息吹」の武名に兵士達が怯えておりまして……」
銀色のゴブレットからワインを口に運ぶと、アンダース・マルムスティーンはゆったりとしたガウンを纏った格好で、ソファへと腰を下ろしている。
彼の前に跪いているのは完全武装で左腕に黒い布を巻きつけた初老の兵士で、彼はシャルロッタ捕縛に失敗した報告をアンダースへと伝える伝令としてここへやってきている。
第二王子派に与する一部の貴族及び商会長を捕縛する……この作戦は、ベッテンコート侯爵より提案されたもので貴族や商会長の捕縛は表向きの目標であり、最終的にはシャルロッタ・インテリペリ……辺境の翡翠姫を捕縛しインテリペリ辺境伯家へと圧力をかけることが目的だった。
「……それで次はどうするつもりだ、侯爵は」
「それについては、侯爵より追撃の許可について殿下のご裁可をいただきたいと」
「では許可する……あ、一つだけ条件をつける」
アンダースはもはや興味がないとばかりに手を振るが、すぐに何かを思い出したかのように追い返そうとした兵士を呼び止めた。
第一王子派の行動はすでにクーデターに近いものとなっており、王都内で第一王子派の兵士達が完全武装で走り回っていることに眉を顰めるものも多く存在している。
それに対して第二王子派は初動で先手を取られ、一部の戦力を失ったまま王都を離れざるを得なかった……それくらい第一王子派の行動は素早かった。
この時点ではまだアンダースには報告が入っていなかったが、弟である第二王子クリストフェルは少数の供回りを引き連れ王都から姿を消している。
「辺境の翡翠姫に傷をつけるな、暴行も許さん、俺の前に無傷で連れてこい……もちろん俺好みのナイトガウンを着せてからだがな」
「……承知いたしました」
初老の兵士は床を見つめたまま返答すると、無表情のまま頭を下げて一礼すると部屋を出ていく。
無傷で捕まえられるならすでにやっている、と言いたげな表情が兵士の心情をはっきりと映していたがそれでも職務に忠実な兵士は黙ってその命令を受け取る。
アンダースは薄く笑うと、シャルロッタ・インテリペリに傅く幻獣ガルムのことを思い浮かべる……ドス黒い毛皮に、真紅の瞳……あれが相手では一兵卒では太刀打ちできないだろうな、とは思う。
見立てとしては一個軍を当ててようやくというところだろうか? だが第一王子派にもそれほどの余裕はなく、ガルム一体のために軍をぶつけて損害を出すというのも意味がないとは思っている。
「ったく……穏便に説得しろって話をしたら包囲しているんだものな……」
「……末端に伝わる命令などそのようなものよ?」
彼の背後にあったカーテン、その暗闇の中からずるりと滲み出してきたのは妖艶なドレスを身を纏った美女、長く伸ばした艶やかな黒髪と赤い目を持つ混沌神の訓戒者……欲する者。
怪しく微笑むその顔を見て不満そうに鼻で笑うと、アンダースは手に持ったゴブレットより残ったワインを口へと運ぶ。
目の前の怪しい女は侯爵達が連れてきた化け物で、彼を王位につける手助けをするのだという……それ以外にも複数の眷属が派閥へと入り込んでいるのだが、アンダースはあえてそれを見て見ぬふりをしている。
「王位を継いだらもっと命令が曲解して伝わる、そういうことかよ」
「私、賢い男子は大好きですよ」
クスクスと笑うと欲する者は美しい所作でカーテシーをして見せる、それはまるで高位貴族の令嬢にすら劣らないものだ。
美しいが本質的には不気味で邪悪なのだろう、とアンダースはその笑顔を見て冷静に批評する……父親であるアンブローシウスがここ数日自室に籠ったまま公の場に姿を現していないのは、目の前にいる女が何かをしたのだと聞いている。
親を殺すことはできないが、ことが為るまでは静かにしていてほしいと彼は願っている、だからこそ無力化するために混沌の眷属に力を借りた。
「父上はどうしている?」
「ゆっくりお休みでいらっしゃいます、お疲れのようでして……」
「そうか……ならしばらくお休みいただいている方が良いかもな」
アンダースは少し寂しそうな表情を浮かべる……欲する者の権能によってアンブローシウス王は意識を失ったまま寝台に寝かされている。
どういう方法かは考えたくもないが……若き王子は頭を振ってその考えを排除していく、実の父母を弑虐する勇気は彼にはないがなし崩し的に実権を得て弟を排除することにはあまり躊躇いはなかった。
自分が代理の王として弟を排除しこの国をさらなる強国へと育て上げ、大陸を統一する……それが肥大化しつつあるアンダースの中に生まれ出でた欲望と野心。
「殿下ならイングウェイ王国を大陸の覇者として君臨させることなりましょう、我々はその覇業のお手伝いをするまでです」
「……ああ、だが弟をなんとかしないとな……勇者という肩書きがあまりに邪魔だ」
弟は危険すぎる……勇者の器、そして兄である自分から見ても、兄だからこそわかってしまう彼の能力にそこ知れぬ恐怖を感じて彼は命令を発してきていた。
いや実はその支離滅裂な思考こそ目の前にいる訓戒者により歪まされた認知だということに、本人は全く気が付かないまま兄弟の溝に大きな亀裂を生じさせている。
「まあ、良いクリストフェルがいなくなり、俺が王となった暁にはあの小娘も俺の元へと来ることを拒まないだろう……辺境伯家も一当てすれば倒せるレベルだ、俺に負ける要素が一つもない」
「……辺境伯領までの道中、退路と追撃を考慮すると本来は街道沿いに逃げるのは得策ではないのですが……」
「私がいるせいですね……申し訳ありません」
野営の準備を終え今後の逃げ方を皆で相談している際、地図を見ながらエルネットさんが難しい表情を浮かべたのを見てマーサが本当に申し訳なさそうな顔で頭を下げる。
本職冒険者である「赤竜の息吹」と前世で散々ぱらサバイバルを体験しているわたくしは全く問題ないのだが、マーサはある意味箱入りで育った侍女だ。
野営なんかしたことないし、体力も恐ろしく低く長期間の逃亡には耐えられない……本来であれば馬車なんかさっさと破棄して徒歩で逃げた方が良いのだけど、マーサのことを考えると馬車が必要になり、結果的に退路として進める道が固定されてくる。
「そんな顔をしないでマーサ、わたくし貴女がいないと何もできないのよ?」
「シャルロッタ様……」
流石にマーサを責めているわけではないためわたくしがフォローを入れるが、それでも取れる手段が少ないのだから本来はマーサだけでもお兄様に頼んで連れ帰ってもらうべきだったな、と今では思う。
完全に第一王子派の暴発が裏目に出ている……王都の状況がどうなっているか今はわからないが、少なくとも第一王子派の兵士たちがうようよしているんだろうし、そこにマーサを残すわけにもいかない。
ただ現状は余計な負担を与えてしまっているし、もし軍隊とかが襲撃してきた場合混戦となるとマーサの身の安全も保証なんかできやしない。
「マーサがいてくれるから、わたくしこの旅も前を向いていられるのよ、ありがとう」
「あー、そのマーサさんすいません、俺の言葉足らずでした」
エルネットさんが申し訳なさそうに頭を下げるが、素直に冒険者が頭を下げたことに驚いたのだろう……マーサは少し驚いた表情を浮かべて何かをゴニョゴニョ言っていたが、黙って同じように頭を下げる。
しかし街道を進んでいるとしても第一王子派がすんなりわたくしを逃がしてくれるとは思えない……おそらく追手がかかるはずだし、前回はやる気のない連中だったからすんなり逃がしてくれたけど、次は第一王子派の中でもちゃんとした部隊が襲撃してくるはずだ。
前回のような威圧などでは対処しきれない可能性が高い……あまり大っぴらにしていないけど我が家の馬車には薄く装甲板が仕込まれており、多少の衝撃や攻撃には耐えられるようにできている。
わたくしが魔法を使えば防御結界を利用して傷ひとつなく生還することすら可能だが、それは本当に最後の手段だと思っている。
まあ、つまりはある程度ヤバい状況になるまでは本当の手札だけは残しておく必要がある、って話だ。
「そういえばインテリペリ辺境伯領に向かう迂回路の外れにエルフの集落がありますね」
「エルフ……って本当にいるんですわね、伝説の存在かと思ってましたわ」
そう、この世界はわたくしの感覚で言うと剣と魔法のファンタジー世界なのだからいるに決まっているとは思ってたけど、転生後に一度も見かけたことがないので空想上の種族なのかな? って少しだけ思ってた。
でもお父様を襲ったのはダークエルフだったって報告されたし、実際にいるんだろうなーと思ってたので、正直言うなら生エルフ見てみたい気になっている。
でもどうしてファンタジー世界なのにエルフを全然見かけなかったのだろうか……?
「……人間を極端に嫌ってますからね、森から出るエルフは変わり者が多いですし、冒険者やっているエルフは身元を隠すために変装をしていることが多いんですよ」
「そうそう、エルフってだけで物珍しさから人が寄って来ちゃうし、奴隷にしたがる変態も多いからね」
「それじゃ嫌われても仕方ないですわね」
デヴィットさんが焚き火へと枝を放り込みながらわたくしの疑問に答えると、それに合わせてリリーナさんもそんなことを話してくれた。
奴隷にしたがる変態……そうだろうなあ、ファンタジーのエルフってめちゃくちゃ美形が多いだろうし美しいものを強引にでも側に置きたがる人間も多いだろうしな。
そういえばまだ領地にいる頃に、カーカス子爵がわたくしを捕縛しようとしていたが力の無い小娘だったとしたらどうなったんだろうか? なんでもわたくし如きであれば簡単に籠絡できるとか思ってたとか供述してたらしい。
彼の息子リディルは騎士爵相当にまで身分を落として汚名を雪ぐんだ、と明るいが少し寂しそうな笑顔で挨拶に来ていたがあれから全く会っていないので今どうしているんだろうか。
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