神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
330 / 1,955

エフライムの妹レナーテ

しおりを挟む


「リク様。すみませんが、少し移動をしましょう。もし、眠らせた男達が起きて、エフライム様達がいない事に気付き、探し始めたら厄介です」
「あぁ、そうですね。まだここはあそこから近いですね」
「話を聞いていたら、その人達に見つかるのは面倒そうね。それじゃ、片付けをしますか。食事は、移動してからね」
「うん、そうだね」

 マルクスさんの進言で、ここから移動する事を決め、焚き火やらの片づけを始める。
 まだ万全じゃないエフライムは、そのまま座って休憩と、妹の様子を見ておいてもらう事にして、他の皆で協力して素早く片付けた。
 そういえば、エフライムの妹さんもそうだけど、まだエルサも寝てるんだよなぁ。
 スープの匂いで起きそうだと思ったんだけど……それだけ、眠りの霧を吸い込んでしまったんだろうね。
 ……今度から、キューを要求してうるさかったら、眠らせてしまおうか?
 いや、それはかわいそうかもな。


「ここなら大丈夫でしょう。私は、馬の世話をして来ます」
「お願いします」

 エフライムとその妹さんを馬車に乗せ、先程の場所から移動した俺達。
 一旦街道に戻り、さらに少し北上して街道から離れ、少し街の方へも移動したから、あの男達もすぐには来れないだろう。
 ここに来るのに街道を横切る必要があるから、エフライムが逃げた事を知っても、ここまで探しに来ないだろうしね。

 馬車や馬をマルクスさんに任せ、俺とユノで枝を拾って焚き火用にする。
 焚き火を始める傍ら、モニカさんが馬車に積んであった食料で、簡単な夕食の支度。
 本当は、今日中に街へ到着する予定だったから、食料はちょっと心もとない。
 それでも、しっかり美味しい物ができそうだったから、モニカさんは凄い。

 ちなみに、馬車で移動中に、エフライムの妹さんとエルサが目を覚ました。
 多分、魔法の効果が切れたからなんだろう。
 ちょっと混乱してる様子だったが、エフライムが説明してくれた。
 妹さんの名前は、レナーテ・シュタウヴィンヴァー、レナと呼んで欲しいとの事だ。
 自己紹介と、簡単にエフライム達があの建物に閉じ込められる経緯を聞いた。

 なんでも、俺の勲章授与式のために王都へ招集がかかり、クレメン子爵やエフライム、妹さんは王都へ行くつもりだったらしい。
 エフライム達は見聞を広めるため、クレメン子爵は授与式に参加するためだ。
 しかし、王都への返答をする直前、用があって街から移動したエフライムとレナは、馬車で移動中に襲われた。

 護衛の兵士も、半分はバルテルの息がかかった者だったらしく、裏切り者の手によってとらえられた二人は、俺達が見つけたあの建物に連れて行かれたらしい。
 その後は、窓のない部屋にずっと閉じ込められ、外を見る事もできずに過ごしていた、という事だ。

「こうやって、空をゆっくり見上げるのも、久々だな」
「はい、お兄様」

 エフライムとレナは、座りながら二人で空を見上げてる。
 ずっと部屋に閉じ込められて、外を見る事ができなかったのだから、空を見上げるだけでも思う所があるんだろう。
 二人には休んでもらっておいて、俺とマルクスさんで野営のためのテントを設営。
 ユノは、少し離れた場所にある川へ行って、エルサと一緒に水を汲んできたりと、モニカさんの手伝いだ。

「久々に、まともな食事をするな」
「暖かいです」
「食材が少ないので、満足いくものはできませんでしたが、量はあるので、たんと食べて下さいね?」
「あぁ、助かる」

 モニカさんが作ってくれた料理を食べた二人は、ちゃんとした物を久々に食べるという事で、少し涙ぐんでいた。
 なんでも、閉じ込められていた時は、粗末な物しか与えられておらず、不味い物でも食べずにいるよりはマシと、なんとか食べて凌いでいたそうだ。
 特に何か、暴力を加えられたという事は無いみたいだけど、かなり辛かったんだろうね。

「リク、改めて感謝する。おかげでまた、空を見たり美味しい食事をする事ができた」
「リク様、感謝いたします。さすがは国の英雄です!」
「ははは……まぁまぁ、そんな事より今はしっかり食べて、体力をつけないと」
「そうだな」
「はい!」

 二人は事あるごとに俺に感謝をし、頭を下げる。
 特にレナは、俺と話す時は満面の笑顔になる……それだけ、助けた事を感謝してくれるんだろう。
 けど、ずっと閉じ込められてた二人は、まだ体力が万全じゃないから、今は回復に専念して欲しいと思う。
 俺への感謝なんて、あっても一度だけで十分だ。


「リク様、どうですか? 綺麗になりましたか?」
「うん、そうだね。汚れも落ちて可愛い顔がしっかり見えるよ」

 食後、モニカさんがレナを近くの川へ連れて行き、簡単にだけど汚れを落として来てくれた。
 ずっとお風呂にも入れなかった環境だし、捕まった時の物なのか、土や埃で汚れてたからね。
 今は、マルクスさんがエフライムを連れて行ってくれてる。

 さすがに着替えなんかは用意できず、着ている物はそのままだけど、エフライムと同じ茶色の髪は汚れが落ちて艶やかに、俺に向かって微笑んでる顔は、エフライムと少し似ているがまだあどけなさがぬぐえない。
 将来は美人になるのはよくわかるけど、今は可愛いとしか表現できない。

「むぅ……」
「ふふふ、可愛いと言ってもらえて良かったですね?」
「綺麗と言われた方が良いのです」

 俺の返答が満足いくものではなかったのか、少し頬を膨らませて拗ねて見せる。
 そういった事も、子供っぽくて可愛い。
 本人は、背伸びして大人と同等に見られたいようだけどね。


「嫌です! リク様と同じテントで寝ます!」
「レナ……レナーテ。言う事を聞きなさい。さすがに、嫁入り前のお前を男性と同じテントでは、寝させららないだろう? 俺も、本当はお前と一緒に寝たいのだが」
「お兄様とは別にどうでも良いのです。私は、リク様と一緒が良いのです!」
「レナさん、リクさんと一緒にいるのは、明日でもいいのでは? 今日はおとなしく、私と一緒に寝ましょう? ほら、ユノちゃんもいますし」
「一緒に寝るの!」
「くぅ……リク様といつも一緒だから、余裕ですね……」
「レナ? モニカさんと一緒に寝た方がいいよ? こっちは、マルクスさんやエフライムもいるから……ちょっと狭いしね?」
「……リク様が言うのであれば、わかりました」

 食事も終わり、体も綺麗にして、明日に備えて寝るためにテントへ入ろうとした時、男性用テントの方で寝ると言い出したレナ。
 諭そうとして、どうでも良いとまで言われたエフライムは、少し落ち込んでる様子だ。
 モニカさんとマルクスさんは、苦笑をしてる。
 ユノは見た目が近い女の子が増えたと、ちょっと嬉しそうで、エルサは我関せずで俺の頭にくっ付いたままだ。

 駄々をこねるレナの前にしゃがみ、目線を合わせて優しく言うと、渋々頷いて女性用テントへと言ってくれた。
 ちょっと顔が赤くなってたような気がするけど……疲れてるのかな?

「リク、小さい子が好きなのか?」
「何か酷い事を言われてる気がするけど……子供は可愛いから好きだね。変な意味じゃないぞ?」
「そうか……いつまでもこの兄の後ろを追って来ると思っていたが、知らぬうちに成長するものだな……」
「何を言ってるんだ?」

 レナを見送っていたら、エフライムにおかしなことを聞かれた。
 ユノもそうだけど、子供は嫌いじゃない。
 捕まるような変な意味では無く、ね。
 しかし、俺の答えに感慨深そうに遠くを見るエフライム。
 本当に、おかしなことを考えている気がするな……。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。  主に5大国家から成り立つ大陸である。  この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。  この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。 かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。 ※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!) ※1話当たり、1200~2000文字前後です。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...