神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
331 / 1,955

エフライムと夜空の星

しおりを挟む


「ははは。ではリク様、まずは私が見張りを」
「はい、よろしくお願いします」
「本当に、俺は見張りをしなくてもいいのか?」
「エフライムやレナは、まだ疲れてるんだからゆっくり休んでよ。テントだけど、狭い部屋で窮屈に寝るよりは、休まると思うし」
「わかった。すまないが、今回は言葉に甘えるとしよう」

 簡単に魔法探査で周囲を調べたけど、近くに魔物はおらず、近付いて来る気配も無い。
 だけど、一応エフライム達を追って来た男達が来る可能性も考慮して、見張りをする事にした。
 焚き火も絶やさないようにしたいしね。
 まずはマルクスさん、それからモニカさんとユノで、最後に俺とエルサだ。

 今回は、森の時のように何かを考えてるわけじゃないから、素直に焚き火をボーっと眺めながら時間を潰すだけになるだろう。
 エフライムとレナも見張りをやると言ってくれたけど、二人にはしっかり休んで欲しい。


「はー……確かに綺麗な星空だ。ほら、エルサも見てみな?」
「もう見飽きたのだわ。何も無いのなら、リクから流れて来る魔力を浴びながら、寝る方がいいのだわー」
「……そうか」

 モニカさん達と交代して、見張りをするため、焚き火の横に座り、拾い集めた枝をくべながら空を見上げる。
 エルサは俺というより、人間からは考えられない程長生きしているから、星くらいはいくらでも見て来たんだろう。
 座ってる俺の膝の上で丸くなって寝る。
 しかし、俺から流れて来る魔力を浴びながらって……俺の魔力はそんなに駄々洩れになってるのか?
 契約してから、エルサの方に魔力が流れてるらしいけど。

「星は、人間達がどんな営みをしていても、変わらず見下ろしていてくれるな」
「……エフライム?」
「やぁリク。見張りは暇だろう? 俺が話し相手になるぞ?」
「寝て無くても良いのか? 体はまだ万全じゃないだろう?」
「閉じ込められてる時、何かがあった時にすぐ対応できるよう、短時間寝て起きるというのを繰り返してたんだ。おかげで眠りも浅くてな。それが癖になってるみたいで、目が覚めてしまったんだ」

 妹であるレナを、守るためでもあったんだろう。
 閉じ込められているだけといっても、いつ何があるかわからない。
 相手が急に、エフライム達の事を用済みだと襲い掛かって来る事も考えられるんだ。
 その際に何ができるかはわからないけど、できるだけの抵抗をするつもりだったんだろう。
 もしかしたら、逃げる隙を狙ってもいたのかもしれない。

 それが癖になって、今は熟睡できないんだろうね。
 子爵邸に戻って、しばらくしたら体が慣れて、安心して寝られるようになると思うけど。
 閉じ込められて、数日どころか1カ月以上も時間が経っても、心が折れていないエフライムは、貴族として強い心を持ってるんだろう。
 どこぞの、冒険者を気取ってる貴族の息子に見習わせたい……。

 そう言えば、コルネリウスも年が近いか……いや、あっちは少し年上だな。
 同年代と言えるかどうか、微妙なところだ。
 エフライムの方が、どう考えても精神は成熟してるけどね。

「なんだか不思議だ。こうして近い年の者と、普通に話すというのは」
「今まで、そう言う人はいなかったのか?」
「年が近い、というだけなら当然多くいたが……貴族だからか、普通に話してくれる者はいなかったな。俺も、子爵家の生まれである事を、誇りに思ってる。だから、それらしく振る舞うのに必死なのもあってな」
「成る程ね。でもそれなら、俺なんて貴族ですらないんだけど……」
「ははは! リクはそこらの貴族よりよっぽど各上だろう。女王陛下から頼りにされ、英雄の勲章までもらっている。むしろ、俺の方が畏れ多いくらいだ」
「ん~、そう言われてもね。俺は単なる冒険者だし、ただ被害が出ないように戦ってたら、そんな風に呼ばれるようになっただけだしね」
「……だからこそ、陛下にも頼りにされているのかもしれないな」

 エフライムはそう言うけど、姉さんは俺が弟だったから、というのが大きい気がする。
 あの姉さんが、ただ色々活躍できただけの人を、頼りにするとは思えないからなぁ。
 信頼する人はいるんだろうけど、誰かに頼り切ったりはしない姉さんだ……俺の前では油断しきった姿を見せてるけどね。

「だが、レナの事は認めたわけではないからな?」
「……何を言ってるんだ?」

 星を見上げていたエフライムが、急に鋭い目をして俺を見る。
 レナの事って言われても……俺には何の事だかわからない。
 テントに入る時もそうだったけど、何か変な勘違いをしてそうだな。

「とにかく、明日にはお爺様の所へ戻れるのか。元気にしているだろうか……」
「孫が攫われたんだ、心配してるんじゃないか?」
「まぁ、そうだろうな。お爺様は子爵として、領内の繁栄に努めていらっしゃる方だ。心配を掛けてしまった事は、悔しいな」
「それはまぁ、仕方ないな。とにかく、明日はそのクレメン子爵に会って、元気な姿を見せて安心させてやるといいよ」
「うむ、そうだな」

 クレメン子爵、どんな人なんだろう?
 エフライムの口ぶりからは、その子爵を尊敬している節が垣間見える。
 ロータのいた村、オシグ村でも評判は良かったみたいだし、悪い人柄ではないんだろうな。
 マルクスさんとは、色々と対応策を考えていたけど、そんな必要はない人みたいだね。

 しばらくの間、エフライムと一緒にのんびり話しつつ、明るくなって来た空を眺めて過ごした。
 朝、起きて来たレナに、俺と一緒に過ごしたエフライムが責められてタジタジになっていたけど、それも微笑ましい光景だった。
 私も起こしてくれれば……と言っていたレナだけど、子供はしっかり寝ておいた方が良いと思う、うん。


「それでは、トゥラヴィルトの街、クレメン子爵邸へ出発致します」
「はい、お願いします」

 皆が起きて来て、モニカさんが用意してくれた朝食を頂き、馬車に乗り込んで出発だ。
 もう大分街には近いはずだから、昼前には到着するだろうとの事だ。
 久しぶりに帰れるとあって、エフライムとレナはそわそわしてた。

「リク様、リク様~」
「ん、どうしたんだい?」

 馬車の中で、街へと向かっている道中、隣に座ったレナがやたらとくっ付いて来る。
 そんなに懐かれるような事をしたかな? 
 あ、一応閉じ込められてたのを助けたか……レナは、俺の魔法が原因で寝てたけど。
 不安だっただろうし、このくらいの年頃なら助け出された事で、相手をヒーローのように思ってもおかしくないね。

「随分リクさんに懐いたわね?」
「そうみたいだね」
「レナ? こっちに来ても良いんだぞ?」
「お兄様の所は行きたくありません」
「……くっ」

 モニカさんが苦笑しているのに、頷いて答える。
 それとは別に、エフライムがレナに声をかけ、自分の隣へ座るように言うけど、レナは拒否。
 エフライムはレナを妹として可愛がってるようだけど、構われ過ぎてちょっと嫌がられてるみたいだ……反抗期かな?

「レナ、お兄さん……兄弟姉妹は大事にしないといけないよ? もしかしたら、いつか離れる事もあるかもしれないんだから」
「リク様には、兄妹とかがいるんですか?」
「ん……まぁ、姉がね。いたんだ」
「……すみません。嫌な事を聞きました」
「ははは、いいんだよ。気にしてないから」

 邪険にされるエフライムが、少しだけ不憫だったのでレナにフォローをしようと思ったけど、レナの方は俺の事に興味があるようだった。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

みそっかす銀狐(シルバーフォックス)、家族を探す旅に出る

伽羅
ファンタジー
三つ子で生まれた銀狐の獣人シリル。一人だけ体が小さく人型に変化しても赤ん坊のままだった。 それでも親子で仲良く暮らしていた獣人の里が人間に襲撃される。 兄達を助ける為に囮になったシリルは逃げる途中で崖から川に転落して流されてしまう。 何とか一命を取り留めたシリルは家族を探す旅に出るのだった…。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

不遇職とバカにされましたが、実際はそれほど悪くありません?

カタナヅキ
ファンタジー
現実世界で普通の高校生として過ごしていた「白崎レナ」は謎の空間の亀裂に飲み込まれ、狭間の世界と呼ばれる空間に移動していた。彼はそこで世界の「管理者」と名乗る女性と出会い、彼女と何時でも交信できる能力を授かり、異世界に転生される。 次に彼が意識を取り戻した時には見知らぬ女性と男性が激しく口論しており、会話の内容から自分達から誕生した赤子は呪われた子供であり、王位を継ぐ権利はないと男性が怒鳴り散らしている事を知る。そして子供というのが自分自身である事にレナは気付き、彼は母親と供に追い出された。 時は流れ、成長したレナは自分がこの世界では不遇職として扱われている「支援魔術師」と「錬金術師」の職業を習得している事が判明し、更に彼は一般的には扱われていないスキルばかり習得してしまう。多くの人間から見下され、実の姉弟からも馬鹿にされてしまうが、彼は決して挫けずに自分の能力を信じて生き抜く―― ――後にレナは自分の得た職業とスキルの真の力を「世界の管理者」を名乗る女性のアイリスに伝えられ、自分を見下していた人間から逆に見上げられる立場になる事を彼は知らない。 ※タイトルを変更しました。(旧題:不遇職に役立たずスキルと馬鹿にされましたが、実際はそれほど悪くはありません)。書籍化に伴い、一部の話を取り下げました。また、近い内に大幅な取り下げが行われます。 ※11月22日に第一巻が発売されます!!また、書籍版では主人公の名前が「レナ」→「レイト」に変更しています。

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

処理中です...