神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
728 / 1,955

ツヴァイへの尋問

しおりを挟む


「どうして、オーガを研究していたんだ? 研究者を騙してまで……あ、言っておくけど、もし嘘を言うようなら……?」
「チチ?」
「ひぃ! は、はい!……オーガの研究は開発のため……です」
「開発? それはなんの開発なんだ?」
「……兵器の、開発です……」
「兵器……? つまりオーガを兵器として利用しようと?」

 まぁ、爆発させる事で周囲に被害をもたらす兵器、と考えればわからないでもないね。
 ……ただ爆発するだけで指向性もないから、状況次第では味方も巻き込むけど……ようは使いようってとこだ。

「今はオーガだが、ゆくゆくは別の魔物もだ……です。北の鉱山で研究している奴がいるから、そこから研究の資料を送らせ、それをもとにここで大規模な研究をしていた……んです」
「北の鉱山……?」
「それは……リク様?」
「間違いないでしょうね。――北の鉱山というと、ブハギムノングの鉱山だな? そして、そこで研究をしているのはモリーツさん。さらに監視と情報を渡す役としてイオス……かな? いや、イオスはルジナウムを襲った魔物と繋がっていたようだから、微妙かな」
「な、なぜそれを!?」

 北の鉱山と言うと、ブハギムノングの鉱山しかない。
 そのうえ、爆発するオーガを研究しているとなると間違いないね。
 元々、関係があるとは思っていたけど、これで証言が取れて確実になった。
 ブハギムノングやモリーツさん、イオスの名前を出すと、驚いた様子で叫ぶツヴァイ……どうやらあちらで起こった事は、まだこっちには伝わっていないらしい。

「ブハギムノングでの研究は、俺が潰したからね。ついでに、魔物を集めて街を襲わせるという方もね。ルジナウムは無事だよ?」
「ルジナウムというと、鉱山との間にある街か……そちらは俺の知る所ではないが……そうか、イオス達は失敗したか」

 ルジナウムはツヴァイとは関係がないのか? まぁ、爆発させる魔物を研究するのがツヴァイの本分なら、街の近くに魔物を集結させるのはちょっと違う方向性だからかもしれない。
 イオスの事は知っているようだから、同じ組織内で別のところから違う命令を受けていたのかもしれない……というより、イオス単独でルジナウムに来た魔物を集めるという準備ができると思えないから、他に協力者とかがいたのは間違いなさそうだね。

「それで、魔物を兵器として利用して、どうするんだ?」
「どうする? そんな事は決まっている。どの国でもそうだが、兵士を増やすというのは短期間でどうにかできる事ではない。ならば、魔物を利用すればいいだけだ。研究が完成すれば、魔物の核がある限り無限の兵力として使用できる。さらに、爆発させる事で、送り込んだ魔物がやられても、相手に被害をもたらす事で、貢献できるのだ。これ程素晴らしく先を見据えた研究は他にあるまい?」
「……マルクスさん?」
「はい……この者の言う事は、戦争において非常に有効な手であると認めざるを得ません。通常、新兵が前線に立っても問題ない程の訓練をするとしたら、一年……いえ、二年程度は必要です。国内の民が増えれば、それだけ兵士へのなり手も増えますが……どちらにせよ短期間で急激に戦力を増やす事は、難しいでしょう」

 新兵さんは今回ヴェンツェルさんが連れて来ているので、それなりに見ているけど……確かにマルクスさんやある程度慣れている兵士さんよりとは動きが違うというのくらいはわかる。
 それを訓練で戦闘から集団行動まで、習熟の訓練をこなすとしても一年程度では難しいし、人口が増えれば兵士になる人も増えるけど、こちらはこちらで生まれて育つまでに長い年月が必要だ。
 となれば、確かにツヴァイやマルクスさんの言う通り、すぐに数での戦力を増やすのは難しいだろうね。
 というか……戦力増強の先にある事って結局……。

「戦争、するつもりなのか?」
「……俺は知らん。とにかく、国の戦力を短期間で上げる方法を模索しろと言われただけだ。そのために魔物を利用するという考えや、研究の基礎は教えられたがな……」
「それはつまり、戦争の準備をしていると言っても過言ではないでしょう。……一体誰がそのような事を……」

 国の戦力を急務として増強するというのは、確かに戦争の準備をと考えて間違いない気がする。
 ……研究者の人達は、女王陛下と言ってアテトリア王国のためと考えていたようだけど、考えてみればツヴァイは一度もアテトリア王国のためとかそういう事は言っていなかった。
 マッドサイエンティストとか、愛国心やら研究心やらが暴走してやってはならない事に手を出す……という話は物語なんかでよく見た話だけど、誰かに命じられたようだから、ツヴァイは違う。
 となるとアテトリア王国を強くする事が目的ではなく、もしかしたら他国が戦争の準備のため、この国を利用しているのかもと考えると、しっくりきた。

 わざわざ、自国で危険な研究をするリスクよりも、もし失敗しても自分達は痛まない他国で……と考えてもおかしくないからね。
 まぁ、結局今回のように制御できる自国でないから、押さえられて潰されたり情報を漏洩する可能性もあるから、外部に漏らさないためには他国で研究なんて誰もやろうとは思わないんだけど。
 それだけツヴァイが信用されていたのか、それとも研究する事を指示した人物は、アテトリア王国を侮っているのか……。

 ツヴァイが使った魔法の事や魔力量を考えると、今回のように完全に施設を抑えられるとは考えていなかったのかもしれない。
 踏み込まれても、魔法を炸裂させて混乱している間に、資料などを持って逃げる事もできただろうし、爆発するオーガも大量にいたから、最悪地下施設ごと潰して証拠隠滅を考えていた可能性もある。
 地下に広い場所を掘っているうえに、隠し通路が多いのはいざという時の逃げ道以外にも、崩落させやすくするためと考えれば、数が多いのも頷ける……と思うのは考えすぎかもしれないけど。
 とにかく、ツヴァイ達の誤算は、こんな状況でも暢気に俺の頭にくっ付いて寝ているエルサや俺、が結界を使って爆発で被害を出さないようにできたり、ツヴァイを完全に圧倒できた事だろうね。

「ふむ……オーガの研究をしていたけど、それはなぜオーガなんだ?」
「……リク様?」

 話の流れとしては、このまま誰がどんな目的で兵器の開発を指示したのか、という方向へ行くんだろうけど、フレイちゃんの脅しがあってもツヴァイが少し警戒しているような表情になったから、少し話を戻した。
 考え込んでいたマルクスさんは、少し怪訝そうだったけど……モリーツさんと一緒で、回りくどく話して行ったり相手を乗せる事で、ポロリと何か有用な情報を引き出そうと思う。
 警戒しているのにそのまま聞いたら、フレイちゃんで脅していても喋らなくなるかもしれないからね。

 ……こういう事に慣れていれば、無理矢理にでも聞き出したり、もっとうまく誘導できるのかもしれないけど。
 ヴェンツェルさんが「ハーロルトがいてくれれば……」なんて言っていたらしい気持ちも、わかる気がするなぁ――。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる

暁刀魚
ファンタジー
 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

処理中です...