神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

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設置位置によって効率が少し変わる

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「ほぉ、少々音が気になる所だが、想像より早く涼しくなるのだな?」
「えぇ。音に関しては、小型化をする上での課題ともなっていますが、今のところこれが限界ですね。屋内で使うのであれば気になるでしょうけど、広い場所で使うのであれば然程気にならないかと」
「そうですね。まぁ、さすがに近くにいる時になるでしょうけど、離れていれば大丈夫そうです」

 カイツさんが魔力を流し込み、クールフトを発動させると、ゴォォ……という空気を吸い込み、吐き出す音と共に、内部で何かが動いているのか、カラカラカラと乾いた音も出ていた。
 部屋で作動していたら気になる音だろうけど、ハウス栽培は広い農場の予定だから、そこまで気にならないだろう。
 端の方で作動させればいいわけだからね。

 そして、音を聞いて数分ほどが経つと、アルネが言うように研究室内の温度がはっきりわかるくらい低くなってきた。
 少し室内を移動して確認したけど、冷たい空気を吐き出す方が先に冷えるのは当然ながら、暖かい空気を吸い込んでいるのもあって、少し待つだけで全体が冷える目的は達成されている。
 
「冷えた空気の吐き出し口を、部屋の外へ向けてしばらく待てば、この家くらいはこれ一つで全体を冷やす事ができます」

 吐き出し口だけが開け放った外へ向くので、一つの部屋を冷やすよりは効率が悪く思えるけど、それでも家全体を冷やす事ができるなら、想像していたよりも効果の高い物のようだ。
 というより、微調整というか機械の冷房と違って温度設定ができないから、むしろ部屋の外に向けないと冷えすぎてしまうのか……ただ使えばいいってだけじゃなくて、そこは少し考えないといけないかな。
 あと……。

「えっと、今は床に置いていますけど……縦に置いたり、高い場所に置いたりする事ってできますか?」
「縦にするのは、内部の調整が必要ですね。中で固定している物が、脱落してしまうかもしれませんから。高い場所であれば、何かの上に置けばいいだけなので可能でしょう。ですが、それには何か理由が?」
「えっとですね……」

 縦置きは難しくても、高い場所は大丈夫そうだ……まぁ、今床に置いているのを棚か何かの上に置けばいいだけだろうから当然か。
 ともあれ、カイツさんと一緒にアルネも首を傾げていたので、熱と空気の関係を簡単に説明する。
 暖かい空気は上に、冷たい空気は下に、という小学校くらいで習う理科の内容くらいだけど。

 なので、できれば暖かい空気が集まる高い場所から、低い場所へ向かって冷たい空気を吐き出すようにするのが、一番効率がいいだろうという事だ。
 できれば、エアコンみたいに横長の上部から空気を吸い込み、下部から空気を吐き出すのが一番だけど、左右に空気穴が作られているから、縦にできないかなと。
 まぁ、縦にできなくても、低い場所よりは高い場所にある方がなんとなく効率がいいだろう、という素人考えでもあるけどね。

「成る程、そんな事が……確かに、暖かい空気は上昇し、冷たい空気は下降するのではないかと、クールフトの研究をしながら考えてはいましたが……さすがリク様です!」
「いやぁ、まぁ、そんなに褒められる程難しい事じゃないんですけどね。詳しい程じゃないので、なんとなくそっちの方が? と思っただけですし」

 科学が進んでいない世界だから仕方ないけど、日本じゃ義務教育で習う事だから、これで褒められるのもなぁ……という感覚。
 まぁ、実際昔の化学的な研究をしていた人達にとっては、一般の教養レベルにするまでに色んな実験や証明があったんだろうけど。
 ともあれ、カイツさんもある程度は感覚的に気付いていたらしく、それならばとまだ冷えていない部屋へと移動し、クールフトを棚の上に置いて実験してみる事にした。

「ふむ、確かに先程よりも冷えるまでが早い、か?」
「こちらの部屋の方が狭いから、何とも言えない部分もありますが……床に置いている時よりも確かに早い気がします。これは、研究の余地がありそうですね」

 部屋が狭いので、単純に冷えるまでの時間の差がそのまま効率の差となるわけじゃないだろうけど、体感として少し早めに全体が冷えたようにも感じる。

「先程の時点で確信していたが、十分だな。リク?」
「うん。――えっと、カイツさん。この研究なんですけど……」

 クールフトは十分に温度管理用に使える物として、アルネから促されてカイツさんと交渉。
 とは言っても、元々カイツさんに事情を説明した時から、ほぼ承諾してもらっていたような状態だったので、特に問題なく進む。
 現状のクールフトは、まだまだ改良ができる余地があるとも言っていたが、とりあえず今の状態で王都へ技術提供をし、利用できるように話を進める。
 具体的には、カイツさんが王都を訪れて研究成果を披露するして、国と技術的な契約を結ぶとか、そんな感じだ。

 わざわざ王都までというのは、クールフトをこれからも改良するためらしく、技術提供をしながらクールフトの生産を進めながら、新型の開発をしたいからとの事だった。
 まぁ、アルネが人間と一緒に研究しているという事を知ったのが一番の要因なんだけど、カイツさん自身もここ最近集落に来ている人間達との交流を見て、エルフだけでこもって研究するよりは新しいものが見つかる可能性を考えていたらしい。

 ともあれ、カイツさんは王都へ行く準備を進めるため、色々と調整して近いうちに王都へ行くと約束してくれて、現在完成済みのクールフトを幾つか俺達が寝泊まりする石造りの家に運ぶ手配もしてくれるようだ。
 それなりに大きい物だけど、エルサがいれば運べるだろうし、カイツさんが王都に来る際に持って来る手間もかからなくなり、早めに実物を持っていけるからね。

「さて、次はあちらだな」
「うん。でもどうしよう? 代わりになる研究っていうの、結局考えていないけど……」

 カイツさんにお礼を言って、外へ出る。
 次は、暖める暖房の魔法具研究をしているエルフさんに会いに行くため、アルネの案内で移動開始する……けど、興味を別の研究に向かせないと、提供してもらうのは難しいらしい相手。
 なのに、アルセイス様の事もあって落ち着いて考えられていないため、代わりの研究というのがない状態だ。
 これで尋ねて行っても、技術提供を受ける事ができるんだろうか?

「まぁ、その辺りはなんとかなりそうだ。先程、リクからヒントをもらったからな」
「俺から? 俺、何か言ったっけ……?」

 何も考えずに行っても、暖める魔法具の研究成果は得られないと思っていたんだけど、アルネは何やら自信がある様子。
 でも、俺からヒントって、特に何か言った覚えはないんだけど……?

「まだ、はっきりとした事は言えないが……なんとかなりそうだ。とりあえず、歩きながら考えをまとめておく」
「そ、そうなんだ。わかった」

 俺からどんなヒントを得たかは教えてくれなかったけど、アルネもまだ考え自体がまとまっていないらしく、移動中に考えるつもりのようだ。
 どんな事を考えているのかわからないけど、自信がありそうだし、これなら安心して話に行けそうかな?
 頭のなかで色々な考えを巡らせているであろうアルネと、暖房魔法具の研究をしているエルフさんの所へと向かった――。


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