神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

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意外と社交性の高いワイバーン

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 着々と兵士さん達の手によって、ワイバーン用の高さも幅も大きな日除けが作られて行く。
 それと共に、兵士さん達が過ごす場所とワイバーン達が過ごす場所の境界線も作り始めていた……地面に線を引いて、木の杭を打ち、縄で仕切ったくらいだけど。
 お互いが気を付けていれば、これくらいで問題なさそうだ。
 ワイバーンを見ようと、休憩していた兵士さん達が境界線に集まって見物したりはしているけど。

 ま、まぁ何かするわけじゃないし、見るだけならね。
 ワイバーン達は、特に見られて気にする素振りもないし。
 それどころか、兵士さん達に向けて手……前足をフリフリしたり、尻尾を振ったり羽ばたいて見せたりと、意外にサービス精神が旺盛なのもいたりする。

「さて、ボスワイバーンはもう一度ワイバーン達に、兵士さんや人間とのかかわりについて確認ね。お願いするよ」
「ガァゥ」
「で、俺は……」

 ワイバーン達への注意や確認を、もう一度念を押すようにボスワイバーンに頼む。
 集まってきた兵士さん達に対して、サービスをしているのはいいとしても、調子に乗って境界線を無許可で越えたり、やり過ぎないようにするためだ。
 あちらはボスワイバーンに任せるとして……。
 俺は兵士さん達と一緒に日除けを作るのを手伝っている、モニカさんを眺めつつも、アマリーラさんに言った回収用のワイバーンを選ぼう。

「えっと、それじゃ君達でいいんだね? 人間を乗せたり、物を運んだりもする事になるけど」
「GRA!」
「GRA~GRA~」

 適当に見繕って……と思ったけど、一応希望者を募ってみたら五体のワイバーンが挙手してくれた。
 いや、尻尾を挙げてアピールしていたから、挙尻尾? まぁ、なんでもいいか。
 それぞれに、人間を乗せる事などの確認をしていくけど、皆楽しそうに頷いてくれる。
 どうやら、何かを運んだり乗せたりする事に楽しみを見出しつつあるらしい。

 五体の中には、アマリーラさん達と合流する際にボスワイバーンに叱られてしまう事になった、二体のワイバーンもいた。
 こちらは、空を飛ぶ事がただただ楽しいという性格のようで、自由でなくても飛べるのなら、と意気込んでいる様子。
 もしかすると、さっき速度を落とす指示を聞き逃したのは、空を飛ぶ事が楽しくて夢中になっていたからかもしれないな。
 一応、勝手に好きな方向へ飛んだりしないよう、ボスワイバーンに注意してもらいつつ、その二体の貸し出しも許可する事にした。

「こっちは終わったわよ、リクさん」
「お疲れ様、モニカさん。それじゃ……ここは兵士さん達に任せて、アマリーラさんの所へ貸し出すワイバーンを連れて行こうか」

 日除けを作ったり、ちょっとした兵士さん達の手伝いをしていたモニカさんを労う。
 結構女性兵士さんに頼りにされているようで、そんなモニカさんを見るのも楽しかったりもする。

「そうね。ワイバーン達も思い思いに過ごしているし、ここは大丈夫そうね。……魔物であるはずのワイバーンが、武装している兵士達に見られても平気で寝ている光景は、不思議だけど」

 モニカさんに言われて、今いる場所を見渡してみる……。
 早速作られた日除けに入って、数体のワイバーンが気持ち良さそうに寝ていたり、日当たりが良さそうな場所で羽根を広げて日光浴をしていたりと、のんびりしていて楽しそうだ。
 やっぱり、一部のワイバーン達は見ている兵士さん達にサービスしていたりもするけど。 
 丸まって、別のワイバーンが尻尾で打ち、さらに別のワイバーン数体が並んでいる場所に転がす……なんて見世物? も行われていた。

 投げ手も球もピンも、全てワイバーンなワイバーンボウリング。
 もしかして、ワイバーン達の中では一般的な遊びなのかな? 何やら流行りそうな雰囲気……はないか。
 有効的なワイバーンは、今の所ここにいるのだけで全部だし。

「ははは、俺もこんな風になるのとは思っていなかったよ。珍しいものが見られて、ちょっと得した気分かな」
「……リクさんと一緒にいると、珍しい光景も珍しくなくなるんじゃないかしら?」

 モニカさんに苦笑する俺だけど、確かに珍しいものをよく見ていたら、すぐに珍しくもなんともなくなるんだろう。
 そういった景色というか、光景を自分でも見て、モニカさん達にも見せている自覚はある程度ある。
 自分からそういったものを見せようとしているわけではないんだけど……まぁ、何はともあれ、移動開始だ。

 頭にくっ付いていたエルサに頼んで、大きくなってもらい、モニカさんと背中に乗ってワイバーンを連れ、南門へ。
 その際、ワイバーン達のサービスよりも、兵士さん達が沸き立っていて、それを見たワイバーンが項垂れていたのは、ちょっとワイバーンに申し訳なかったかな。
 頑張っていたんだけどなぁ……暇な時間にでも何か芸を教えてみるのもいいのかもしれない。
 ……ワイバーンの芸なんて、何をさせればいいのかわからないけど――。


「こちらでーす、こっちに降りて来て下さーい」

 ワイバーンを連れて南門付近までエルサでんで移動、アマリーラさんと再合流してワイバーン達の貸し出しのために、地上にいるリネルトさんの誘導で降りる。

「ここなら、ワイバーン数体くらいならしばらく待機させられるでしょう」
「そうですね。広さも十分ですから」

 先に地上に降りて、ワイバーン達を誘導するリネルトさんを見ながら、アマリーラさんと話す。
 その場所は、南門から少しだけ離れた場所で、周囲の建物と離れた場所だ。
 北側の駐屯地のように、テントが並んでいるという事はなかったけど、冒険者さん達が行き交っているのが見える……今は、ほとんどが空を見上げてワイバーンを見ているけど。
 端の方では、数個の日除けが設えられていて大きな鍋をかき混ぜたり、食事を受け取っている人がいるのが見えるから、炊き出しが行われているんだろう。

「それでは、ワイバーンが計六体ですね。このアマリーラ、責任を持って預からせて頂きます。ありがとうございます、リク様」
「いえ、ワイバーン達もやる気でしたから。あ、あと……」

 ボスワイバーンと一緒に、リネルトさんとモニカさんが降り立つワイバーンに、周辺の話をしているのアを眺めつつ、アマリーラさんに連れてきたワイバーンの事を説明。
 まぁ、ワイバーンである事は変わりないんだけど、個性があって一部は空を飛ぶ事などが好きそうだってくらいなんだけどね。

「わかりました。同じ種族の魔物にも、それぞれの考えがあるのですね……」
「まぁ、人間でも獣人でも、全く同じ考えの人はそうそういないですから、それと同じかなって思ってます」

 十人十色って言葉があるように、同じ種族や人種だからといって考えが同じとは限らない。
 能力もそうだけど、それぞれに個性があるからね。

「ワイバーン達が不満を溜め込まないよう、気を付けて運用いたします」
「はい、よろしくお願いします」

 連れてきた五体のワイバーン達をアマリーラさん達に任せ、俺達はその場を離れる。
 モニカさんとエルサに乗って、空に浮かび上がる頃にはアマリーラさんが兵士さんを呼びよせて、それぞれのワイバーンと引き合わせていたようだ――。

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