神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
1,184 / 1,955

特殊な趣味のワイバーン活用法

しおりを挟む


「私はそこまで悪趣味ではありませんよ。ただ、皮を剥いでから再生はどれほどなのかを、確認したかっただけです。もしワイバーンがこちらに協力的ではなく、敵対する相手であれば、もっと色々試すのも良かったのでしょうが、そこはわきまえているつもりです」
「成る程……本当にわきまえているのかどうかは、昨日からずっと響いていた音や揺れから、少し怪しくはありますけど……一応納得しときます」

 つまりカイツさんは、再生にかかる時間を計ったり、再生する様をじっくり見たかったという事だろう。
 俺が戦ったワイバーンは、手足や羽根を切り落としても再生していたし、その事はカイツさんにも伝えてある。
 もし敵対して戦うだけのワイバーンであれば、カイツさんは躊躇わず腕や足、羽根を切り落として実験していたんだろうな。
 ……あれ? カイツさんは悪趣味と否定したけど、まだ俺の中にもしかして嗜虐的な趣味があるのでは、という疑問が晴れないぞ?

「……ま、まぁ、これからもカイツさんがわきまえていると言う言葉を、信用するとして……一応、成果の方は聞いておきます」
「わかりました。そうですね、ワイバーンは……」

 俺の疑問はともかくとして、一応ワイバーン達を引き入れた責任もある事だし、カイツさんの研究成果を聞く事にした。
 意気揚々と話し始めたカイツさん……皮を剥いでからの再生時間は、当然の事ながら傷の大きさによって違うらしい。
 大体手のひらサイズの皮を剥ぎ取った場合は、その皮を箱に入れてもう一度ワイバーンを見た時には後すら残さず再生していたとか。
 数十センチに及ぶ傷の場合は、ほんの少し休むくらいで再生するらしいから、大体数分程度ってところか。

 さすがに、切り落とした部位などの再生は試せないけど、これらの事からどれだけの時間で再生するのかを、計算などで導き出そうとカイツさんは考えているらしい。
 ……まぁ、再生能力の事を詳細に知っていても、損はないかな? 空を飛ぶくらいは維持するみたいだけど、基本的に傷を負ったワイバーンは再生に集中してしまう。
 カイツさん曰く、再生能力を強化したからなのか、それとも優先順位を復元時に刻まれているかのどちらか、という事らしい。
 例え戦闘中だとしても、戦闘行動を中止してでもそちらを優先する……これは、俺やユノが倒したワイバーンもそうだったから、すぐに理解できた。

 そういえば、ユノとワイバーンを倒した時には再生能力を色々試そうと、斬り取った腕や足が生えてきたらまた斬ってなんてやっていたし、俺もカイツさんの事をなんだかんだと言えなかったと気付いた。
 今更だけど。
 ともかく、数秒程度で再生するくらいならまだマシだけど、それでも戦闘中は危険だし、大きな傷を負ってしまう可能性も考えたら、カイツさんの研究も必要な事のように思える。
 ちなみに、皮を剥ぎ取るのに使っていた物はすぐにボロボロになって使い物にならなくなって行ったらしい……そりゃ、皮そのものが硬いからね。

「以上の事から、ワイバーンを傷つけられるくらいの相手と戦わせるのは、得策ではないと思われます。どうしてもという状況はあるでしょうが……もし任せて頂けるのでしたら、このワイバーンと同じように、皮を剥いでも問題ないワイバーンを集め、後方で素材を作り出す方が役立つのではないかと」

 ワイバーンを傷つけられる相手……ある程度限られては来るけど、そういった相手ならばまず傷を負わせる、再生に集中した隙にさらに攻撃を加える、といった事ができてしまう。
 再生能力は凄い能力だとは思うけど、その分直接戦闘に向かない欠点も持っているってわけだね。
 俺自身も考えていた事ではある。
 だからカイツさんの提案は、一部のワイバーンを素材採取用として運用するのがいいのではないか、という事だ。

 多少の痛みを喜ぶワイバーンなら、確かに受けてくれそうだし、後方でという事だから危険も少ない。
 しかも、再生するからいくらでも……多少時間は必要だとしても、入手する事ができるわけだ。

「と、とりあえずそれは保留で。ワイバーンに関しても、どう扱うかをまだはっきりと決めていないわけだし……検討するとだけ言っておきます」
「是非、前向きに検討して頂きたいところです」

 少し前のめりになっているカイツさんを留めながら、提案は保留にする。
 一応、センテでは受け入れられる方向に進んでいるけど、それだけだからね。
 運用方なんかを考えていても、姉さんにもまだ話していないわけだし……はっきりとした事は決められる段階じゃない。
 最悪の場合、全て処分するような決断が下る事も覚悟していたりもする。

 その場合は、どこか人が来ないような所に連れて行って、人に害を成さないように言い含めつつ隠れて住むようにするつもりだけど。
 ……上手く行くかはともかくとしてね。

「フィリーナ、フィリーナ起きて」
「ん、んん……ふわぁ……あら、リク? 戻って来ていたのね」

 カイツさんとの話を終わらせ、椅子に座ったまま寝ているフィリーナに声をかけて起こす。
 いつまでもこんな所で寝かせていられないし、使用人さんが掛けてくれたらしい毛布はあるけど、風邪を引いたらいけないからね。
 すぐに目を開けたフィリーナは、欠伸をしながら俺を確認。
 寝起きは悪くないようだ。

「って、もう真っ暗じゃない!」
「結構寝ていたんだね」

 キョロキョロと周囲を見回し、日が沈んでいる事に驚くフィリーナ。
 篝火なんかはあるけど、この反応を見るに明るいうちから寝ていたんだろう。

「皮を剥いで、ワイバーンとカイツが喜んでいる様子を、延々と見るのも馬鹿らしかったのよ。ここまで寝続けるとは思わなかったけど……」
「まぁ、夜通しカイツさんを叱ったりしていて、疲れてたんだと思うよ。そろそろ夕食だし、お腹いっぱい食べて宿の中でゆっくり休んだ方がいいよ?」

 注意する必要がなくなって気が緩んだら、疲れが押し寄せて来たんだろう。
 まだそれなりに疲れが溜まってもいそうだし、休むなら宿の中でゆっくり休んだ方が、疲れは取れると思う。

「そうね……でも……」

 頷きつつも、カイツさんの方に視線をやるフィリーナ。
 あー……カイツさんがやり過ぎないか、心配なんだろうね。
 確かに、皮の採取は大丈夫だったみたいだけど、基本的に誰かが見ていないと心配にもなるかな。

「安心してフィリーナ。カイツさんも今日はもう休ませるから」
「そう? それなら安心ね。ワイバーン達もゆっくり休めそうだし」

 カイツさんは昨日からずっと休まず、ワイバーン相手に何かをしていたわけで、目の下に凄い隈ができていたからフィリーナを起こす前に休むように言っておいた。
 今は、採取した皮の入った箱を片付けている途中だ。
 ワイバーンの方は、俺が戻って来てから皮を剥がれなくなって残念そうにしていたんだけど……まぁ、休んでおいた方がいいだろう。
 再生能力があるといっても、無限に再生できるわけじゃないからね。

 安心するフィリーナと、カイツさんが片付けをするのを待って一緒に宿へと戻った。
 ちゃんとカイツさんを宿に連れて行かないと、目を離した隙にまた何かやり始めそうだったからね。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。  主に5大国家から成り立つ大陸である。  この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。  この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。 かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。 ※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!) ※1話当たり、1200~2000文字前後です。

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

処理中です...