神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

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迫る強力な魔物達

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 アマリーラさんが目撃した魔物達……これまでに戦った事がないのは、オルトスとガルグイユの二種類。
 オルトスは、双頭の犬のような姿をしていてこちらも巨大……キマイラと同程度だ。
 たてがみが大量の蛇になっており、近付く者に噛み付くという。
 さらに、その双頭は独立して動きそれぞれ鋭い牙と素早い動き、その他にも炎を吐くいう。

 こちらは討伐ランクとしてはBランクだけど、炎やたてがみの蛇への対処ができなければ、討伐難易度としてはA相当になるらしい。
 そしてガルグイユ……ガーゴイルとも呼ばれるその魔物は、石の体を持っているので当然堅くて剣などの刃物をほぼ通さない。
 大きさは人間より少し大きいくらいで、動きは鈍く、翼はあっても石なので飛べないので、落ち着いて近付いて鈍器で破壊するように戦うのがベスト。
 討伐ランクはこちらもBランク。

 ただしガルグイユは爆裂、炎、氷などの多様な魔法を使うので、距離を取ると危険。
 何よりも、複数で組まれると味方すら巻き込んで遠くから魔法を放つため、厄介な魔物になる。
 今回の場合、ガルグイユが複数いる他に大量の魔物がいるため、戦うとしたらもしかするとオルトスやマンティコラースだけでなく、Aランクのキマイラやキュクロプスより厄介かもしれない。

「……確かに、かなりの強力な力を感じる魔物が、こちらに近付いているわね」
「こちらも確認した……」
「アースとウィンドはさすが、遠くの事がよくわかる」

 東の方へ顔を向けていたアーちゃんとウィンさんは、アマリーラさんの報告通り、魔物を探っていたようだ。
 土と風の力で、広範囲に調べることができるんだろう。
 ここ最近、もう大丈夫だと思っていた事もあって探知魔法をサボっていた俺は、この魔物の接近に気付けなかった。
 ……いや、探知魔法を使っていたとしても、センテからだと多くの兵士さん達や冒険者さん達、未だ残っている魔物の反応にばかり意識が行って、気付けなかったか。

 それに、今はかなり近づいているようだけど、もっと遠くだと範囲外だ。
 そもそも、前回スピリット達を呼び出した時は、アーちゃん達も気付いていなかったようだから、その時はまだかなり離れた所にいたんだと思う。
 探知魔法を使っても、発見することはできなかっただろうね。

「ワイバーンがいてくれるおかげで、早期発見できたと言うべきか。――アマリーラさん、シュットラウルさんや他への報告はどうしていますか?」
「シュットラウル様へは、リネルトが。ワイバーンに乗った兵士達が、各地に報告へ行っています」
「そうですか……それなら、すぐに皆に報せられますね」

 不幸中の幸い、と言っていいのかわからないけど……ワイバーンでの上空監視のおかげで、今いる魔物の背後から近づく、強大な魔物の存在を早期発見できた。
 それに、各地への報告も素早くできるのは助かった。
 少なくとも、ワイバーンがいない時よりも対処を考える時間はあるはずだ。

「数……そうだ、アマリーラさん。魔物の数はわかりますか?」
「正確には……ですが、どれだけ少なく見積もっても千はいるかと。それも巨大な魔物が多いので、布陣としては東側を魔物達が封鎖した時よりも広範囲に……」

 千……ヒュドラーが確実に三体以上いるうえに、千以上か……。
 ルジナウムの時より、絶望的な数じゃないか。
 あの時は、数百くらいだったような……いや、数を数えていないから、もしかしたら四桁行っていたのかもしれないけど。

「ど、ど、ど、どうしましょう、リク様!?」
「と、とりあえず落ち着いて下さい、アマリーラさん」

 俺に報告をしていてさらに状況を理解したんだろう、アマリーラさんがさっきよりも体の震えを激しくしつつ、動揺している。
 尻尾も、足の間に挟む怯えようだ。
 まぁ確かに、どうしようもないくらいの相手だから、そうなるのも無理はないけど……。
 アマリーラさん、シュットラウルさんも言っていたけど、直情型で指揮官向きじゃないみたいだから、こういう時の判断は鈍ってしまうんだと思う。

 あまり色々考えず、武器を振り回して魔物を蹴散らす……とかが一番能力を発揮してくれるんだろうね。
 とにかく、アマリーラさんに言った以上俺も落ち着いてどうするか考えないと。

「……あ、スピリット達が前みたいに魔物と戦ってもらうのは……」
「それはできないわね、主様」
「魔物相手に暴れたい気もするし、ヒュドラーなんて手応えがありそうな相手、ワクワクするんだなぁ」
「今この状況で新たに大量の魔物が近付いている……私達は、ここら一帯に渦巻く感情の対処をせねばなりません」
「チチ……」

 ふと、今呼び出しているスピリット達に協力してもらうのはどうだろう? という案を思いついたけど、アーちゃん達にはスッパリと否定される。
 勝てないとかそういうわけじゃないのは、ある意味安心だけど……。

「魔物と戦う、人にも魔物にも多くの犠牲が出る事が予想されます。そうなるとさらに負の感情が膨れ上がるので……召喚主様に流れ込む以外にも、悪い事が起こりかねません」
「最悪、ここらの生き物全てが恨みや憎しみに支配されて、ただただ敵味方関係なく殺し合う事態になりかねないわねぇ」
「今はご主人に向かっているのが、全体に満遍なく広がるようなもんだからな」
「チチ!」

 ウィンさん達からの話に、力強く頷くフレイちゃん。
 そうか、東側に残っている魔物だけなら、渦巻く感情を少し悪化させるくらいだけど、これ以上人や魔物が戦って多くの犠牲が出たら、もっと危険になるのは当然か。
 ……もしかすると、それを狙って? いや、ヒュドラーまで出て来るような状況だ、確実にセンテ周辺を壊滅させるためだと考えるのが一番だろう。
 わざわざ、負の感情を強くさせる意味はあまりない。

「その負の感情は、俺に向かっているんだよね?」
「先程も話しましたが、間違いなく。既にその影響は受けていると思われます」
「そう……ちょっと確認させて。スピリット達は今、俺の魔力を使っているんだよね?」
「だな。俺達が今もこうして具現化して話ができているのも、ご主人の魔力を使っているからだぜ」
「常に、俺の魔力を消費していると……アーちゃん、感情が流れ込めばそれだけ魔力も回復する?」
「そうねぇ、回復すると言うより、増えると言った方が正しいかもしれないわね。流れ込み続ければ、許容量を越えて魔力が増大してもおかしくないわ」
「成る程……」
「リ、リク様……?」

 いくつかスピリット達に確認して、魔物を対処する道筋を考える。
 あともう一つ、俺とスピリット達の話に入れず、オドオドしているアマリーラさんに聞いておきたい事がある。
 ……普段は、小柄ながら堂々としている人なのに、今は見る影がないなぁ。

「アマリーラさん、魔物達はどれくらいでセンテ付近……えっと、今魔物達と兵士さん達が戦っている場所に到達する見込みか、わかりますか?」
「く、詳しくは……ですが、半日程度かと」

 半日しかないなら、皆を避難させてセンテを放棄する事はできないな、間に合わない――。


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