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各軍の戦力確認
しおりを挟む今センテに集まっている冒険者さん達は、ヘルサルや元からいた冒険者以外に他の地域からも来ている。
集まっている理由は単純に、魔物が街を襲っているからという理由。
別に正義感とか、面白半分とかではなく、単純に魔物を倒せば儲かるという冒険者の基本だ。
センテでの戦闘に際して特別依頼が出されており、魔物を討伐する事での報酬も出されている。
まぁ、弱い魔物が大半だったからという理由で来た人もいるみたいだし、だからこそ強力な魔物が迫っていると聞いて、逃げ出した人が多いのも仕方ない事なんだけど。
「だが、冒険者には魔物と戦うノウハウがある。そして、Aランクとは言わずともBランクの魔物と戦い、買った者達もな。一人一人の力量では、兵士達よりも上だろう」
「少数精鋭で動く冒険者は、経験豊富です。これまでも、かなりの成果を出していると聞いています」
シュットラウルさんやマルクスさんが言うように、冒険者は様々な状況で魔物と戦うため、兵士さん達よりも経験が豊富で少数精鋭だ。
あくまで俺の見立てだけど、一番数の多いCランク冒険者で正規兵の数人分……小隊長から中隊長クラスだと思う。
侯爵軍の大隊長とかは、Bランクくらいだとか。
つまり、数に劣る冒険者でも侯爵軍や王軍に負けない活躍が期待できるってわけだ。
ちゃんと指示を聞いて、連携してくれたらでもあるけど……。
自由な活動を主とする冒険者の中には、集団行動が苦手というか……少数ならともかく、大人数での行動を苦手とする人もいる。
本人が苦手じゃなくても、大型の武器や範囲の広い魔法を得意としている人だと、味方が密集する戦いには不向きだったりという事だってある。
「その代わり、戦闘に冒険者は参加するもしないも自由意思。ですから、規律や指示に従わない者もいます。それに、成果を出している冒険者は、モニカやソフィーなど、リク様に近しい者達が多いですからな」
モニカさんやソフィーは、アマリーラさん達とも協力して対魔物との戦闘で大きな成果をあげている。
他の冒険者さん達よりも、頭一つ分くらい抜きんでた成果だとか。
あと他には、ルギネさん達のリリーフラワーのメンバーも活躍しているらしいけど。
とはいえ、他にも活躍している人は多いみたいだし、目立っている人以外にもちゃんと戦ってくれている人は多い。
「まぁ、ある程度指示には従ってもらう必要はあるが……逃げ出した者に関して、咎める事はないようにな」
「はい。今の状況になれば、逃げ出したくなるのも仕方ないでしょうから」
自由意思が尊重される冒険者であっても、土壇場で逃げ出す人には罰則が与えられる事がある。
大体は、依頼を途中で投げ出したとかが原因だけど。
今回は特別依頼になっていて、長い戦いからの強力な魔物……という状況もあり、逃げて仕方ないと判断。
罰則はなしになるようだ。
「逃げ出したい気持ちは、皆が持っているでしょう。リク様がいて下さるとはいえ、強力な魔物が多過ぎますから」
「そうだな。だが、逃げるわけにもいかん。さて、各軍の動きだが……」
マルクスさんの言葉に頷き、兵士さんや冒険者さん達それぞれの動きを決めていく。
大まかにだけど、王軍は王軍として、侯爵軍、冒険者は有志の義勇軍扱いで、それぞれが別の軍隊として動く事になる。
所属も違えば考え方とかも違うから、別にした方がそれぞれが動きやすいだろうとの判断だ。
俺が作った石壁の内側を拠点都市、中央に王軍が展開してこちらは主に攻撃を潜り抜けてきた魔物達からの防衛。
俺が作ったミスリルの矢や弓矢を含めた、エルサを介しての遠距離攻撃はここで行う。
その後ろとセンテ外壁上に侯爵軍と王軍から抽出した魔法部隊を展開、魔法はエルサの威力増加効果を得られないので、そこから魔法を撃ち上げて攻撃。
それ以外の侯爵軍は北、冒険者軍は南に配置し、南北に広がっている魔物達を食い止めつつ、石壁から打って出る……理想は、南北から魔物を挟みつつ中央に押し込んで囲む事だ。
魔物の方が数が多いため、あくまで理想だ……飛び道具での遠距離攻撃で、どれだけ魔物を減らせるかによって臨機応変に動きを変える予定になっている。
「あとは……カイツ殿の作っている、ワイバーンの皮を張り付けた盾。それを使う部隊か……」
「盾なら、マックスさんに任せたいところですけど」
「だが、あの者は魔法鎧でヒュドラーの足止めだからな。リク殿が全てのヒュドラーを討伐後に、とも考えられるが……」
盾の扱いについて考えるシュットラウルさん。
実績もあって、盾の扱いを熟知しているマックスさんに部隊ごと任せたいけど、魔法鎧を着る事になっているのでそれはできない。
「ですが、あの魔法鎧を扱うのであれば、そのまま戦ってもらった方が良いかもしれません」
「単独ではキマイラなどと同等ならば、三人いれば活躍を期待できるかと」
マルクスさんとベリエスさんも、ヒュドラーを倒した後でもそのまま魔法鎧で戦ってほしいようだ。
「ならば、別の者に任せるしかあるまいな。……最前線に出る部隊になる。上手く扱って欲しいが、魔物を押しとどめるだけでも十分と考えるべきだな」
「でしょうね。ただ、ワイバーンの皮を使った防御性能は、我々が特によく知っています。鎧として作った物より劣るとはいえ、盾ですから……効果は期待できるでしょう」
「少なくとも、魔物からの魔法攻撃はほぼ遮断できると思われます。盾の重さも考えれば、押し負けなければ最前線とはいえ生存率は少なくないかと」
「それよりさらに前に、俺や魔法鎧を着たマックスさん達、さらにユノ達もいますから。盾を持った人達がただ犠牲にならないように、頑張ります」
「うむ、よろしく頼む」
盾部隊は壁役でもあるわけだから、石壁の内側だけでなく最前線に出なくちゃいけない。
だから一番危険にさらされる可能性はあるわけだけど……カイツさんが改良したタワーシールドの防御性能は、ワイバーンの鎧を使うマルクスさんにとって、任せるに足る信頼があるようだ。
「どうなるにしろ、リク殿がヒュドラーを倒すまで大きな被害を出さずに、持ち堪えねばならん。もちろん、その後の事も考えねばならんが……」
「ヒュドラーさえいなくなれば、少しは余裕が出ますからね」
もちろん、魔物はヒュドラー以外も強力な魔物ばかりなので、ヒュドラーさえ倒せば勝利が確定されるわけじゃないけど、余裕ができる。
俺やユノ、ロジーナもそうだし、魔法鎧隊の三人に関しても。
そうなれば、絶望的な状況もかなり改善されてくるはずだし、こちらの士気も上がると期待している。
「ヒュドラーの位置だが……」
「はい……」
シュットラウルさんが、俺達の前にある机に広げられている地図を示す。
魔物達の位置関係は大雑把にだけど、把握している。
それはワイバーンに乗った兵士さん達や、アマリーラさんとリネルトさんが偵察して来てくれたからだ。
今も偵察してくれているけど、徐々に迫る魔物達に異変がないかの確認などを、距離を保って行ってくれている……近付き過ぎると、多分ワイバーンが魔法で撃ち落とされるだろうから――。
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