神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

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リクの認識と他の認識の齟齬

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「あ……」
「……崩れたわね。でも、さらにそこも凍り始めている。えげつないわ」

 表面が凍っているのに、抵抗しようとしたのだろう……数体の魔物が崩れ落ちた。
 足だったり顔だったり体だったり……崩れる場所はそれぞれ違うけど、凍っていた部分が割れてそこからすぐに表面がまた凍って……と繰り返した結果、切断したような切り口になって崩れ去る。
 しかも、崩れて剥き出しになった部分は既に凍っているけど、さらにそこから内部までをも凍てついて行く。
 結果的に、崩れて切断された魔物が徐々に凍る部分が減っただけ、完全に氷像となるのが早まっただけになっていた。

「とりあえず、センテに向かっていた東側の魔物は全て凍らしたんだけど……」
「は……?」

 俺の呟きに、ポカンと口を開けて声を漏らすロジーナ。
 どうしたんだろう?
 というかそろそろレッタさんをどうにかしないと、凍りはしないけど凍えてしまいそうだね。
 氷の上で寝ているようなものだし。

「ん?」
「な、なにを言っているの? 全てって、ここにいる範囲の魔物だけじゃないの?」
「当然だよ。ここにいる魔物だけ凍らせたって、他にもまだまだいるんだから。よしっと」

 首を傾げた俺に、呆然としながら話すロジーナ。
 とりあえずロジーナがレッタさんを助ける様子はなかったので、答えながらレッタさんの体を結界で包んでおく。
 さらに、結界に温度を加えて保温と地面の氷を一部だけ溶かしておいた。
 決して冷めない熱めのお湯に入っているような状態になったけど、凍えるよりはマシだろう……ちゃんと空気穴も作ってあるし。

「いや、いやいやいや……どれだけの数、どれだけの範囲にいると思っているの? そんな魔力、リクにはないはずよ。隔離した時は、そんな事ができる程の魔力なんて……それに、今何したの? レッタの所だけ、氷が解けたわよ」
「レッタさんはあのままじゃ凍えそうだったから、火傷しない程度に熱を発する結界に包んで、一部だけ氷を融かしたんだよ。氷の方は、結界とは別に高温を発生させてって感じでね」
「そんな事まで、あの一瞬で。どれだけ魔力を持っているのよ……しかも、使い方もこれまでより上手くなっているし……」

 実はちょっと氷を融かすための熱が強すぎて、地面が焦げていたりするんだけど、それは黙っておこう。
 というかもしかして、ロジーナは俺が隔離された時の魔力量の上限のままだと考えているのかな?
 まぁ、誰かに魔力量が倍増した……なんて事を話していないから、知らなくても無理はないか。

 多分知っているのはエルサくらいかもしれないね。
 破壊神の時なら調べられたのかもしれないけど、人間になった今だとわからないのかもしれない。
 以前までなら、枯渇とは言わないまでも隔離結界と今凍てつかせた魔法で、ほとんどの魔力を使っていたと思う……いや、多分凍てつかせる魔法は、今望んだ効果よりかなり低めでしか発動できなかったかな。
 でも隔離結界は上限を越えていた分の魔力だし、凍てつかせる魔法で使った魔力は大体二割くらいだ。

 まだレムレースやヒュドラーから吸収した魔力で、輝く剣からの魔力供給もあるし、全然余裕でもある。
 あ、そうか……ロジーナは輝く剣が吸収した魔力を、持ち主に変換するってのも知らないから、さらに驚いているのかもね。
 その辺りは説明を省いたし。

「まぁ、とにかく最近魔力がかなり増えたんだよ。ロジーナのおかげもあるんだけど……」
「私のおかげってのは気になるけど……はぁ、もういいわ。リクに対して驚くだけ無駄っていうのがわかったし」
「驚かせるつもりはいつもないんだけど、なんでか驚かれるんだよね。今は理由もわかっているけど」

 これも、俺の自覚が足りなかった事の一つだね。
 どれだけ自分の魔力量が他の人より多いのか、どれだけイメージで魔法が使える事が凄い事なのか……後者はエルサと契約したからだけども。
 とにかく、本来万能とは言えないはずの魔力が、神様すら驚くくらいの量を持った事で万能、全能ですらあると勘違いしてしまいそうなくらい、色んな事ができてしまうってわけだ。
 俺の魔力への認識が元々、なんでもできるような力って思っていたから、他の人との齟齬ができていたと考えるべきか……。

 一度に使う魔力量が多いために、感覚的に魔力が変換される過程をほとんど最初から、認識できていた事も大きいかな。
 だからこそ俺は、変換できるなら他のなんにでもなれるよね、なんて考えていて、さらにイメージを具現化して魔法にできるから、魔力が万能的な感覚があったんだ。
 多くの魔力が体を巡り、滲みだす程だから剣すら素手で受け止められる、なんて事も俺は深く考えずに受け入れられていたんだけど。

 多分他の人は、エルフでさえも魔力が魔法に変換されるって意識がないみたいで、だから決まった魔法を使うための力くらいの認識だったんだと思われる。
 魔力があるからなんでもできそうと考える俺と、魔力があるからってなんでもできるわけじゃないと考えている人達では、感覚から認識までが違うのも当然だよね。
 要は、俺が魔力とは何か、皆が考える魔力とは何か、を気にしていなかったのが驚かせてしまう理由の一つだったってわけだね、多分だけど。

「まぁ俺の魔力だかなんだかはどうでもよくて」
「どうでもいいで済ませられる、リクの感覚が人間とはかけ離れているわね」
「一応、まだ人間のつもりなんだけど……とにかく、さすがに全てを凍らせても、全ての魔物を倒したわけじゃないんだ。近くの魔物は完全に凍るし、そうなれば触っても大丈夫になるけど。でも、離れた場所の魔物に全てにはさすがにね。足止めくらいにはなるだろうけど」
「……リクにとっての足止めは、数日は動けなくするような感覚なのね。よくわかったわ」

 いや、そこまでの長時間は考えていないけど……。
 ともあれ、距離が離れるにつれて魔法の威力が減衰してしまうのが、凍てつかせる魔法の弱点。
 密集している魔物を次々と凍らせていくんだから、当然の事だけど……貫通する威力を持った弓矢が、何かに触れて貫通させて威力や勢いが下がっていくのと似たようなものだね。

 だから、離れれば離れている程、表面だけかそれとも体の一部が凍ったくらいになっているはず。
 多分、一番離れている魔物は、足が凍って同じく凍った地面に縫い付けられているような状態だろうと思う。
 それでも無理に動けば足が千切れるわけで……うん、ロジーナの言う通りその場かはともかく、数日は進行を遅らせられそうだったね。

「つまり、リクは今から魔物に止めを刺すってわけね」
「そう。だから変に動かず、俺の近くにいてねロジーナ」
「……何をするつもりかわからないけど、それが一番安全そうだから、変な事はしないわ」

 全体の魔物を一気に殲滅するのだから、広範囲に及ぶ魔法を展開する事になる。
 そんな中に飛び込まないように注意したんだけど……ロジーナは呆れた表情で、首を左右振っていた。
 まぁ、了承って事でいいかな――。

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