神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
1,350 / 1,955

植物への突入

しおりを挟む


「リク様への道は、私が斬り開く!! 待っていて下さいリク様、今行きますっ! せあぁぁぁ!!」

 アマリーラさんが大きく叫び、ワイバーンが植物のすぐ横を通過する勢いも加え、横にした剣を大きく振り抜く。
 さすがと言うのだろうか、斬り裂かれた植物は切り離された上部が地上に落ちていくのと同時に、人が数人並んで通れるくらい、大きく深い空間を作った。
 けど、今はまずロジーナちゃんの回収だから、リクさんの所に行くわけじゃないんだけど……まぁ、ここ最近のアマリーラさんの行動や言動を見ていると、それが原動力になるのならいいんじゃないかとすら思えてきているんだけどね。
 ……リクさんの所に行くのは、私だからなんてちょっとした対抗心も沸いているのも、否定はできないけれど。

「リネルト!」
「はい! ふっ、はぁっ!」

 植物を斬って離れる瞬間、アマリーラさんがリネルトさんに声を掛ける。
 アマリーラさんの動きに追従するように、ワイバーンに動いてもらっていたリネルトさんが、目で追う事が難しい速度で剣を振るう。
 斬られた直後からすぐに伸び始めていた植物が斬られ、さらに深く斬り進められる!

「見えたわ!」
「間違いなくロジーナなの」

 リネルトさんの後ろで、突入を待つ私の目にはっきりと、植物の蔦にも見える茎のような物に絡め捕られているロジーナちゃんが見えたわ。
 ロジーナちゃんがいるからなのか、ほんの少しそこだえ他よりも空間があるわね。

「動いていないけど……大丈夫、なのよね?」
「多分、意識を失っているだけなの。死んでいないのは間違いないの。じゃなかったら、私はここにいないの」

 はっきりとは見えないからわからないけれど、絡め捕られたままのロジーナちゃんが一切動いていないため、不安に駆られて呟く私にユノちゃんが答えてくれる。
 ロジーナちゃんにもしもがあったなら、ユノちゃんがここにいないという意味はよくわからないけど……今は余計な事を心配している余裕はないわね。
 なんとしてでもあそこから助け出さないと!

「ふっ、はっ、せい!! ……くっ、これ以上は!

 さらに斬り進んだリネルトさん……だけど、大きく開いているのもあって植物の再生速度と拮抗し始めたようね。
 多分、とてつもない速度で剣を振り続ける事からの疲労もあるんだろうと思うわ。
 結界を破る時からずっと、ろくに休憩もしていないし。

「フィネさん、お願いします!」
「できるだけロジーナの下を狙うの!」
「難しい注文ですが、承知しました! ワイバーン、少し上へ! ……ここ! せやぁっ!」

 頃合いを見て、フィネさんに声を掛けるリネルトさん。
 ユノちゃんからの声と合わせて、ワイバーンを上昇させたフィネさんは、斬り開いた空間を維持しているリネルトさんの頭上から、斧を投げ込む。
 ロジーナちゃんがいるのは、アマリーラさんが斬り開いた部分よりさらに下になるわ。
 リネルトさんが植物に張り付くようにしながら、剣を振るっているのでそこを飛び越えるようにして狙うのは難しい。

 それを、高い位置に行って狙いやすくしたのね。
 フィネさんが投げた斧は回転し、ロジーナちゃんがいる空間の途中にある植物、その蔦のような茎を斬り裂いて行く。
 そうして、ロジーナちゃんを絡め捕られている場所の少し下部分、狙い通りだと思うけどそこに突き刺さるフィネさんの斧。
 それはおそらく、空間を閉じるのを遅らせるための布石みたい。

 斬られた先から、再生を始めて伸びる植物だけれど……斧が突き刺さった部分は再生をせず、しかも周囲の植物は斧を絡め捕ろうとする動きをしているように感じられた。
 詳細な説明はなかったけれど、ユノちゃんはこれをわかっていて狙ったのかもしれないわね。
 何故ユノちゃんがわかったのか、とかそんな事は考えない。
 だって、私達にわからない事……エルサちゃんすらわからない事ですら、ユノちゃんは知っている様子を見せる時があるもの。

 とにかく私達はそんなユノちゃんがやろうとしている事に、全力で従うだけ。
 それが、リクさんを助け出す一番の方法だと信じているから。

「モニカ、今なの! また伸び始める前にロジーナを掴むの!」
「えぇ! リーバー、お願い!」
「ガァゥ!!」

 ユノちゃんの叫びに答え、乗っているリーバーにお願いして突入。
 ばっさばっさと羽ばたいていた翼を小さく畳み、斧を投げ終えたフィネさんと、若干速度が落ちつつも剣を振るい続けるリネルトさんの間を通過し、斬り開かれた植物の中へ!

「ロジーナちゃ……っ!?」
「こっちに伸びてきているのだわ! 絡め捕ろうとしているのだわ!」

 斬り開かれた空間に入り込んだ瞬間、さっきまで一定の速度で再生して伸びようとしていた植物が、私達に向かってその茎を伸ばしてきた。
 まるで意思でもあるかのように。
 内部に入った異物を排除、もしくは絡め捕って動けなくするかのように……。

「ガァ!?」
「リーバー!?」

 伸びた茎の一本が、リーバーの畳んでいた翼に絡み付いた。
 このままじゃ、ロジーナちゃんに届くまでに私達が身動きできなくなる……!

「ガ……ガァァァ!!」

 だけどリーバーは雄叫びと共に、翼に絡み付く茎を引き千切り、ロジーナちゃんへと向かう。
 さすがワイバーン……いえ、リーバーね。
 そうして……。

「グガァァァァ!!」
「え、ちょ! リーバー!?」

 もう少しでロジーナちゃんの所へ辿り着く……と思った瞬間、顔を上げたリーバーが口から炎を噴射。
 そういえば、再生能力の高いワイバーン達の中で、唯一魔法が使えるんだったわね。
 って、そんな事を考えている場合じゃなくて……このままじゃロジーナちゃんまで焼けちゃうわ!

「大丈夫なのだわモニカ。燃えていないのだわ」
「え、あ……」

 頭にくっ付いたままのエルサちゃんに言われ、よく見てみると……。
 吐き出された炎は、突き進む私達の先にある植物を多少焼いて、空間を広げた……けど、それだけだった。
 あれだけの火を放てば、燃え広がってもおかしくないのに。

「植物自体に、魔法に対するなんらかの抵抗がされるようになっているみたいなのだわ。まったく意味がないわけじゃないみたいだけどだわ……火に対してなのか、魔法に対してなのかわからないけどだわ、とにかくロジーナも含めて燃える程ではないのだわ」
「そう、みたいね……ロジーナちゃんも絡め捕られている茎が減っているし。リーバー、ありがとう」
「ガァゥ!」

 理由はわからないけれど、とにかく魔法もしくは火が効きにくいって事よね。
 まぁ、そもそも斬っても斬っても再生し続ける植物なんて聞いた事ないし、そんな不思議な特性を持っていてもおかしい事じゃないわ。
 とにかく、リーバーにお礼を言って少しだけ余裕ができた空間を進む。

 ぐったりとして動かず、本当に生きているのかすら疑わしいロジーナちゃん。
 絡め捕られているロジーナちゃんの近くで、リーバーが体を傾け、限られた空間内で滞空状態になる。
 そのリーバーの首辺りまで移動し、だらんと垂れ下がっているロジーナちゃんの右手に、私の手を伸ばした……。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。  主に5大国家から成り立つ大陸である。  この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。  この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。 かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。 ※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!) ※1話当たり、1200~2000文字前後です。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・

Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・ 転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。 そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。 <script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...