神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
1,349 / 1,955

柔らかいが強固な守りの植物

しおりを挟む


「これがあったから、リクの魔力とかが流れて来ないのだわ? リクの魔力が吸い取られているのだわ?」
「エルサちゃん?」
「わからないのだわ。どうしてこうなっているのか、だわ……でもとにかく、この草を掻き分けるなり焼き払うなりしていかないと、中にいるはずのリクの所には行けないのだわ!」
「よくわからないけど、どうにかしないといけないって事よね……一番堅くて難関だと思っていたリクさんの結界、それを越えた先に今度はこれって、きつすぎるわ」

 生い茂った、というにはあまりにも成長し過ぎている植物を前に、羽ばたいて空中に留まるワイバーン。
 その背中にいる私にくっ付いたままのエルサちゃんが、驚きが混じった様子で植物を見て考察しているみたいだけど……結局よくわからなかったみたい。
 とにかく、やっぱりリクさんが関係しているって事よね……厄介だわー。
 ついついエルサちゃんの口癖が移ってしまう程、どうしていいのかわからない。

 植物だから、焼くか斬るかすればそれで良さそうだけど……あ、引っこ抜くっていうのは無理ね。
 掴む事はできるけど、引っ張ってもビクともしないんだもの。
 それに大量にあるから……一つや二つを引っこ抜いたところで、意味はあまりなさそうだわ。
 ちなみに、リーバーが焼いても駄目だったのは今目の前で行われた事だけれど、斬るに関しては……。

「んっ! んーっ! やっぱり駄目なの。斬れるけど、すぐにまた伸びるの」

 リーバーの近くで、ワイバーンに乗ったユノちゃんが植物のすぐ近くまで行って剣を何度も振るって、効果がない事を証明していたからね。
 焼いた時と同じで斬れるのだけれど、斬った分だけすぐに伸びてしまう。
 斬られた植物は地面に落ち、ほんの一瞬、まばたきをしている間に見逃してしまいそうな間で燃え、消えて行くわ。
 ……これは斬ってすぐに突入する、というのもなしね……伸びる速度が早すぎて、取り込まれてしまいそうだし、現に……。

「あぁ、私の斧が!!」

 右手で振るう、ワイバーンの斧で植物を斬り、さらにその中へと以前から持っていた小さめの斧を投擲するフィネさん。
 でも、その斧は斬って開いた部分に入り込んだ後、伸びた植物に絡め捕られてしまったわ。
 そのまま、別の草と折り重なって植物の一部のように……いえ、オブジェのようにすらなってしまっているわね。
 あれを人の身でやったら、抜け出せなくなってしまいそうだから得策じゃないわ。

「リク様の力、リク様が育てた植物……それはつまり、リク様の分身と言っても過言では……」
「過言なの! アマリーラはいい加減、正気に戻るの!」
「失礼な! 私はいつでも正気だ、ユノ殿!」

 今にも植物に向かって飛び込みそうなアマリーラさんは、ユノちゃんに任せておくとして……とりあえず正気ではないと私も思いますと、念だけ飛ばしておきましょう。

「焼いてもダメ、斬ってもダメ……どうしたら……」

 結界みたいに、強固なわけじゃないから斬るのに次善の一手はいらないくらい。
 だけど、さっきからユノちゃん達が何度もそうしているように、斬る先から伸びているのだから意味がないわけで……。
 次善の一手、こういう封じ方というか通用させない方法があったのね。
 正直、それを知っても何も役に立ちそうにはないけれど。

「これがリクのしている事なら、斬り続けてもあまり意味はないのだわ。けど、やるしかないのだわ。無限ではなく有限のはずだと信じるしか……だわ」
「そう、よね……」

 エルサちゃんの言う通り、いくらリクさん……もしくはリクさんの体を支配している、負の感情がやっている事だとしても、無限に続く事はないのだと信じたいわ。
 今までだって、リクさんが魔力を使い過ぎて倒れてしまった事があるように、リクさんの魔力がどれだけ多くとも、どれだけ負の感情とやらで魔力が回復されているとしても……。
 それはいつか限界が来るはず。
 そう思って、自分も植物を斬るためにこれまで使っていた魔法具の槍を握りしめたわ。

 ワイバーンの槍は、結界を破った直後に柄以外が消滅してしまったから、代わりに持って来ていたのだけど。
 あの槍、魔法は使えないまでも重さや丈夫さ、そして穂先の切れ味まで全てがいい物だったのに。
 なんて、急遽使っていた槍の事を惜しみながら、植物に向かって構えたその時……。

「ふっ! はぁ! んむ……?」
「アマリーラさん?」

 ユノちゃんに言われて、渋々ながら大きな剣を軽々と振り回して、植物を大量に斬り払うアマリーラさん。
 だけど何度目かの剣を振るった後、急に動きを止めた。
 どうしたんだろう?

「いや、今人のような何かが中に見えたような気がしてな。ユノ殿、私が切り開くから中を見てくれないか! さすがに、剣を振るった直後に見るのは難しい」
「わかったの! 思いっ切りやるの!」
「人のような……? もしかして……」

 リクさん、なのかしら?
 いえ、でもここは地上からはかなり高い場所のはず。
 そこまで伸びている植物の内部に、私達がいる高さと同じ場所に、リクさんがいるのは少しおかしい気がするわ。

「行くぞ……せいっ!!」
「んー……あ、あれは!?」
「ユノちゃん、何があったの!?」

 大きく振るわれるアマリーラさんの大剣……植物の葉なのか茎なのかを、幾重も斬り取る。
 その斬り取った空間に、ユノちゃんが顔を覗き込ませて驚きの声を上げたわ。
 ユノちゃんが驚くって、よっぽどの事よね……一体何があったのかしら。
 可能性は否定したけどリクさんかもしれない、という期待感はやっぱりあるけど。

「ロジーナがいたの! ロジーナが、絡め捕られているのが見えたの!」
「ロジーナちゃん……」

 リクさんじゃなかった……という落胆はけれど、先に可能性を否定していたおかげでそれ程でもない。
 でも、少しだけ槍を握る力が弱まったのは許して欲しい。

「むぅ、あんまり気は進まないけど……皆で協力してロジーナを助け出すの! もしかしたら、この気持ち悪いくらい伸びる植物をなんとかできるかもしれないの!」
「わかったわ!」
「承知した!」
「リク様のためになるのならば!」
「了解したわぁ、頑張るわねぇ~」

 どういう事かはわからないけれど、ロジーナちゃんを助け出すというユノちゃんの叫びに応えて、皆が動き出す。
 アマリーラさんとユノちゃんの周りに、リーバーに乗った私だけでなくフィネさん、リネルトさんも集まってきた。
 リネルトさんは、植物の周囲をワイバーンで回るようにしながら、高度を変えつつ色んな所を斬り付けていたようだけど……こっちに来たって事は成果はなかったみたいね。

「アマリーラが大きく斬り開いて、リネルトが細かく斬って伸びる植物を止めるの。フィネが中に残った斧を投げて、モニカが突入。ロジーナを回収したら、絡め捕られる前に私がすぐに引っ張り出すの!」

 ロジーナちゃんとは気が合わないからなのかしら、顔をしかめながらも私達に指示を出すユノちゃん。
 その指示に従って、全員が動き出す……ワイバーン達もリーバーも、乗っているそれぞれの人達の意思を反映するように、手足となって動いてくれた――。

しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

『山』から降りてきた男に、現代ダンジョンは温すぎる

暁刀魚
ファンタジー
 社会勉強のため、幼い頃から暮らしていた山を降りて現代で生活を始めた男、草埜コウジ。  なんと現代ではダンジョンと呼ばれる場所が当たり前に存在し、多くの人々がそのダンジョンに潜っていた。  食い扶持を稼ぐため、山で鍛えた体を鈍らせないため、ダンジョンに潜ることを決意するコウジ。  そんな彼に、受付のお姉さんは言う。「この加護薬を飲めばダンジョンの中で死にかけても、脱出できるんですよ」  コウジは返す。「命の危険がない戦場は温すぎるから、その薬は飲まない」。  かくして、本来なら飲むはずだった加護薬を飲まずに探索者となったコウジ。  もとよりそんなもの必要ない実力でダンジョンを蹂躙する中、その高すぎる実力でバズりつつ、ダンジョンで起きていた問題に直面していく。  なお、加護薬を飲まずに直接モンスターを倒すと、加護薬を呑んでモンスターを倒すよりパワーアップできることが途中で判明した。  カクヨム様にも投稿しています。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?

よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ! こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ! これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・ どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。 周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ? 俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ? それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ! よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・ え?俺様チート持ちだって?チートって何だ? @@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@ 話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。

処理中です...