神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
1,348 / 1,955

目標地点には植物が伸びている

しおりを挟む


「活火山、火口……火山っていうのは聞いた事があるわ。確か、火を噴き出す恐ろしい山の事よね。私は見た事も近寄った事もないけれど……」

 確か、アテトリア王国の西の端にあるんだったかしら? 火を噴き出して近寄った人間、魔物問わず焼いてしまう恐ろしい山だとか。
 そんな山には近寄りたくないから、知らなかったけれど……今地上に広がっている光景と同じような事が、その活火山の火口とやらで起こっているのなら……。
 うん、絶対に近寄りたくないわね。

 もし冒険者の依頼で、そちらへ行く事があったとしても絶対に断ろう。
 リクさんが受けてきちゃうかもしれないけど、触れたら焼かれたり溶けたりするような所には、近寄りたくないわ。

「微妙に勘違いしている気配を感じるのだわ。とにかく、活火山の火口に見られる事のある光景……というかマグマだわ。それとほぼ同じなのだわ」
「マグマ……」

 深く深く、エルサちゃんの言うマグマを頭の中に刻み付けて、絶対に近寄っちゃいけないと覚えておく。
 あとでユノちゃんも交えて詳しく聞いた話なのだけれど、特に活火山だからといって近付いた者を全て焼くわけではないらしいわ。
 山が噴火……火山の中で爆発が起こって、火口から噴き出し、マグマが噴き出し流れ出し……その影響で人や魔物も関係なくすべて飲み込んで溶かしてしまう、という事らしいは。
 それからマグマは、石や岩、さらに鉱物や金属が混ざり合って溶け、とんでもない熱を持った物だとかなんとか。

 液体のように溶けて混ざり合ったそれらが、山から流れて冷えて固まり、それがまた山や地面を作るとか……詳しく聞いてもちんぷんかんぷんで、むしろマグマに対する恐怖が増しただけだったわ。
 はぁ、この世界にはまだまだ知らない事が多いわね。
 エルサちゃんやユノちゃんが、その存在の詳細を知れば当然ではあるのだけれど、知り過ぎているだけなのでしょうけれど。

「と、とにかく話を戻して……何もないわね、魔物だけじゃなく、木々も」
「近くに森があったのだわ。けどそこも何もなくなっているのだわ」
「そういえば確かに……」

 確か、リクさんがリーバー達のいた場所と言っていたかしら……センテの東南にあったはずの森も、空から見る限りなくなっている。
 さらに遠くへ目を移せば、微かに木々とかは見える事は見えるけど、そこまで行くのに馬を走らせても半日以上かかりそうだわ。

「倒した魔物を片付ける手間が省けたのだわ」
「いい事ばかりじゃないわよ? 魔物の素材とか、それすらもなくなっているんだから。特にヒュドラーと一緒に来ていた魔物達は、強力な魔物だったから……かなり高価な素材が、大量にとれていたわけだし」

 魔物と言えば素材。
 全ての魔物が素材になるわけじゃないけれど、発見される事自体が一大事なヒュドラーとか、その他にもAランク、Bランクの魔物達がひしめいていて、高価な素材で溢れているとも言えたのだからね。
 まぁ、素材よりも大事なのは当然自分達の命で、そんな事に構わず魔物を倒して行き残る事が最優先ではあるのだけれど

 でも素材だとかが気になってしまうのは、小さい頃から父さん達が冒険者だった頃の話を聞いて、自分も冒険者になったからかもしれないわね。
 ……冒険者パーティ、ニーズヘッグのお金についてもリクさんから管理を任されている、って影響もあるかもしれないけど。

「ん? 何か見えるわね?」
「んー……だわ?」

 あれだけいた魔物達の影すら見えない状況を話しながら、リーバーがリクさんのいるはずの場所へ向かって飛んでしばらく……。
 何もない、正確にはマグマみたいになった地面はあるのだけれど、それ以外に何もなかったはずの地上。
 そこに急に他とは違う様子が見られたわ。
 まだまだ遠くて、どう違うのかは見えないけれど……確実に違うのはわかる。

 だって、そこには青々と茂っている植物が空へ向かって、高く高く伸びているんだもの。
 あれ、そこらの森に生えている気よりも背が高いわよね。
 センテの近くにあんなのが生えているなんて聞いていないし、あるわけがない。
 というかあの植物、そこらの草原で生えている物と同じよね? しかも、空を飛んでいる私達と同じくらい……いえ、それ以上の高さまで伸びているし、一体どういう事?

「間違いなく、リクの仕業なのだわ。それ以外考えられないのだわ」
「そうよね……どうしたらあぁなるのかはわからないけど、突然木でもない植物をあんなに伸ばすなんて、リクさん以外できるとは思えないわ」

 いえ、そもそもリクさんならできる……とも思えないんだけれど。
 でもリクさんだから……で、できないと思う事もできてしまうのに納得してしまう自分がいるわ。
 これまでも、不可能と思われていたどころか、その可能性すら考えていなかった事をいくつかやってきている人だし。

「とにかく、あそこに向かうのだわ。きっとそこにリクがいるのだわ」
「そうね。場所というか、方向もフィリーナが言っていた方に進んでいたわけだし、他の所には変わった場所はない。あそこにリクさんがいるのは間違いなさそうね。リーバー、お願い!」
「ガァ~ウ!」

 異変がある事がつまりリクさんがいる証拠……まぁ、センテを覆った結界から地面の状態、相変わらず汗を噴き出させる熱気まで、全てが異変と言えば異変なのだけれど。
 異変しかないと逆に、それが平常のような気がするから不思議……とまではならないわね。
 とにかく、異変の中の異変、そこにきっとリクさんがいると信じ、リーバーにお願いして向かってもらう。
 後ろをついて来ていた皆も、先導するように飛ぶリーバーを追いかけるように飛び、リクさんがいるはずの植物がある場所へと向かったわ。


「これは……一体どういう……?」
「ガァ。ガァゥ! グルゥァァァァ!!」
「リーバー!?」
「……駄目なのだわ。リーバーの吐き出した炎の魔法でも、焼けないみたいなのだわ。正確には焼いた先から成長して伸びているみたいなのだわ」

 到着した、リクさんがいるはずの場所。
 そこには鮮やかな緑色の植物……特殊な植物というわけではなく、そこらの草原で見かけるなんの変哲もない物……ただ生えているだけで誰にも見向きもされないような植物が、私達の前に立ちはだかった。
 密集している植物は、風にも揺らぐ事はなく幾重にも重なって隙間がほとんどなく、あっても人の手すら通らない狭さ。
 さらに掻き分けて入ろうにも、一切動かす事はできなかったわ。

 そんな中、リーバーが口から魔法、というより炎を吐き出して邪魔な植物を焼こうとしたのだけれど……燃やした先から、再び植物が伸び……いえ、生長して再び行く手を阻む。
 エルサちゃんに確認して、触れても問題なさそうなので触ってみたけど、それは本当に感触も何もかもが植物であって草と変わらない。
 ただ、掻き分けようと動かそうとしても、絶対に動かないし揺れる事すらない。
 感触は柔らかい草その物なのに、まるで突き立った鉄の棒のように動かないなんて、意味がわからないわ。

 ちなみに、地上はエルサちゃんの言う、マグマみたいな赤い泥がポコポコと音を立てて満たされているため、空から皆で植物に向かっているわ。
 いくらリーバー達ワイバーンが熱や火に強いと言っても、あれはそれすら関係なく燃やして溶かしてしまうだろうからね――。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

湖畔の賢者

そらまめ
ファンタジー
 秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。  ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。  彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。 「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」  そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。  楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。  目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。  そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!? 成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに! 故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。 この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。 持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。 主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。 期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。 その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。 仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!? 美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。 この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。

処理中です...