神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

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リク救出作戦

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「それじゃ、ロジーナはこっちに。準備があるから、その間にモニカ達はさっき突入した時と同じように、空間を開けて欲しいの」
「空間を? まぁ、わかったわ」
「あの……もう私の斧がないのですが。先程中に投げ込みましたので……」

 乗っているワイバーンをリーバーに寄せて、ロジーナちゃんを移動させるユノちゃん。
 一緒に乗って何かをやる、そしてそのための準備が必要なのはわかったわ。
 あと、その間にさっきロジーナちゃんを救出した時のように、植物に対して空間を開けておかなきゃいけない事も。
 ただ、フィネさんだけは唯一持っていた斧を投げ込んだため、武器がない。

 さっきの空間はロジーナちゃんが目を覚ましたくらいで、既に閉じられている……斧も内部で茎に絡め捕られているだろうから、とりにいくこともできないわね。
 まさか手で引き千切るわけにも行かないし、フィネさんにやれる事がない。

「そういえばそうなの。んー……モニカ?」
「え、私?」

 自分の後ろにロジーナを座らせて、フィネさんの方を見てから少し考え込んだユノちゃんは、私の方へ顔を向けて呼びかけた。
 その目は、私の背中にある槍に向いているような?

「リクの所へは、誰かが突入しなきゃいけないの。その役目はモニカだ適任だと思うの」
「私が……。リクさんを助けられるのなら、それくらいやって見せるわ」

 リクさんの所へ、と思うと心が躍るくらいよ。
 それが必要な事なら、どれだけ危険だったとしても行きたいという気持ちや衝動を抑えられそうにないわ。
 ……ロジーナちゃんを助ける時、植物内部に突入した時の事を思い出すと、怖くはあるのだけれど。
 ちなみに、それなら私もとアマリーラさんが手を挙げて主張していたりもしたけど、リネルトさんに止められてユノちゃんにも却下されたわ。

「これはリクとの関係性……詳しい状況はわからないけど、リクがどう思っているか、感じているかが大事なの。だから、私はモニカが適任だと思うの」
「関係性……リクさんがどう思っているか」

 それが私だと、大事な事を任せられると思われている事に、心が沸き立つ。
 言われた相手はユノちゃんで、リクさんからではないけれど……それでも嬉しい事には変わりがない。

「それで、突入する際は必ずリクまでの道ができているの。そうするように私もロジーナもやるのだけどなの。だから、モニカには武器は不要なの。フィネに貸してあげるの」
「そうなの? まぁ、それなら……」

 武器を持たずに、あの植物内部に突入する……というのはさらに恐怖を感じてしまう。
 けど、ロジーナちゃんを助け出す際にも、両手を使って引っ張り出すために槍を使わなかったし、今更ね。
 リーバーに頼んでフィネさんのワイバーンに近付いてもらい、私の槍を渡す。
 槍は以前から使っている魔法具の槍だけど、魔法は植物には効きにくいみたいだし、ワイバーンの武器程じゃなくても十分に役立ってくれるだろうと思うわ。

「あれ、でもフィネさんは槍を扱えるの? 斧を使っている所しか見た事がないけれど」
「問題ありません。得意で扱い慣れている武器は、やはり斧ですが。これでも、槍に限らず剣など他の武器も扱えるように訓練をしています。まぁ、さすがにモニカさん程使えるとまでは言えませんが……」

 さすが騎士で冒険者、と言えるのだろうか。
 フィネさんは斧が得意なだけで槍や剣が使えないわけじゃないみたい。
 私は槍以外使えないから、ちょっと感心してしまったわ。
 ソフィーに至っては、剣以外を使う気が一切ないらしく、試しに持って振ってみるなんて事もしたがらないけど。

「それじゃ、フィネはその槍を使ってリネルトと一緒に、開けた空間の維持なの。さっきみたいに、斧を投げ込んで再生の疎外をする必要はないの」
「了解しました」

 ロジーナちゃん救出の際、フィネさんが斧を投げたのはロジーナちゃんが絡め捕られている付近の植物が、再生して空間が閉じられる速度を緩めるためだったと、今ならわかるわ。
 斧が突き刺さっていたおかげで、ロジーナちゃんの周辺は下から再生して伸びるのではなく、先に斧を絡め捕ろうとしていたから。
 あれがなかったら、ロジーナちゃんの手を掴む事もできなかったかもしれない。

「それじゃあ、やる事はさっきとほとんど一緒なの! 協力して空間を開けた所に、私とロジーナでリクへと続く道を作るの! それが終わったら、すぐにモニカはエルサと一緒に突入するの!」
「わかったわ!」
「わかったのだわ~」
「了解しました!」
「リク様のためならば!」
「承知しました!」
「はぁ、仕方ないけどやるしかないわね……」

 ユノちゃんの号令に、私、エルサちゃん、リネルトさん、アマリーラさん、フィネさんがそれぞれ答える。
 最後に、ちょっとだけやる気がなさそうなロジーナちゃんの声……まぁ、元々乗り気ではなかったみたいだから、そこは仕方ないわね。

「リーバー、さっきもそうだし今回も大変だと思うけど、お願いね?」
「ガァゥガゥ!」

 皆がそれぞれ植物に向かって配置につく中、リーバーの首を撫でる。
 リーバーには、こんな事に巻き込んで申し訳ないと思ったけれど、意気込みを感じさせる鳴き声で応えてくれたわ。
 多分だけど、リーバーもリクさんを助けたいと思ってくれているのかもしれないわ。

 ……リクさんを無事に助けられたら、エルサちゃんにも頼んで言葉を通訳してもらって、ちゃんと話してみたいわね。
 今でもこちらからの言葉は通じているし、大まかにはリーバーからの感情とかは伝わっているけれど。

「それじゃ、リク救出のための最終作戦開始なの!」
「リク様、今このアマリーラが御身のもとに行きます!!」

 ユノちゃんの叫びで、まず動き出すのはアマリーラさん。
 でも、リクさんの所へ行くのは私なんだけど……まぁ、それだけ意気込んでいるって事だと思うわ。
 ちなみに、植物に対して攻撃を加えて開ける空間は、さっきロジーナちゃん救出の時に開けた場所とほとんど同じ所。
 リクさんの所へ行くのなら、少しでも近い場所から突入するため、低い所からでもいいんじゃないかと思ったんだけど、何やらユノちゃん達がやる事は高めの位置の方が都合がいいらしい。

「天から降り注ぐ光……」
「ぬりゃぁぁぁぁ!!」

 ワイバーンの背中で、ロジーナちゃんと並んで立つユノちゃんが、朗々とした言葉を紡ぎ出す。
 それと同時に、アマリーラさんが植物に対しワイバーンに横から通過するように動いてもらい、先程と同じく叫びと共に剣を力の限り振るう。

「照らし、翳りを許さぬ光……」
「うらあぁぁぁぁ! リネルト!」
「はっ!!」
「私も行きます!」

 今度はロジーナちゃんが、朗々と言葉を紡ぎ出し、ユノちゃんと同時に両手を広げて空へ向ける。
 アマリーラさんが振り抜いた剣は、先程よりもさらに深く広く、植物を斬り取った。
 力がそれだけ籠っていたのだろう、最後だからと次善の一手として込める魔力も多かったのかもしれない。
 アマリーラさんが斬り開いた場所に、リネルトさんとフィネさんが剣と槍を持って近付いた――。


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