1,361 / 1,955
確信を得たモニカの怒り
しおりを挟む「モニカ、思い出すのだわ。なんで私達が空から突入にしたのか。飛んでいないといけなかったのか……だわ」
「あ……もしかして……」
隔離結界の外、今私達の周囲を囲んでいる植物その外まで、地上は赤い光の影響で人が立っていられる状態じゃなかったわ。
ソフィーの靴を一瞬で溶かしたように、とてもじゃないけど降りられないし、かなりの高さをリーバー達に乗って飛んでいてもその地上からの熱気が届く程だった。
何もしなくても汗が噴き出すくらい熱くかったわ。
そういえば、この植物内部はとくに熱のような物を感じない……むしろひんやりしているくらいなんだけど、植物に囲まれて外と隔絶されているからのようね。
「リクが広げようとしている周囲のこれも、赤い光も、そして隔離結界も全て別物なのだわ。だから、お互い干渉すると思うのだわ。隔離結界はまぁ、空間がズレているから直接どうこうはできないと思うけどだわ」
「お互いが干渉って事は、広がろうとすると当然あの地面にも触れるわけよね?」
「はぁ……そうだよ。だからここでこうして、影響が少なくなるのを待っていたんだ。広がる先から残っている影響で燃える。消滅するんだから、広がりようがないよね」
溜め息を吐きながら、エルサちゃんの話しや私の言葉を認めるリクさんもどき。
広がろうと思っても、これまではあの地面が邪魔をしていたのね。
でも今それが広がったのなら……リクさんもどきが言っているだけだし、本当のところはどうなのかわからないけど、もし事実なら地上に残っていた赤い光の影響は大分薄れたって事ね。
まぁ、それで人が立てるくらいになったのかはわからないけど。
「成る程ね……ある意味リクさんらしいわね。大きな力を使ったけど、思わぬ影響で二の足を踏むような……」
「いつもの失敗とあまり変わらないのだわ。影響の大きさは段違いだけど、だわ」
意識がどうだとしても、失敗とも言える部分があるのはリクさんらしい。
それに……あれだけ、魔物も人も関係なくすべてを巻き込もうとする事を言っていたのに、私達を隔離結界で守ろうとしたというのも、またおかしな話よね。
全てを諦めて、全てを捨てたのなら、私達の事だって守ろうなんて思わないだろうから。
「エルサちゃん、隔離結界はあの赤い光よりも前に使われていたわよね」
「モニカも見ていたのだわ。赤い光が先だったら、私達は今この場にいないのだわ。魔物と一緒に消滅していたのだわ」
「そうよね……」
確認のため、エルサちゃんに聞いて見るとどうして今そんな事を聞くのか? という反応ではあるけど答えてくれた。
つまり、赤い光はともかくとして、隔離結界で私達を守ろうとしたのは……今目の前にいるリクさんの体を使っている、負の感情の塊とかではなく、リクさん自身の意思なんでしょうね。
今の状況、植物が広がるとかではなく、私とリクさんが向かい合っている状況。
そして隔離結界の事や、私の声……特にリクさんに話し掛ける声に反応して、一瞬だけど目の色が何度も黒く戻ろうとしているのを見て、確証を得られた。
多くの猶予がないながらも、こうして話しているのは無駄じゃなかったわ。
「リクさんの本当の意識は、まだあの体の中にあるわね」
「まだ、負の感情に完全に飲み込まれていないのだわ」
エルサちゃんもわかりきっている事を言葉にすると、また一瞬だけリクさんの目の色が黒になった。
ジッと見ていないとわからないくらいではあるけど。
やっぱり、私の声や呼びかけ……いえ、名前を呼ぶのに反応しているのかしら?
「はははは! 何を言うかと思えば……俺はリクだよ、モニカさん? だから他の意識だなんだと言うのは関係なく、これからはこのまま俺が俺なんだ」
「うるさいわね。ちょっと黙っていてくれるかしら?」
「っ!? な、何を……」
うだうだと自分がリクさんだと言って、笑うりくさんもどきを睨み、冷たく言い放つ。
向こうは怯んだ様子だけど、いい加減リクさんの振りをして、リクさんの体で、リクさんの声で、リクさんのものではない意思を伝えて来るのは腹に据えかねるわ。
「ちょっとその口を閉じてもらえないかしら? 聞いていると、イライラするのよ。リクさんの声を使って嘘をまき散らす。馬鹿なんじゃないの? さっきからリクさんじゃないってわかっていて、確信しているのに……未だにあーだこーだと、自分が本物だなんて振りを続けて」
相手を睨み付け、煮えたぎっている腹の底から噴き出しそうな怒りを抑え、淡々と、冷静に偽物に対して言い募る。
違和感があると疑った時から、リクさんではないと確信した時から、負の意識が乗っ取っているとエルサちゃんが言った時から……ここでこうしている時からずっと、苛立ちを感じていたわ。
「モ、モニカ?」
私の手の上で、こちらを窺うエルサちゃんも怯んでしまっているようだけど……エルサちゃんに起こっているわけじゃないからね?
「くっ……! だ、だが、俺が本当のリクじゃないとして、どうするっていうんだい? この体はリクの物だ。それはエルサも認めたでしょう? もしやろうとすれば、モニカだって一瞬で消し飛ばせる力があるんだよ?」
「そ、そうなのだわ。リクが本気になれば、魔力が万全な私だって……ユノやロジーナがいても、抑えられないのだわ。契約があるなしに関係なく、なのだわ。落ち着くのだわモニカ」
忌々しそうに表情を歪め、それでも自分の優位を疑っていない様子の偽物。
エルサちゃんも、アワアワしながら私に言っているけど……なんでエルサちゃんがあっち側についているのかしら?
まぁ、確かにリクさんの力をそのままこちらに向けられるのなら、エルサちゃんや私も簡単に吹き飛ばせると思うわ。
エアラハールさんの訓練で模擬戦をした時だって、リクさんは加減に加減を重ねて、遊んでいるのかと思ってしまうくらい私やソフィーが協力しても敵わなかった。
魔力が使えるのなら、リクさんの使うドラゴンの魔法だったかしら? あれは私達だけでなくエルフのフィリーナが使う魔法とは比べ物にならない程の威力になる。
だから、一瞬で消し飛ばせると言うのも間違いないんでしょうね。
リクさんは、絶対にそんな事はしないし、向けられる事はないのだけれど。
「だからうるさいって言っているのよ。君がリクさんの体を使おうとしても、どれだけ私達を排除しようとしても、できないのはわかっているわ。はぁ、威勢を張って見せるだけで何もできないなら、本当に黙ってくれないかしら?」
「そ、そんな事は……!」
あからさまに動揺した様子を見せたわね。
こうして話している状況から、もしかしたらという程度だったけどこれで確定ね。
そもそも、本当に全て諦めて捨てるつもりなら、私やエルサちゃんとこうして話すなんて無駄な事をするはずがないわ。
リクさんを偽る必要もない……できるのなら、ここに来た時点で私達を排除すればいいだけなんだからね。
「お、落ち着くのだわモニカ。あまり挑発するとこっちが危険なのだわ……!」
0
あなたにおすすめの小説
「餌代の無駄」と追放されたテイマー、家族(ペット)が装備に祝福を与えていた。辺境で美少女化する家族とスローライフ
天音ねる(旧:えんとっぷ)
ファンタジー
【祝:男性HOT18位】Sランクパーティ『紅蓮の剣』で、戦闘力のない「生産系テイマー」として雑用をこなす心優しい青年、レイン。
彼の育てる愛らしい魔物たちが、実はパーティの装備に【神の祝福】を与え、その強さの根源となっていることに誰も気づかず、仲間からは「餌代ばかりかかる寄生虫」と蔑まれていた。
「お前はもういらない」
ついに理不尽な追放宣告を受けるレイン。
だが、彼と魔物たちがパーティを去った瞬間、最強だったはずの勇者の聖剣はただの鉄クズに成り果てた。祝福を失った彼らは、格下のモンスターに惨敗を喫する。
――彼らはまだ、自分たちが捨てたものが、どれほど偉大な宝だったのかを知らない。
一方、レインは愛する魔物たち(スライム、ゴブリン、コカトリス、マンドラゴラ)との穏やかな生活を求め、人里離れた辺境の地で新たな暮らしを始める。
生活のためにギルドへ持ち込んだ素材は、実は大陸の歴史を塗り替えるほどの「神話級」のアイテムばかりだった!?
彼の元にはエルフやドワーフが集い、静かな湖畔の廃屋は、いつしか世界が注目する「聖域」へと姿を変えていく。
そして、レインはまだ知らない。
夜な夜な、彼が寝静まった後、愛らしい魔物たちが【美少女】の姿となり、
「れーんは、きょーも優しかったの! だからぽるん、いーっぱいきらきらジェル、あげたんだよー!」
「わ、私、今日もちゃんと硬い石、置けました…! レイン様、これがあれば、きっともう危ない目に遭いませんよね…?」
と、彼を巡って秘密のお茶会を繰り広げていることを。
そして、彼が築く穏やかな理想郷が、やがて大国の巨大な陰謀に巻き込まれていく運命にあることを――。
理不尽に全てを奪われた心優しいテイマーが、健気な“家族”と共に、やがて世界を動かす主となる。
王道追放ざまぁ × 成り上がりスローライフ × 人外ハーモニー!
HOT男性49位(2025年9月3日0時47分)
→37位(2025年9月3日5時59分)→18位(2025年9月5日10時16分)
科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜
難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」
高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。
だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや——
「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」
「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」
剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める!
魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」
魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」
神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」
次々と編み出される新技術に、世界は驚愕!
やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め——
「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」
最強の頭脳戦が今、幕を開ける——!
これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語!
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
異世界に降り立った刀匠の孫─真打─
リゥル
ファンタジー
異世界に降り立った刀匠の孫─影打─が読みやすく修正され戻ってきました。ストーリーの続きも連載されます、是非お楽しみに!
主人公、帯刀奏。彼は刀鍛冶の人間国宝である、帯刀響の孫である。
亡くなった祖父の刀を握り泣いていると、突然異世界へと召喚されてしまう。
召喚されたものの、周囲の人々の期待とは裏腹に、彼の能力が期待していたものと違い、かけ離れて脆弱だったことを知る。
そして失敗と罵られ、彼の祖父が打った形見の刀まで侮辱された。
それに怒りを覚えたカナデは、形見の刀を抜刀。
過去に、勇者が使っていたと言われる聖剣に切りかかる。
――この物語は、冒険や物作り、によって成長していく少年たちを描く物語。
カナデは、人々と触れ合い、世界を知り、祖父を超える一振りを打つことが出来るのだろうか……。
ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
目を覚ますと雑魚キャラになっていたけど、何故か最強なんです・・・
Seabolt
ファンタジー
目を覚ますと雑魚キャラに何の因果か知らないけど、俺は最強の超能力者だった・・・
転生した世界の主流は魔力であって、中にはその魔力で貴族にまでなっている奴もいるという。
そんな世界をこれから冒険するんだけど、俺は何と雑魚キャラ。設定は村人となっている。
<script src="//accaii.com/genta/script.js" async></script><noscript><img src="//accaii.com/genta/script?guid=on"></noscript>
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる