神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
1,455 / 1,955

ヘルサルにはマックスさん達も

しおりを挟む


「まぁそういうわけでな、どう断ったものかと考えていたところに」
「俺が来たってわけですね」
「あぁ。しかしリクの方は、ヤンになんの用があるんだ?」
「俺の方はヤンさんをヘルサルに連れて行こうかと。向こうの冒険者ギルドに、報告などをする必要があるみたいで……」

 マックスさんから問いかけられ、ここにきた理由を話す。

「そうか、あいつはヘルサルの冒険者ギルドだから、直接行くのが手っ取り早いだろうからな。何か行く方法がないか、侯爵様達に聞いていたらしい」
「はい。それで、ちょうどやる事がなくなったので、俺が連れて行くのがいいんじゃないかと。エルサもいますし、ワイバーン達が人を乗せて飛べるので」
「成る程な。やる事がなくなった、というのは気になるが後で聞こう。リク、相談なんだが……俺とマリーも一緒に連れて行っちゃくれないか?」
「マックスさんとマリーさんをですか?」

 ヘルサルに、と言ったらマックスさんとマリーさんもと提案された。
 話を聞いていたエルサが、問題ないと言うように俺の頭をポンと手で軽く叩いているし、大きくなれば多くの人を乗せられるし、ワイバーンもいるから大丈夫だと思う。
 ちなみに、センテの外の状況は薄っすらと見える隔離結界の外を見たり、報せられたりで大体の人には知られている事だから、今は通常の方法で他の街に行けない事をマックスさんも知っているんだろう。

「けど、こっちの事はいいんですか? 皆、マックスさんの作る炊き出しとか、期待していると思うんですけど」

 料理に関しては、マックスさんが一部の避難民や兵士さん達への提供を担っている。
 そのマックスさんがいなくなるのは、多くの人が残念がると思うんだけど……耳をそばだてて、俺達の話を聞いているトレジウスさん達も、うんうんと頷いているみたいだし。
 食事は、安心して過ごすための一助になるからね。
 ……まぁトレジウスさんだけは、師事できる相手がいなくなるからの頷きだろうけど。

「それもそうなんだが、獅子亭の方も気がかりでな。ルディとカテリーネ、それからカーリンに他の奴らに任せちゃいるが……ずっとというわけにもいかない。ルギネ達も、今はこちらにいるしな」
「あー、それはそうですね。ルディさん達なら、滞りなくやってはくれてそうですけど……」

 ルディさんはマックスさんから料理を教えられ、奥さんのカテリーネさんと一緒に頑張って獅子亭を切り盛りしてくれるだろうけど、マックスさん達がずっといなかったら、誰の店かわからなくなってしまいそうだ。
 カーリンさんとは、ヴェンツェルさんの姪っ子さんだね……そちらも、料理の才能があるらしくマックスさんから教えられていたから、一応料理屋としての心配はないんだろう。
 でも、マリーさんとルギネさん達がこちらに来ているから、ウェイトレスとかのホール係がかなり少なくなっている。
 リリーフラワーのメンバーは全員、元ギルドマスターから冒険者としての修業を受けながら、獅子亭で働いているからね。

 以前、俺が様子を見に行った時の忙しさを考えたら、マックスさん達が抜けている現状は大変というだけでは済まなさそうだ。
 センテが魔物に囲まれてからは、緊急事態のために通常通りではないんだろうけど、それでもね。

「わかりました。ヤンさんと一緒にヘルサルに行きましょう。でも、ルギネさん達はいいんですか?」
「そうか、助かる! ルギネ達は、しばらくこのままセンテにいる方が身になるだろう。元ギルドマスターも、街の復興にやる気を出しているしな」

 ルギネさん達について聞くと、元ギルドマスターも残っているためかここにいるようにと考えているらしいマックスさん。
 何やら、冒険者としての経験とかで、今ヘルサルに戻るよりはいいだろうとの事だ。
 やっぱり、マックスさんは獅子亭よりもルギネさん達の今後を考えるあたり、面倒見がいいと思う。
 獅子亭の事だけを考えるなら、一緒に連れ帰ってお店で働いてもらった方がいいもんな。

「お、お話の途中に失礼します! リク様、マックスさん! マックスさんがヘルサルへ向かうなら、俺……いや私も連れて行ってくださいませんか!?」
「トレジウスか……」

 ルギネさん達の話をして納得している俺の前……というか、俺とマックスさんの前に滑り込んできたのはトレジウスさん。
 駆け寄ってきたとかではなく、膝で文字通り滑ってこちらにきた。
 俺達の出方次第で、そのまま土下座をしそうな勢いに俺はちょっと気圧される。
 マックスさんは、溜め息を吐くようにしているけど。

「さっきから言っているだろう。俺はもう冒険者を引退した身だ。今は自分の店を繁盛させる事くらいしか頭にない。誰かに教えを授けるなど、する気もない」
「くっ……うぅ……」

 マックスさんに言れて、俯くトレジウスさん。
 そんな事を言って、マックスさん……ルギネさん達の事も考えていたし、本当に教えるのが嫌ってわけじゃないくせに、なんて頭に浮かんだけど口には出さないでおく。
 ここは俺が口を挟むよりも、マックスさんの考えややり方を尊重した方が良さそうだからね。

「それにだ、今このような状態にあるセンテから離れて、冒険者として大成すると本気で考えているのか? 冒険者は、少なくともこの国に根差した冒険者は、困っている者達を見捨てないよう、教えられているはずだ」
「そ、それは……そうですが……でも、このままじゃ俺はずっと燻ったままだと……先の戦いで強く感じました」
「もし今、俺に付いてきたらこの先も燻ったままだぞ」

 厳しい言葉をかけるマックスさんに、それでも縋りつこうとしちるトレジウスさん。
 俯いた顔を上げ、マックスさんを見上げるその目は救いを求めているようにも見えた……少し大袈裟かも。

「燻りたくないと思うのなら、今全力でこの街のためになる事を考え、行動しろ。それが、後々のお前のためになる」
「街のために……」
「あくまで俺の見込みなのだがな? リリフラワーという冒険者パーティがいるだろう」
「は、はい……目立つので見知っています」

 ルギネさん達、目立つのか。
 まぁ、女性だけのパーティというのもあるし、信号機みたいに髪色がバラバラだったりするからね。
 おっとりしている風のアンリさんが、巨大な斧を背負っているのも目立つ理由かもしれないけど。

「あれはおそらく、いずれ冒険者ギルドにも認められて、Bランクに昇格するだろうな。……まぁ、指導しているのもいるのだが」

 最後は、トレジウスさんに聞こえないようボソッと呟くマックスさん。
 指導している人というのは、元ギルドマスターさんの事だろうけど……あの人、マックスさんやヤンさんと一緒にヒュドラーを押し留めただけあって、相当な実力者みたいだからね。
 あの人も元冒険者らしいけど、そういえば冒険者ランクは聞いた事がなかったような? まぁ、マックスさん達と一緒に戦えるのなら、実力的にはBランクはあるんだろうと思う。

「Bランクに……」

 マックスさんの言葉に、呆然としたトレジウスさんが呟いた――。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

処理中です...