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久しぶりに全員での空の移動
しおりを挟む「ちょっと久しぶりな気がするの!」
「そういえば、ずっとセンテで解氷作業の手伝いをしてくれていたからね。――ロジーナとレッタさんはどう? ロジーナはともかく、レッタさんは空を飛ぶのが初めてだと思うけど、大丈夫かな?」
「なんで私はともかくなのよ……リクは私をぞんざいに扱い過ぎじゃないかしら? これでも神様なのよ?」
「いや、そうは言っても破壊神だし……それに、今の姿だとただの子供にしか見えなくて」
翌日、ユノだけでなくロジーナやレッタさんを連れて、エルサに乗りヘルサルへ向かう。
解氷作業の手伝いなどで、エルサやワイバーンに乗っていないユノが、楽しそうにエルサの背中から地上を覗き込んでいる。
ロジーナは、俺の言い方に抗議しているようだけど、自分でこれでもなんて言っているからなぁ。
レッタさんはエルサどころか、空を飛ぶ事自体が初めてなので高所とか大丈夫かなと一応気遣っておく。
戦いの後はずっとセンテにいたから、一度くらいはヘルサルなどに行って気分転換をしてみるのもいいかもしれない、と考えてレッタさんを連れて来たんだけど……。
レッタさん自身の過去を聞いて、明るい様子の街を見せてみたいというのもあるかもしれない。
ちなみに、他にモニカさんやソフィーにフィネさん、フィリーナとアマリーラさんやリネルトさんもいて、フルメンバーみたいな事になっていて、俺とユノとロジーナ、それとレッタさんとモニカさん以外はワイバーンに分乗している。
……カイツさんだけは、気分転換よりもワイバーンの研究を進めたいとセンテに残ったけど。
もうカイツさん、ワイバーン研究家になりかけていないかな?
結界でハウス化した農地の温度管理のために使える、冷房機みたいな魔法具のクールフトを作っていた頃の面影は、ほとんどない気がする。
「まぁ、上々ね。空を飛ぶのがこんなに気分がいいとは思わなかったわ。色々な物が小さく見えるのね。それに、ロジーナ様が可愛いわ」
「私は関係ないでしょ、私は! こら、くっつくんじゃないわよ」
「ははは……」
相変わらずロジーナラブなレッタさんは、空でも平常運転みたいだ。
とりあえず高所恐怖症というわけでもなさそうなので、大丈夫そうだね。
「それにしても、アマリーラさん達もこっちに乗れば良かったのにね? エルサちゃんが嫌がるわけでもないし……」
エルサに追従するように飛んでいるワイバーン達の方を見て、そう言うモニカさん。
その視線の先には、数体のワイバーンに分乗しているアマリーラさん、リネルトさんがいた。
「そうだねぇ。でも、仕方ないのかな。もう少し慣れてくれたら、気兼ねなく乗ってくれるかもしれないね」
「残念なの。一緒ならたくさん可愛がれたの」
「ユノのそれはなぁ、やり過ぎると嫌われるよ?」
ユノは今日の出発前にも、アマリーラさん達の尻尾を追いかけていたからな……ユノなりの可愛がりって事なのかもしれないけど。
でも、森の中でモニカさんに叱られた俺からすると、あまりやりすぎると怒られるだけでは済まない気がするから、やめておいた方が良いと思う。
まぁ女の子のユノと、男の俺では扱いが違うのかもしれないけど。
ヘルサルで武具商店を営んでいるエリノアさんは、前に尻尾を捕まれて驚いていたっけ。
「ユノとロジーナ、それにエルサちゃんや俺が畏れ多いって言っていたからねぇ。しばらくは慣れる期間ってところかな」
「ロジーナ様を畏れ多いと思うのは、見込みがあるわね。後光が差しているくらいだもの。敬うのは当然ね」
「……そう言いつつ、私の頭を撫でるのを止めなさいレッタ。それは敬うとは違う行為よ」
レッタさん、確かにロジーナは小さい女の子的な可愛さはあると思うけど、後光が差したり発光もしていませんから。
それはただの錯覚か幻覚か……目の検査をした方がいいかもしれません。
ともかくアマリーラさん達、俺と一緒にエルサに乗るのはそこまで抵抗はなかったみたいなのに、ユノやロジーナが一緒となると一気に尻込みした様子になってしまった。
リネルトさんは、レッタさんとの話の時に同席していたり、甘えるユノをあやしたりもしていたから大丈夫そうだったけど……アマリーラさんがなぁ。
昨日、俺の事情も含めて神様だって事なども話したから、それが影響しているのは間違いない。
そもそも、俺の近くにいる事は義務であるとすら言い切りそうなアマリーラさんだけど、エルサに乗るのは多少なりとも抵抗感と言うか、本当にいいのかという思いがあったらしい。
でもこれまでに乗った事があったから、特に気にするほどじゃなかったけど……そこに正真正銘の神様であるユノとロジーナが加わったもんだからなぁ。
今朝のアマリーラさんは、ユノ達を前に尻尾を足の間に挟んで震えていたくらいだから。
さすがに、レッタさんから見るロジーナのように、後光が差して見えるなんて事はないんだろうけど。
こうなるなら、ユノ達に関しては内緒にしておいた方が良かったかな? とは思うけど、既にリネルトさんある程度知っているわけで、二人一組みたいなところがあるから、教えないというのも変な気がした。
後で知った時に、なんでリネルトだけ知っているんだ的な不和が生じないように、とも思うのは後付けだけども。
「まぁワイバーンに乗るのに慣れるのも、悪くないからしばらくのはこのままでもいいのかもね」
「……リクさんがワイバーンを連れて帰って、利用し始めた時くらいから、二人共乗りこなしていたけどね」
確かに、センテでの戦闘の時ワイバーンを乗りこなして空からの偵察を、二人はやってくれていたね。
ワイバーンに慣れるため、という理由だとちょっと苦しかったか……まぁ、いずれはアマリーラさん達もエルサに一緒に乗ってもらえる時が来るのを待とう。
ちなみに、ソフィーやフィネさん、フィリーナはむしろエルサには乗り慣れているので、本当にワイバーンに慣れるためにそちらに乗っている。
一人に対してワイバーン一体だから、馬に乗る感覚に近いのだろうか……エルサに乗せてもらうのと違って、ある程度自由なのを体験してみたかったとかなんとか。
まぁ、全員何度か乗った事はあるけど。
そんな事を話したり考えたりしている間に、ヘルサル城門近くに到着。
解氷作業が進み、隔離結界もなくなったためこれまでセンテの東門からしか出られなかったのが、西門から出発できたから少し近くなって、移動時間も短い。
「馬よりよっぽど早いのね。帝国でもワイバーンの利用を考えていたし、実際に活用して魔物を運んでいたわけだけど……自分達が移動するのにも有効なのね」
エルサから降り、ヘルサルの方を向きながらそう呟くレッタさん。
そもそもの速度が早いのもあるけど、ひたすら目的に向かって何にも邪魔されず真っ直ぐ進めるから、空を飛んでの移動が速いのはわかる。
けど、帝国は魔物を運ぶ……荷物とかを輸送する手段としてのワイバーン活用は考えていても、人の移動手段としては考えられていなかったのか。
まぁ俺には地球での飛行技術、ヘリや飛行機を見ているし、空を飛んでの移動というのは知っていたからワイバーンに乗るなんて考えが浮かんだのかもしれない。
魔物だからね……ある程度指示ができたとしても、乗って空を飛ぶ危険を考えたらそこまでワイバーンを信頼する事はできなかったのかも?
空に飛ぶ事に馴染みがないうえに、当然だけど落ちたら即命の危険になるわけだし――。
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