神とモフモフ(ドラゴン)と異世界転移

龍央

文字の大きさ
1,722 / 1,955

敵を圧倒するAランク相当三人の戦い

しおりを挟む


 飛び降りた三人を見たモニカさん達の感想はともかくとして。
 降りる勢いがあるからついでのように見えたミタウルスの斬り裂き方も三者三様で、エアラハールさんはフィネさんが言っているように大上段で頭から真っ直ぐ縦に一刀両断。
 アマリーラさんは肩口から袈裟斬りに両断しつつ、体当たりも混ぜて弾き飛ばす。
 リネルトさんは、二つの剣をクロスしながらバツ印に斬り裂いた……エックス斬りとか名前が付きそうだった。

「うーん……それぞれが、ミタウルスとの戦いやすい場所に行き、とはいえ付かず離れずでお互いを援護できる位置取り……なのかな?」
「多分、私達の戦い方に合わせているんだと思うわ。上から見るとよくわかるけど、立ち位置が私達に似ている気がするの」
「あぁ、確かにそうかも……」

 ミタウルスを斬り裂きながら、ようやく地面に立った三人はそれぞれ、後ろを取られない位置で正面に集団を捉え、一番前に大剣のアマリーラさん。
 斜め後ろにリネルトさんがいつでも動ける構えをしていて、その二人と正面のミタウルスを視界にとらえられる位置にエアラハールさんがいるように見える。
 武器は特徴もそれぞれ違うけど、役割としてはアマリーラさんがソフィー、リネルトさんがフィネさん、エアラハールさんがモニカさんってとこかな?
 剣のソフィーが最前衛で、リーチこそ短いけど投げる事もできる斧を持つフィネさんが中衛、槍を持ち魔法も使えるモニカさんが一番後ろで視界を広めて全体を見る役目だ。

 位置関係を俯瞰して見ると、モニカさん達のと同じ役割分担をしているように感じる。
 本人が狙ったわけじゃないだろうけど、リネルトさんの二刀流はリーチこそ全く違うけどフィネさんが、斧を二本持っているのと同じとも言えるし……。
 まぁ偶然かもしれないし、アマリーラさんが暴れて渋っていたエアラハールさんがあまり細かく動かなくていい位置に、という事もかもしれないけども。

「動くぞ!」

 つらつらと地上を観察している間に、ソフィーが短く言葉を発したようにエアラハールさん達とミタウルスが動き出す。
 集団相手だからだろう、エアラハールさん達は悠然と構えていたのに対し、ミタウルスが空から降って来た三人に対して突撃を開始した形だ。
 数が少ない方が受ける様相になっているね。
 どちらかというと俺のイメージでは、数が少ないからこそ切り込んで集団を混乱に陥れる方が有利……と思っていたんだけど、状況次第でそれも変わるか。

「ふおぉぉぉぉぉぁぁぁぁぁ!!」
「っ!」
「これは……凄まじい気迫だな……」
「味方だし、離れているのに圧倒される思いだわ」

 ミタウルスをどう迎え撃つのか……と見ていた俺達の所にまで、アマリーラさんの叫び……というより雄叫びに近い声が届く。
 その声には、気迫が込められており声なのに周囲の空気がビリビリと震えてすらいるように思えた。
 ミタウルスの方も咆哮を上げていたけど、十五体……じゃなかった、既に三体倒しているから十二体の咆哮にすら、アマリーラさん一人で負けていないくらいだ。
 多分空気感とかの状況を把握するために気を遣ったんだろう、三人が飛び降りる前にエルサが結界を解いたままにしているから、よく届く。

 そして、その裂帛の叫びと共に繰り出されるアマリーラさんの一撃!
 大きく振り上げた大剣を振り下ろし、再び斜めに振り上げる。
 それだけで……というのも離れて冷静に見ているから言える事かもしれないけど、ミタウルスが二体斬り裂かれ周囲を巻き込んで弾き飛ばされた。

「あれは、さすがに真似できんな……」
「正直、受け止めようとすら思えない一撃ですからね。大剣とアマリーラさんの膂力が合わさってこそでしょう」

 さらに、アマリーラさんに怯んだり弾き飛ばされた体の一部を受けたミタウルスは、少し後ろに下がって押し込めた。
 ただ、そうするとリネルトさん達の位置とは離れてしまうわけで……。

「後ろのフォローはリネルトさん、それからエアラハールさんがきっちりってわけね。成る程、こういう戦い方もあるのね……」
 
 地上を眺めながらモニカさんが呟く通り、押し込んでミタウルスの集団に切り込んだアマリーラさんだけど、怯んでいないミタウルスがアマリーラさんの斜め後ろの左右からそれぞれ一体ずつ、腕を振り上げ、または持っている何かしらの武器を振り上げて襲い掛かる。
 だけどそれも、リネルトさんが片方のミタウルスの両腕を二本の剣で斬り落とし、もう片方はエアラハールさんが首を斬り落としてアマリーラさんに届く事はなかった。
 巨体とも言えるミタウルスの体を軽々と斬り裂き、弾き飛ばすアマリーラさんも相当だけど、リネルトさんやエアラハールさんも負けていない。
 戦っている本人達からしたら、それなりに必死なんだろうけど……空から見ている限りでは簡単そうにやっているようにも見える。

 分厚い毛に覆われたミタウルスの体を傷つける事すら、難しいとされているのが嘘みたいだ。
 実際にBランクやCランクの冒険者さんが戦ったら、こうも容易く倒せないんだろうけど……。

「あっという間に、ミタウルスの数が減っていくわね」
「こうして見ていると、ミタウルスが弱い魔物に見えしまうが……実際はそうではないのにな」
「はい。私は相対した事がありますが、あの硬い毛を越えて斬り裂くのは容易ではありません。その時行動を共にしていた他の冒険者は、ミタウルスの腕の振り降ろしを受け止めただけで吹き飛びましたし、角は金属の盾にすら突き刺さります」

 見ていたモニカさん達も、俺と似たような感想を抱いている様子。
 というかフィネさんはミタウルスと戦った事があるのか……その話によると、前評判というかミタウルスの戦力評価と聞いていた話は間違っていないようだけど。
 ともかく、そんな話をしている間にもアマリーラさんとリネルトさん、エアラハールさんの戦いは進んでいく。
 アマリーラさんにはかなわないと思ったのか、ミタウルスの一部がリネルトさんやエアラハールさん向かえば、狙われていないアマリーラさんが斬り伏せる。

 三人のうち誰か一人に集中したら、避ける、受け流す、としている間に残りの二人がフォローする……という感じだ。
 終始ミタウルスの集団全てを圧倒していて、連携と言うのが必要なのかすら疑問に感じるけど。
 特にリネルトさんは、ミタウルスに左右から攻撃を仕掛けられても全てを避け、かすりもしていないようだった。
 逆にエアラハールさんは、上から見ているとよくわかるけど位置取りに気を付けているようで、一度もなかったわけじゃないけどミタウルスからは狙われないように距離を取りつつ、必要であれば一瞬で近付いて斬り伏せるなどだ。

 エアラハールさんに関しては、ミタウルスから狙われても避ける以外に、剣で受け流しつつ首を斬り飛ばすというのもやっていたけど。
 受け流す事すら、攻撃の動作のようにも見えた。
 アマリーラさんは、大剣を軽々と振るうだけあってミタウルスと張り合う膂力を持っているんだろう、受け止めてむしろ弾き返したりもしていた――。


しおりを挟む
感想 61

あなたにおすすめの小説

科学×魔法で世界最強! 〜高校生科学者は異世界魔法を科学で進化させるようです〜

難波一
ファンタジー
「魔法ってのは……要はエネルギーの制御だろ?」 高校生にして超人的な科学知識を持つ天才・九条迅は、ある日、異世界アルセイア王国に「勇者」として召喚された。 だが、魔王軍との戦争に駆り出されると思いきや—— 「お前、本当に勇者か? 剣も魔法も、まともに使えないのか……?」 「科学的に考えれば、魔法ってのはもっと進化できるはずだ!」 剣も魔法も素人の迅だったが、「魔法を科学的に解析し、進化させる」という異端の方法で異世界の常識を根底から覆し始める! 魔法の密度を最適化した「魔力収束砲」 魔法と人体の関係を解明し、魔力を増大させる「魔力循環トレーニング」 神経伝達を強化し、攻撃を見切る「神経加速《ニューロ・ブースト》」 次々と編み出される新技術に、世界は驚愕! やがて、魔王軍の知将《黒の賢者》アーク・ゲオルグも迅の存在に興味を持ち始め—— 「科学 vs 魔法」「知能 vs 知能」 最強の頭脳戦が今、幕を開ける——! これは、「魔法を科学で進化させる勇者」が、異世界を変革していく物語! ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

処理中です...