再会した御曹司は 最愛の秘書を独占溺愛する

猫とろ

文字の大きさ
1 / 26

社長それはいけません!

しおりを挟む
パーティー会場の喧騒が遠ざかっていく。

大きなシャンデリアに、着飾った人々がメリーゴーランドのようにチカチカと光る気がした。

手が急に震えて視界が滲んだ。息が乱れる。体が熱い。

「お、落ち着いて。私は黄瀬社長の秘書なんだから。パーティ会場で社長に恥をかかせる訳にはいかないのよ……」

自分に言い聞かせ、白いドレスワンピースの裾を握りしめた。急な体調の変化に戸惑いながら、深呼吸を繰り返す。

黄瀬社長を見るとパーティゲスト達に請われて、笑顔でスマホで写真撮影に応えていた。

私はそれらの邪魔にならないように、少し離れていたのだ。

社長が和やかに談笑している今の間になんとか体調を整えようと。一度華やかなパーティ会場から、化粧室へと逃げ込もうとした瞬間。

かつて勤めていた美容クリニック『akai』の赤井奏多社長に腕を掴まれてビクッと体を震わせた。

赤井社長の笑顔は、昔と変わらず鋭いナイフのようだった。

「なんだ紗凪。もう酔ってしまったのか? 相変わらず酒が弱いんだな。俺が静かなところに連れて行こうか?」

「な、なにを……っ」

こうして体調が悪くなったのは先ほど赤井社長から進められたシャンパンが原因だった。

それを口にして少し経つと、体の異変に気づいのだ。

もしかしてシャンパンに何か入れられたのかと、赤井社長を睨むと、赤井社長は私の震える手を握り。耳元で囁いた。

「体、辛いんだろ? さっき飲んだ紗凪のシャンパンには特別なものが入っているからな」

「!」

「性的に気持ち良くなれるサプリだよ。俺たちまたやり直そうぜ? 俺を断る女なんて紗凪が初めてだった。どうしても忘れられなくて。なのにお前は他の社長に仕えるなんて……許せない。俺のところに戻って来い。当時はカッとしてしまって悪かったよ」

囁かれた赤井社長の声が頭の中で反響する。

そして嫌でも思いだす──あの事件。

私はかつて赤井社長の秘書をしていた。
そのときに赤井社長から大人の関係に誘われたのだ。もちろん断った。
すると後日、私が一方的に誘ったと会社にあっという間に悪い噂が流れた。

それが原因で『akai』を辞めたのに。

まだそんなことを言うのかと、手を振り払おうとした瞬間。膝が崩れ落ちた。そして不愉快にも赤井社長に抱き止められてしまった。

「おっと。お宅のところの黄瀬社長は忙しそうだから、俺がエスコートしてやるよ」

「っ、エスコートなんて必要ありません」

ハッキリと拒絶したのに、赤井社長はニヤリと笑ったままだ。

「ふぅん。変に暴れると、また秘書の仕事辞めることになるんじゃないのか?」

「……!」

「ほら、一度静かなところに移動しよう。な? 俺は色々とお前に用があるんだよ」

赤井社長は器用に私の腰に手を回した。その感触にゾワリと肌が粟立ち。余計に気分が悪くなってしまった。

このままでは危険だ。でも、ここで騒ぐと黄瀬社長に迷惑がかかる。  
やっと掴んだ再就職の秘書の仕事。
この一ヶ月、必死に頑張ってきたのに。  悔しくて瞳に涙が滲む。

「っ、黄瀬社長に迷惑をかけたくありません。話なら後日改めて聞きますからっ……」

「え? 今聞いてくれるのか。そうかありがとう。じゃあ、外に行こうか」

「……!」

人の話を全く聞いてない!

苛立ち、頭に血が昇ると余計に気分が悪くなって目眩がした。
それを良いことに赤井社長は周囲の人に気付かれないように、私を連れてさっと会場を抜け出した。

その強引な足運びに気持ちが悪くて、声すら出せなかった。
やっと目眩が治ったと思えば、そこはホテルの部屋の前でびっくりしてしまう。

赤井社長が「ほら、ここで少し休もう」と胸ポケットからカードキーを取り出すのが見えてぐっと、手を突き出して抵抗する。

「社長、お願いです。やめて下さい……!」

「その顔。実にイイ。色っぽいじゃないか。俺はお前みたいな真面目な秘書がタイプだ。なぁ、二人で海外とかに行こうぜ? いいだろ?」

この人は野心家で、自分のモノと決めたら必ず手に入れるパワーがある人だった。
それは仕事だけではなく──女性もそうなのだろう。

このままでは部屋に引き込まれてしまう。逃げ場がなくなる。

怖いと思った瞬間。

「何をしているんだっ!?」

廊下に響く鋭い声。声がした方向を見ると黄瀬社長が叫んでいた。
黒いシックなスーツにボルドーのネクタイ。整った容姿。それは黄瀬社長に間違いなかった。

赤井社長は黄瀬社長に気がつくと、煩わし気に舌打ちをした。

「チッっ……!」

ままならない体をなんとか動かして、黄瀬社長に手を伸ばすと。黄瀬社長は素早く私に駆け寄り、しっかりと強く私の手を握ってくれた。

その勢いのまま私をスーツの胸の中にしっかりと抱き締め。私を支えてくれた。

「青樹さんっ。君が急に会場から姿を消すから、どこに行ったか心配になって探していたんだ。見つかって良かった」

はぁはぁと呼吸をする黄瀬社長。その様子から慌てて私を探してくれたんだと思った。

ありがとうございますと、なんとか伝えると。
黄瀬社長はほっとしたように、微笑してくれた。

その微笑みに安心して涙が出てしまいそうになる。
しかし、黄瀬社長はすぐにキリッと厳しい眼差しを赤井社長に向けた。

「赤井社長。これは一体どう言うことですか」

「……お宅の秘書が気分を悪くしたみたいだから、昔のよしみで介抱をしようと思っただけさ。他意はないから、そう睨まないでくれよ」

「ならば、私やホテルのスタッフに声を掛けるべきだと思うのですが?」

黄瀬社長の声はとても冷たい。
社長は普段とは別人のように、赤井社長を驚くほど冷酷な視線で睨んでいた。
その視線を受けても赤井社長は飄々として笑っていたが、その瞳は笑ってはいなかった。

「だから昔のよしみだと言っただろ? それとも、ここで俺と揉めたい訳か? 今日のパーティは有名美容関係者やインフルエンサーも沢山来ている。そんな場所で美容クリニック業界大手『akai』ウチと老舗の化粧品会社『キセイ堂』黄瀬社長アンタが揉めたとか、お互いに面白くないんじゃないか?」

「……っ」

ギリっとした音が聞こえた。
それは黄瀬社長が歯を食いしばった音。その音を聞いてしまって私の心も軋む。
迷惑を掛けてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

二人は業種が違えど美容業界で目立つ社長として、何かと比べられる関係だった。

「黄瀬社長、私は大丈夫です。なにも問題はありません。だから、もう行きましょう……!」

私がそう言うとふふっと、赤井社長が笑った。

「ふっ。お前みたいなお坊ちゃんは何も出来ないだろ? お前みたいな品行方正タイプはたかが知れているんだ。お前もそのうち足元を掬われたらいい」

やけに挑発的な態度の赤井社長に、黄瀬社長はふっとため息を吐いた。

「そのように勝手に意識されても困ります。そして不愉快極まりない。青樹は私の秘書です。もうあなたの秘書ではない。二度と近づかないで下さいっ!」

ぴしゃりと言い切り。
赤井社長を残して、早々とその場を離れるのだった。

「青樹さん、大丈夫か?」

赤井社長から離れ、エレベーターに乗り込むと黄瀬社長が話しかけてきた。
普段は冷静な社長の声が、わずかに震えている気がした。

「申し訳ありません……っ、」

なんとか口を開くが、体調は良くない。
このホテルのエレベーターの静かな揺れですら気持ち悪い。思わず手を口元に当ててしまう。

「しっかり。今日、このままホテルに泊まろうと思っていた俺の部屋がある。ひとまずそこで休んで欲しい。いいな?」

その言葉にこくりと頷く。黄瀬社長の声や様子に
赤井社長のような下心は微塵も感じなかった。

私達の関係は社長と秘書だ。

黄瀬社長は社長として社員の私を心配してくれている。それに安心してしまい。私は力無く黄瀬社長のスーツに額を預け、ゆっくりと息を吐いた。

そしてエレベーターを降り。黄瀬社長が取った部屋に入ると視界がまた、ぐらりとまわった。

そしてなんだか体の内側から、熱がジンジンと広がって行くのを感じた。アルコールからの熱かと思ったけど──これはなんだか違う。

すると黄瀬社長が慌てて、私をベッドに横たわらせてくれた。

ホテルの部屋の白い天井、大きなベッド。
気持ち的には落ち着くが、身体が一向に落ち着く気配はなかった。

そんな視界のなか「大丈夫か」と黄瀬社長が私の顔を覗き込んできた。

心配を掛けるまいと頑張って、目を開いて自分の容態を伝える。

「黄瀬社長。私、赤井社長から、変なサプリを飲まされたみたい、です……」

「変なサプリだと?」

驚く黄瀬社長にゆっくりと頷く。
そうです、と言う前に声は熱い吐息になってしまった。

横になると白いドレスワンピースが、肌にまとわりつくようで気持ち悪い。脱ぎ捨てたい衝動に駆られる。
そして火照る体のせいで、喉が渇いてしまいケホケホと咳き込んでしまった。

「待ってろ。水を持ってくるっ」

黄瀬社長はすぐに私から離れた。
普段私と接しているときは、そんな慌てた様子は見せないのに。

その様子をみながら、熱ぽっい頭でぼんやりと思う。

私を助けてくれた黄瀬社長は──高校生のときと変わらず。やっぱりカッコいい。
抱き締められたとき、凄くいい香りがした。

こんなふうに考えてしまうのは体や頭が、どうかしているせいだろう。

思わず失笑してしまうが、また咽せてしまった。

それに体の内側がぞわぞわしてきた。紛らわせようとベッドのシーツを濁り締め。手にキュッと力を入れると、ふいに下腹部が疼いた。

「!」

──この兆候はやばい。
赤井社長が言っていたサプリが、こんなにも体に影響するなんて。

まずいと思っていると黄瀬社長が戻ってきて、私にペットボトルの水を差し出した。

「ほら、まずは水を飲んでくれ。それから病院に行こう」

「しゃ、社長。私のことは放っておいて下さい。お願い……しますっ」

「そんな状態で一人になんか出来ない。いいから、まずは水を飲め」

ぐっと、体を抱き寄せられた。
触られた場所が酷く熱く感じてしまい。声が漏れそうなのをギリギリ堪えた。

身体の異変。
気持ちの高揚。
無理矢理に性欲を高められていく感じがした。

黄瀬社長が素早くペットボトルの水を口に持って来てくれたけど、力が入らなくて唇から水をポタポタとこぼしてしまう。

その水滴が黄瀬社長のスーツを濡らす。

「あ、すみません……スーツが、ごめんなさい」

「スーツなんてどうでもいい。俺はお前が心配なんだ」

眉根を寄せてじっと真剣に私を見つめるその顔に、高校時代の彼の顔が一瞬重なった。

黄瀬社長は高校時代、罰ゲームで私に告白したことがあった。
それは苦い思い出。

なのになぜ今、彼はそんな真剣な眼差しで私を見るのだろう。

私のことが嫌いじゃ無かったのか。

そして再会して、今は社長と秘書。

お互いの過去を忘れ。ビジネスライクな関係のはずなのに、こんな優しさを見せられると混乱する。

黄瀬社長がまた、しっかりしろと私に声を掛けてくれるけど。身体がどんどん敏感になり、少しの刺激も必要以上に感じて声が出せなかった。

必死に刺激から逃げるように違うことを考える。

昔のことを互いに触れることなく、この一ヶ月、秘書として頑張ってきたのに。それを赤井社長のせいで、こんなことで無茶苦茶にしたくない。

唇を強く噛み締める。
シャンパンを勧められるままに飲んでしまった自分が、浅はかで思わず涙がでてしまいそうになった瞬間。

黄瀬社長がくっと私の顎を上にあげて、私と視線を絡ませた。

「青樹さん。いや……紗凪。すまない。あとで俺を殴ってもいい」

そう言うと黄瀬社長は突然、ペットボトルの水を口に含み。私にキスをした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

腹黒外科医に唆された件~恋人(仮)のはずが迫られています~

有木珠乃
恋愛
両親を亡くし、二人だけの姉妹になった一ノ瀬栞と琴美。 ある日、栞は轢き逃げ事故に遭い、姉の琴美が務める病院に入院することになる。 そこで初めて知る、琴美の婚約者の存在。 彼らの逢引きを確保するために利用される栞と外科医の岡。 「二人で自由にならないか?」を囁かれて……。

【完結】あなた専属になります―借金OLは副社長の「専属」にされた―

七転び八起き
恋愛
『借金を返済する為に働いていたラウンジに現れたのは、勤務先の副社長だった。 彼から出された取引、それは『専属』になる事だった。』 実家の借金返済のため、昼は会社員、夜はラウンジ嬢として働く優美。 ある夜、一人でグラスを傾ける謎めいた男性客に指名される。 口数は少ないけれど、なぜか心に残る人だった。 「また来る」 そう言い残して去った彼。 しかし翌日、会社に現れたのは、なんと店に来た彼で、勤務先の副社長の河内だった。 「俺専属の嬢になって欲しい」 ラウンジで働いている事を秘密にする代わりに出された取引。 突然の取引提案に戸惑う優美。 しかし借金に追われる現状では、断る選択肢はなかった。 恋愛経験ゼロの優美と、完璧に見えて不器用な副社長。 立場も境遇も違う二人が紡ぐラブストーリー。

【完結】俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

椿かもめ
恋愛
「こはる、俺の妻になれ」その日、大女優を母に持つ2世女優の花宮こはるは自分の所属していた劇団の解散に絶望していた。そんなこはるに救いの手を差し伸べたのは年上の幼馴染で大企業の御曹司、月ノ島玲二だった。けれど代わりに妻になることを強要してきて──。花嫁となったこはるに対し、俺様な玲二は独占欲を露わにし始める。 【幼馴染の俺様御曹司×大物女優を母に持つ2世女優】 ☆☆☆ベリーズカフェで日間4位いただきました☆☆☆ ※ベリーズカフェでも掲載中 ※推敲、校正前のものです。ご注意下さい

一目惚れ婚~美人すぎる御曹司に溺愛されてます~

椿蛍
恋愛
念願のデザイナーとして働き始めた私に、『家のためにお見合いしろ』と言い出した父と継母。 断りたかったけれど、病弱な妹を守るため、好きでもない相手と結婚することになってしまった……。 夢だったデザイナーの仕事を諦められない私――そんな私の前に現れたのは、有名な美女モデル、【リセ】だった。 パリで出会ったその美人モデル。 女性だと思っていたら――まさかの男!? 酔った勢いで一夜を共にしてしまう……。 けれど、彼の本当の姿はモデルではなく―― (モデル)御曹司×駆け出しデザイナー 【サクセスシンデレラストーリー!】 清中琉永(きよなかるな)新人デザイナー 麻王理世(あさおりせ)麻王グループ御曹司(モデル) 初出2021.11.26 改稿2023.10

美しき造船王は愛の海に彼女を誘う

花里 美佐
恋愛
★神崎 蓮 32歳 神崎造船副社長 『玲瓏皇子』の異名を持つ美しき御曹司。 ノースサイド出身のセレブリティ × ☆清水 さくら 23歳 名取フラワーズ社員 名取フラワーズの社員だが、理由があって 伯父の花屋『ブラッサムフラワー』で今は働いている。 恋愛に不器用な仕事人間のセレブ男性が 花屋の女性の夢を応援し始めた。 最初は喧嘩をしながら、ふたりはお互いを認め合って惹かれていく。

恋愛禁止条項の火消し屋は、子会社社長を守る側に立つ

swingout777
恋愛
本社人事の“火消し屋”として働く私は、統合プロジェクトの責任者として子会社へ常駐するよう命じられた。スローガンは「雇用を守るための統合」。――けれど赴任初日、私が見つけたのは“片道三時間・期限二週間”の勤務地強制テンプレ。家庭持ちを狙い撃ちにして辞めさせる、実質退職の設計書だった。 現場では、共働きの夫婦が「私が辞める」と言い出し、夫が初めて怒って泣いていた。私は火消し屋だ。誰かを守るために、誰かを切る仕事もしてきた。だからこそ言った。「辞めないで済む道は作る。でも、あなた達にも戦ってほしい。声を上げないと、都合のいい数字にされるから」 そんな夜、子会社社長の不倫疑惑が週刊誌に出た。ホテル密会写真。火消しのため社長に張り付く私を、現場叩き上げの彼は冷たく突き放す。「本社の犬か?」――だが写真の裏にあったのは、不倫ではなく“保護”だった。社長が匿っていたのは、会社の闇を握る男性告発者。潰されかけ、経歴ごと消される寸前の人間を、彼は自分が汚れる覚悟で救っていた。 本社は告発者にパワハラの濡れ衣を着せ、部下の新人に「守秘義務違反で潰す」と脅して証言させる。匿名通報が量産され、「新人は告発者とつながっている」という空気が社内を支配する。さらには社内チャットが切り貼りされ、私まで“共犯”に仕立て上げられた――「あなたも同じ側ですよね」。孤立した私の前に届いた、切り貼りではない全文。「あなたも同じ側ですよね。――守る側に立つなら、これを見てください」添付されていたのは、あの勤務地強制テンプレだった。 恋愛禁止条項を運用してきた私が、守るためにルールを破る側へ回る。社員を守ろうとする社長と、ルールを武器に人を切る本社人事部長。雇用を守る顔をした統合の裏で、恋は噂になり、噂は刃になる。それでも私は決める。守る側に立つ。――守りながら恋をするために。

15歳差の御曹司に甘やかされています〜助けたはずがなぜか溺愛対象に〜 【完結】

日下奈緒
恋愛
雨の日の交差点。 車に轢かれそうになったスーツ姿の男性を、とっさに庇った大学生のひより。 そのまま病院へ運ばれ、しばらくの入院生活に。 目を覚ました彼女のもとに毎日現れたのは、助けたあの男性――そして、大手企業の御曹司・一ノ瀬玲央だった。 「俺にできることがあるなら、なんでもする」 花や差し入れを持って通い詰める彼に、戸惑いながらも心が惹かれていくひより。 けれど、退院の日に告げられたのは、彼のひとことだった。 「君、大学生だったんだ。……困ったな」 15歳という年の差、立場の違い、過去の恋。 簡単に踏み出せない距離があるのに、気づけばお互いを想う気持ちは止められなくなっていた―― 「それでも俺は、君が欲しい」 助けたはずの御曹司から、溺れるほどに甘やかされる毎日が始まる。 これは、15歳差から始まる、不器用でまっすぐな恋の物語。

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

処理中です...