【本編完結】召喚? 誘拐の間違いでは?

篠月珪霞

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苦行?

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鬱陶しく絡んでくる美形(名前? 余計なことにメモリ使わない主義なので)がいなくなったので、心置きなく読み耽っている私。
さすが王城。町の喧騒とは無縁で、騒がしさはない。時折、小鳥の鳴き声らしきものと木々の揺れくらいのささやかな音が耳をくすぐる程度。読書には最適の環境。…異世界じゃなきゃな。
部屋には実は私1人じゃなくて、護衛?と思しき騎士服の男性と、メイド?侍女?(どっちだ?)の女性が2人いたりするが、物音ひとつ立てない。これもさすが王城というべきなのだろうなあ。
お茶が冷めた頃に、すっと入れ替えるメイドさん。こちらに気を遣ってか声をかけることのない、心配り。
お構いなく、と言いかけるが、日本語的言い回しって通じるのかな。それに新しいお茶淹れてもらっても、飲むつもりはないんだよね。

「ありがとうございます」

だがまあ、たとえそれが仕事であろうと、何かをしてもらってお礼を言うのは当たり前のこと。
手を付けられないまま廃棄されていくお茶と、折角淹れてくれた、職務に忠実であろうメイドさんには申し訳ないのだけれども。

何を言うこともなく、メイドさんは壁際に控えるようにすっとまた下がった。少しだけ雰囲気が柔らかくなった気がする。さっきまで、塩対応までいかなくても、どっか冷たかったというか。

護衛さんもだけど、メイドさんたちも、私に反感持つのは仕方ないことだと思うのよ。ここに来てからの私の態度は褒められたものではないし。特にあの美形に対して。自覚はある。
自分たちの仕える主に対して、向き合わず返事もせず、無視がデフォルトなんて、なんだあいつ、となってもおかしくない。いやそれが普通。仕事と割り切ってる人なら分からんけど。
それに、私の事情なんか知らないだろうしね。


さて受け取ってから文字を追ってる、この異世界の六法全書もどき。当然日本語ではない。
地球のどれにも、当てはまるものはたぶんないだろう文字。読めるというのは正確には違って、文字自体は読めない。だから書くのは無理。
なのに、意味は分かるという仕様に違和感がありすぎて、進んでいないのが現状。
しかし、普段から文章読むのには抵抗なかったから、そこはよかったんだろうなと。
コミックばっかり読んでませんよ? 小説もライトノベルだけじゃなく、文学、ミステリー、エッセイ、時代物、なんでもござれ。つまり乱読。面白ければ何でもいいのよ。
まあそんなこんなで、別に読むこと自体はいいのだけれど。

あー…家にあるブックスタンドが切実に欲しい…!

応接用のテーブルは低いのだ。まあね。話し合いの場において、視界を遮るような高さのテーブルは相応しくはない。分かってはいるけれども。
六法全書はともかく、広辞苑とか辞書とかは、日本人なら義務教育で使ったことがあるだろうそれ。
重いんだよ、普通に。
手で持つにしても、ずっと持って読むとかどんな鍛錬、どんな苦行…!
ああ、部屋の文芸書用のブックスタンド。ネットや雑貨屋見回って厳選したブックスタンド。使い勝手のいい、あなたが恋しい…!!
何故、今ここにあなたがいないのか…!!!

そりゃここが異世界だからだよ、とセルフ突っ込みして、すんっとなる。現実の辛さよ…。
















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