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早く帰ろう
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『―――島田せんせって、亨っていうんだ?』
いつの間にか俺の目の前まで近寄っていた陽向が、俺の顔を覗きこむように首を傾げて言った。
『お・・・おぉ』
『俺、『とおる』って名前、好きなんだ』
『え・・・・・』
『島田せんせのことも、好きだよ』
そう言って笑った陽向の瞳が、妖しく光ったように見えた・・・・・。
「お、あれは水沢と・・・ああ、あの転入生ですね、島田先生」
職員室で自分の席に座ってぼんやりしていると、隣にいた日本史担当の先生が言った。
その先生の視線の先を見ると、職員室の窓から見える学校の校門前に陽向と水沢の姿があった。
「あ・・・・はい、そうですね」
「あの水沢に弟ができて、その弟が島田先生のクラスに入るとは・・・面白いもんですねえ」
「はぁ・・・・」
「まぁ、あの水沢が兄貴なら何の心配もないでしょうけどね」
「そう・・・ですね」
水沢に頭をなでられた陽向が、嬉しそうに笑っていた。
それは無邪気な子供の笑顔のようで―――
どこか、艶も感じられる笑み。
水沢を上目使いに見つめるその瞳と、可愛らしく笑みを浮かべる赤い唇。
こちらに背を向けている水沢は、今どんな顔をしているんだろう・・・・・
「え・・・・部活?」
「うん。きょおくん、中等部の時サッカー部にいたんでしょ?どうして高等部では入らなかったの?」
俺は学校を出て陽向と並んで帰路を歩いていた。
「う~ん、特に理由はないんだよなあ。サッカー部は中等部の間だけって決めてたし・・・プロを目指すつもりもなかったから、高等部では違う部活に入ろうって最初から決めてたんだよ」
「そうなの?でも、今は部活入ってないんだよね?」
「うん。高等部入ってすぐに生徒会入っちゃったし、それが意外に忙しかったからさ」
「そっかぁ。俺、どうしようかなあ」
「え、部活入るのか?」
「今日、いろいろ誘われちゃって。でも、雄介はなんにもやってないって言ってたし・・・雄介が何か部活やってるなら同じ部活入ろうと思ってたんだけど」
陽向の言葉に、俺はちょっとムッとする。
「・・・雄介くんと、ずいぶん仲が良くなったんだな」
「雄介って面白いんだよ。頭いいし。うちでゲームばっかりやってるって言ってたけど・・・・あ、今度雄介の家行ってもいい?」
「は?あいつのうち?」
「うん。ゲームいっぱい持ってるんだって。一緒にやろうって誘われたの」
「・・・・行きたいの?」
「うん。ダメ?」
陽向が、不安そうに俺の顔を覗きこむ。
上目使いに見つめるその顔が可愛くて、思わず目をそらす。
「だ・・・ダメじゃないけど・・・・」
「・・・・きょおくん、心配?」
「え・・・・」
驚いて陽向の顔を見ると、いたずらっぽい笑みを浮かべて横目で俺を見ていた。
その流し目が、いやに煽情的で・・・・
思わずドキッとして何も言えなくなる。
「ひな・・・・」
「きょおくん」
ほんの一瞬、陽向の指が俺の指に触れる。
その瞬間、俺の体はびくりと震え、体がかっと熱くなった。
「・・・早く帰ろう?」
「・・・・うん」
それから俺たちは無言で、家までの道を歩いたのだった・・・・。
いつの間にか俺の目の前まで近寄っていた陽向が、俺の顔を覗きこむように首を傾げて言った。
『お・・・おぉ』
『俺、『とおる』って名前、好きなんだ』
『え・・・・・』
『島田せんせのことも、好きだよ』
そう言って笑った陽向の瞳が、妖しく光ったように見えた・・・・・。
「お、あれは水沢と・・・ああ、あの転入生ですね、島田先生」
職員室で自分の席に座ってぼんやりしていると、隣にいた日本史担当の先生が言った。
その先生の視線の先を見ると、職員室の窓から見える学校の校門前に陽向と水沢の姿があった。
「あ・・・・はい、そうですね」
「あの水沢に弟ができて、その弟が島田先生のクラスに入るとは・・・面白いもんですねえ」
「はぁ・・・・」
「まぁ、あの水沢が兄貴なら何の心配もないでしょうけどね」
「そう・・・ですね」
水沢に頭をなでられた陽向が、嬉しそうに笑っていた。
それは無邪気な子供の笑顔のようで―――
どこか、艶も感じられる笑み。
水沢を上目使いに見つめるその瞳と、可愛らしく笑みを浮かべる赤い唇。
こちらに背を向けている水沢は、今どんな顔をしているんだろう・・・・・
「え・・・・部活?」
「うん。きょおくん、中等部の時サッカー部にいたんでしょ?どうして高等部では入らなかったの?」
俺は学校を出て陽向と並んで帰路を歩いていた。
「う~ん、特に理由はないんだよなあ。サッカー部は中等部の間だけって決めてたし・・・プロを目指すつもりもなかったから、高等部では違う部活に入ろうって最初から決めてたんだよ」
「そうなの?でも、今は部活入ってないんだよね?」
「うん。高等部入ってすぐに生徒会入っちゃったし、それが意外に忙しかったからさ」
「そっかぁ。俺、どうしようかなあ」
「え、部活入るのか?」
「今日、いろいろ誘われちゃって。でも、雄介はなんにもやってないって言ってたし・・・雄介が何か部活やってるなら同じ部活入ろうと思ってたんだけど」
陽向の言葉に、俺はちょっとムッとする。
「・・・雄介くんと、ずいぶん仲が良くなったんだな」
「雄介って面白いんだよ。頭いいし。うちでゲームばっかりやってるって言ってたけど・・・・あ、今度雄介の家行ってもいい?」
「は?あいつのうち?」
「うん。ゲームいっぱい持ってるんだって。一緒にやろうって誘われたの」
「・・・・行きたいの?」
「うん。ダメ?」
陽向が、不安そうに俺の顔を覗きこむ。
上目使いに見つめるその顔が可愛くて、思わず目をそらす。
「だ・・・ダメじゃないけど・・・・」
「・・・・きょおくん、心配?」
「え・・・・」
驚いて陽向の顔を見ると、いたずらっぽい笑みを浮かべて横目で俺を見ていた。
その流し目が、いやに煽情的で・・・・
思わずドキッとして何も言えなくなる。
「ひな・・・・」
「きょおくん」
ほんの一瞬、陽向の指が俺の指に触れる。
その瞬間、俺の体はびくりと震え、体がかっと熱くなった。
「・・・早く帰ろう?」
「・・・・うん」
それから俺たちは無言で、家までの道を歩いたのだった・・・・。
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