血のつながらない弟に誘惑されてしまいました。【完結】

まつも☆きらら

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後悔

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「―――星野は、陽向を車に乗せて―――防波堤から海に突っ込んだんだ」

父さんの話に、俺は言葉を発することができなかった。
陽向からはそんな話を聞いたことはなかった。
そもそも―――父親の話をすることはあまりなかった。
父親が大好きだと。だから何をされてもいいと。そう言っていただけで・・・・・

何をされてもって―――

まさか―――

「車が海に突っ込むところを見ていた人がすぐに通報して車が引き上げられたが、星野は・・・・助からなかった。だが陽向は、開いていた窓から出て溺れそうになったいたところを救助されて助かったんだ。それから数日、陽向は生死の境をさまよっていた。そして病院で目が覚めた時には―――車で海に突っ込んだことを覚えていなかったんだ」
「じゃあ・・・・父親の死は・・・・」
「無理心中しようとしたとは言えなかった。車の事故で海に転落し、陽向だけが助かったと言うしかなかったよ。それに―――警察の話によると、窓が開いていたとしても海水が流れ込んでくる車から脱出するのは子供には難しいと・・・・だから、おそらく星野が意識を失う前に陽向を車から押し出したんじゃないかということだった。それなら無理心中ではなくあくまでも事故で、父親が最後の力を振り絞って息子を助けたということにした方が陽向のためだと思ったんだ」
「そうだったんだ・・・・。でも陽向の母親は?父親が死んだっていうことは知らせたの?」
「知らせようと思ったんだが、連絡が取れなくてね―――親戚もあまりいなくて星野の両親はすでに他界していたし兄弟もいなかった。母親の方の両親もだいぶ前に亡くなっていて、地方に住む母親の叔父夫婦とは連絡がついたものの高齢で葬式の手配なんかは無理だと言われて、結局葬儀はうちの会社の方で執り行うことにしたんだ。葬儀に来たその叔父夫婦の話によると、陽向の母親は恋人と一緒に海外へ行ったらしいということだった。彼らは星野ともほとんど交流がなく陽向とは会ったこともないという話で、そもそも母親とは仲が悪いし高齢で陽向を引き取るのは難しいということだった」
「それで、父さんが?でもそういう場合って施設に行くんじゃ・・・・」
「もちろんそういう話もあったよ。しかし・・・・私は星野に責任を感じていた。わたしがあの日、お見舞いに行かなければ星野は死ななかったかもしれないんだ」
「そんな・・・・父さんは悪くないだろ?」
「・・・・いいとか悪いとかじゃ、ないんだよ」

父さんはそう言うと辛そうにため息をつき、俺を見た。

「父さん・・・・」
「私が・・・・納得できないんだ。あんなに愛していた陽向を道連れにして死を選ぶほど、星野は追い詰められていた。どんな思いで陽向と過ごしていたか・・・・。私は上司として、そして友達として・・・・気付いてやらなければいけなかったんだ」

父さんは悪くない。
それは間違いない。
その日、父さんが2人の関係を知らなければ陽向の父親は死ななかったかもしれない。
だけど、父さんが2人の関係を知らなければ陽向の父親はずっと陽向との関係を続けていたかもしれない。

どちらが良かったかなんて俺にはわからない。
それでも自らの死か、陽向との関係か。
その2択しかなかったとは思えない。
そもそも、妻が恋人を作って出て行ったからと言って自分の子と関係を持っていいという理由にはならない。
それは―――
自分の子への虐待だ。
陽向が―――子供が拒否しなかったとかそんなことは関係ない。
いつから関係を持っていたのかはわからない。
だが、父さんの話では母親が出て行ってから2年経った頃から父親の様子が変わったと言っていた。
それから5年後に命を絶った。
ということは、陽向が7歳のころから・・・・・?
ただの想像でしかない。
だけど、もしそんなころからだとしたら、陽向の純粋で無垢な父親への愛情も理解できるし、性への感性が歪んでしまったことにも納得がいく。


そして・・・・


俺は、自分の過ちを悟った。
いや、ずっと前から気づいてはいたんだ。
俺は、決してやっちゃいけないことをしたんだ。
どんなに惹かれたとしても・・・・

俺は、陽向を抱いちゃいけなかったんだ・・・・。
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