51 / 51
兄弟として(最終話)
しおりを挟む
「陽向・・・・これからのことだけど」
「わかってる。もう、しないんでしょ?俺もそろそろやめた方がいいかなって思ってた」
「え・・・・そうなのか?」
あまりにもあっさりした言葉に、俺はちょっと驚いた。
「うん。実際は俺はきょおくんの弟じゃないわけだし、血が繋がってないならいいかなって思ってたんだけど。でも、お義父さんが知ったらかわいそうだし。それに俺、もてるからきょおくんとしなくても他にいくらでも相手がいるし」
「おい!」
俺は思わず椅子から立ち上がった。
「だ、だめだぞ!小坂とか雄介とか‥‥絶対だめだ!」
「ふふ」
「笑ってる場合じゃない!」
「冗談だよ。もう誰かを誘惑したりしない」
けらけらと笑う陽向に、俺の心はまだ休まらない。
「きょおくんとお義父さんには本当に感謝してるんだ。俺を家族として迎えてくれて・・・・。あの日・・・・お義父さんがうちに来て、俺と俺のお父さんの関係を知られたからお父さんは俺と一緒に死のうとしたんだよね」
ふと、陽向が視線を落としてそう言った。
「陽向、それは―――」
「責めてるんじゃないよ。お父さんはいつもきょおくんのお父さんのことすごく優しくて責任感の強い人だって言ってた。すごく尊敬してたんだ。その人に自分の秘密を知られて、きっと・・・・耐えられなかったんだ。一番知られたくなかった人に知られて」
「そうなのかな・・・・」
「そうだと思う。俺・・・・今はわかるよ。お父さんはお母さんがいなくなって、追い詰められたんだよね。愛する人が他の人と出て行っちゃって・・・・。心に大きな穴が開いちゃったんだ。その穴を埋めるために、きっと俺をお母さんの代わりにするしかなかったんだよね」
「陽向・・・・」
「でも、俺はそれでもよかったんだ。お父さんが元気になってくれるなら・・・・幸せになってくれるなら・・・・。それが間違ってることでもよかった。だけどお父さんは・・・・それじゃダメだってわかってたんだ」
―――それじゃダメだってわかってた。
そうだ。
きっと陽向の父親も、自分の間違いに気づいていたのにどうにもできなかった。
自分の抑えることができなかった。
それほど、妻を失ったことに心を痛めていたんだろう。
でも・・・・・
「俺がこうしてきょおくんのお父さんの子供としてこの家に来ることができて、きっとお父さんも喜んでると思う」
陽向が、顔をあげて潤んだ瞳で俺を見つめた。
「そうかな・・・・。そうならいいけどな」
「きっとそう。だから・・・・もう、やめなきゃね。そうじゃないとお父さんがきっと悲しむ」
「うん・・・・そうだな」
「ね、きょおくんもうどん食べない?おいしいよ」
「え?ああ・・・・」
陽向がまたキッチンへ行くと、うどんを丼に入れ俺の前に置いてくれる。
俺は「いただきます」と手を合わせてからうどんを口の中へ―――と、本当においしい。
「・・・・うまい」
「でしょ?これでいつでもお嫁に行ける」
「おい!」
「冗談だってば。―――けど、そんなに心配ならこれからも俺との関係続ける?」
「え―――」
「なんてね。大丈夫。お義父さんに心配かけるようなこと、しないよ」
にやりと笑う陽向に、若干不安を覚えつつ―――
それでも俺たちは、再び兄弟として新たに日常をスタートさせることになったのだった。
それから本当に陽向との関係がただの兄弟になったのかというと―――
それは、俺たちだけの秘密・・・・。
「わかってる。もう、しないんでしょ?俺もそろそろやめた方がいいかなって思ってた」
「え・・・・そうなのか?」
あまりにもあっさりした言葉に、俺はちょっと驚いた。
「うん。実際は俺はきょおくんの弟じゃないわけだし、血が繋がってないならいいかなって思ってたんだけど。でも、お義父さんが知ったらかわいそうだし。それに俺、もてるからきょおくんとしなくても他にいくらでも相手がいるし」
「おい!」
俺は思わず椅子から立ち上がった。
「だ、だめだぞ!小坂とか雄介とか‥‥絶対だめだ!」
「ふふ」
「笑ってる場合じゃない!」
「冗談だよ。もう誰かを誘惑したりしない」
けらけらと笑う陽向に、俺の心はまだ休まらない。
「きょおくんとお義父さんには本当に感謝してるんだ。俺を家族として迎えてくれて・・・・。あの日・・・・お義父さんがうちに来て、俺と俺のお父さんの関係を知られたからお父さんは俺と一緒に死のうとしたんだよね」
ふと、陽向が視線を落としてそう言った。
「陽向、それは―――」
「責めてるんじゃないよ。お父さんはいつもきょおくんのお父さんのことすごく優しくて責任感の強い人だって言ってた。すごく尊敬してたんだ。その人に自分の秘密を知られて、きっと・・・・耐えられなかったんだ。一番知られたくなかった人に知られて」
「そうなのかな・・・・」
「そうだと思う。俺・・・・今はわかるよ。お父さんはお母さんがいなくなって、追い詰められたんだよね。愛する人が他の人と出て行っちゃって・・・・。心に大きな穴が開いちゃったんだ。その穴を埋めるために、きっと俺をお母さんの代わりにするしかなかったんだよね」
「陽向・・・・」
「でも、俺はそれでもよかったんだ。お父さんが元気になってくれるなら・・・・幸せになってくれるなら・・・・。それが間違ってることでもよかった。だけどお父さんは・・・・それじゃダメだってわかってたんだ」
―――それじゃダメだってわかってた。
そうだ。
きっと陽向の父親も、自分の間違いに気づいていたのにどうにもできなかった。
自分の抑えることができなかった。
それほど、妻を失ったことに心を痛めていたんだろう。
でも・・・・・
「俺がこうしてきょおくんのお父さんの子供としてこの家に来ることができて、きっとお父さんも喜んでると思う」
陽向が、顔をあげて潤んだ瞳で俺を見つめた。
「そうかな・・・・。そうならいいけどな」
「きっとそう。だから・・・・もう、やめなきゃね。そうじゃないとお父さんがきっと悲しむ」
「うん・・・・そうだな」
「ね、きょおくんもうどん食べない?おいしいよ」
「え?ああ・・・・」
陽向がまたキッチンへ行くと、うどんを丼に入れ俺の前に置いてくれる。
俺は「いただきます」と手を合わせてからうどんを口の中へ―――と、本当においしい。
「・・・・うまい」
「でしょ?これでいつでもお嫁に行ける」
「おい!」
「冗談だってば。―――けど、そんなに心配ならこれからも俺との関係続ける?」
「え―――」
「なんてね。大丈夫。お義父さんに心配かけるようなこと、しないよ」
にやりと笑う陽向に、若干不安を覚えつつ―――
それでも俺たちは、再び兄弟として新たに日常をスタートさせることになったのだった。
それから本当に陽向との関係がただの兄弟になったのかというと―――
それは、俺たちだけの秘密・・・・。
10
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
ネタバレ含む
あなたにおすすめの小説
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
息の合うゲーム友達とリア凸した結果プロポーズされました。
ふわりんしず。
BL
“じゃあ会ってみる?今度の日曜日”
ゲーム内で1番気の合う相棒に突然誘われた。リアルで会ったことはなく、
ただゲーム中にボイスを付けて遊ぶ仲だった
一瞬の葛藤とほんの少しのワクワク。
結局俺が選んだのは、
“いいね!あそぼーよ”
もし人生の分岐点があるのなら、きっとこと時だったのかもしれないと
後から思うのだった。
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
異世界で孵化したので全力で推しを守ります
のぶしげ
BL
ある日、聞いていたシチュエーションCDの世界に転生してしまった主人公。推しの幼少期に出会い、魔王化へのルートを回避して健やかな成長をサポートしよう!と奮闘していく異世界転生BL 執着最強×人外美人BL
ハイスペックストーカーに追われています
たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!!
と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。
完結しました。
陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
まったり書いていきます。
2024.05.14
閲覧ありがとうございます。
午後4時に更新します。
よろしくお願いします。
栞、お気に入り嬉しいです。
いつもありがとうございます。
2024.05.29
閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
明日のおまけで完結します。
反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
明後日より新作が始まります。
良かったら覗いてみてください。
(^O^)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。